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剛節架構と耐力壁を併用した場合のDs値【建築士試験】

こんにちは!ゼロ所長です。

今日はAi分布と地震層せん断力係数について考えるね。
こんな問題が出題されることがある。

剛節架構と耐力壁を併用した場合、設計変更により耐力壁量が増加し、保有水平耐力に対する耐力壁の水平耐力の和の比率が0.5から0.8となったが、「耐力壁」及び「柱及び梁」の部材群としての種別が変わらなかったので Dsの数値を小さくした。

正解は・・・ ×となるのだけど、なぜだかわかる?
知識ゼロの人が読んだら意味不明の文章だね。
ゼロ所長も今回ばかりは専門用語の多さに圧倒されている…
でも頑張ろう。
一緒に考えてみよう。


剛節架構

ラーメン構造のこと!
柱と梁を剛接合(ガッチリ固めて一体化)することで、柱と梁だけで成立する構造だね。

剛節架構
剛節架構

剛節架構と耐力壁を併用

ラーメン構造と耐力壁が併用された構造のこと。
何も特別ではなくて、ごく一般的な構造だよ。
たとえば、真ん中は耐震壁があるけど、両側は柱と梁だけのラーメン構造なだね。

剛節架構と耐力壁を併用
剛節架構と耐力壁を併用

ラーメン構造と耐震壁の固さを比較すると、耐震壁が圧倒的にかたい!
フックの法則P=Kδより、かたさKが大きいほどPも大きくなる。
つまり、力は固い部材に集まる傾向があるから、ラーメン構造と耐震壁を併用すると、とっても固い耐震壁に力が集中するんだ!

保有水平耐力

保有水平耐力は、難しく説明しようと思えばいくらでも難しく説明できる。
でも、ここは一言でいいきってみたい。
保有水平耐力は、建物が保有する水平方向の耐力なんだ!

保有水平耐力は、大地震が起きたときの建物の安全性を確認する値だ。
保有水平耐力が、建物に必要とされる水平耐力(必要保有水平耐力)より大きくなることを確認しないといけない。
分かりやすい解説を見つけたので下記が参考になるよ。

例えば、あなたが住んでいるマンションの必要保有水平耐力が5000kNだとします。このとき、保有水平耐力は5000kN以上でないと、建物は安全とは言えません。

http://kentiku-kouzou.jp/struc-hoyusuiheitairyoku.html

建物の保有水平耐力は、鉛直方向に建つ構造部材(柱、耐震壁、ブレース)のもつ耐力を合算して算定したものだ。
このとき全てラーメン構造の場合、当然、保有水平耐力の内訳は柱の耐力の合算で100%の値になる。

ところが、ラーメン構造と耐震壁が併用される場合、各耐力も柱と耐震壁にいくらか分担されるね。たとえば、保有水平耐力の内訳をみると、80%は耐震壁で、残りの20%分が柱の耐力、のようにね。

問題文に明記された「保有水平耐力に対する耐力壁の水平耐力の和の比率が0.5から0.8となったが…」ってのは、そういう意味なんだ。

保有水平耐力に対する、耐力壁の水平耐力の和の比率を計算式で表すと

耐力壁の水平耐力の和/保有水平耐力

となる。そして、上記の値が0.5⇒0.8なので、保有水平耐力のうち80%分が耐力壁の水平耐力ということだね。
要するに、ほぼ耐力壁でもっている建物というイメージだ。

Ds(構造特性係数)

Dsは「構造特性係数」といって 建物の壊れ方 を表す値だ。Dsの詳細は下記で解説したよ!

今回は簡単に下記の2つを覚えておいて!

  • 耐力壁やブレースが多い構造  ⇒ 急激に耐力が低下する壊れ方 ⇒  Dsは大きくする

  • ラーメン構造  ⇒ 粘り強く、じわじわと耐力が低下する壊れ方 ⇒  Dsは小さくする

こういう違いがあるんだ。

まとめ

よし。これまでの情報を元に整理しようか。

鉄筋コンクリート造では、耐力壁とラーメン構造(剛節架構)を併用することが多い。そして問題文には「 設計変更により 耐力壁量 が増加し… 」とあるね。

耐力壁が増えることは 「急激に耐力低下する壊れ方」の影響が強くなると考えればいいね。

つまり・・・ Dsは大きくなる
Dsは小さくしてはいけないよ。

こんなかんじで問題を解けるよ!

参考

最後に参考にした記事を掲載しておくね~。それでは~。

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