ラーメン構造の座屈長さ【建築士試験】
こんにちは!ゼロ所長です。
今日は、ラーメン構造の座屈長さについて考えるね。
こんな問題が出題されることがある。
ラーメン構造の柱材の座屈長さは、節点の水平移動が拘束されていない場合、一般にその柱材の節点間距離より短くなる。
正解は・・・ ×となるのだけど、なぜだかわかる?
知識ゼロの人が読んだら意味不明の文章だね。
一緒に考えてみよう。
座屈長さと座屈
座屈は、部材が圧縮力により「ぐにゃっ」と曲がり、急激に耐力低下を起こす現象だね。
「急激に」というのがポイント。
建物が「急に壊れる」と、避難する時間が無くなり人命を守れないよね。
だから「座屈」や「せん断破壊」など「急激に耐力が低下する」破壊の仕方はしないように構造設計をするんだ。
柱の座屈のしやすさは、柱端部の支持条件(固定の度合い)で変わるよ。
ざっくりいうと、端部をより拘束するほど座屈しにくい。逆に、端部の拘束を緩めるほど座屈しやすくなるんだ。
何となくイメージできるよね?
だから、柱の長さが同じだとしても、端部の条件により、座屈のしやすさは変わるってことだ。
端部の支持条件を考慮した座屈のしやすさを決める係数を「座屈長さ係数」という。
座屈長さ係数と柱の長さを掛け算したものを「座屈長さ係数」というんだ!
当然、座屈長さが大きいほど座屈しやすい部材になるよ。
端部が水平移動するかしないか
ここまでザックリ座屈長さを解説したけど、座屈長さを考える上でもう1つ重要なことは
端部が水平移動するかどうか
なんだ。
たとえば、ペンの先端を手でギュッと握ってみてくれ。
このとき手で力強く握るとペンの移動は一見拘束されているね。
でも、握った手は腕そのものを動かして水平方向に動かすことができる。
だから、仮に端部を固定支点にしても、その固定支点そのものが水平方向に移動する場合、固定度合いはやや低下しているんだ。
つまり、端部の支持条件は「水平移動の有無」がめっちゃ重要。
必ず覚えておいてね。
ラーメン構造の座屈長さ
ラーメン構造の座屈長さは建築士試験でも良く出題される。
これは柱単体の座屈長さとちょっとだけ考え方が複雑になるからだね。
ラーメン構造は柱と梁だけでつくる骨組みだね。
柱と梁は一体化しているんだ。
ラーメン構造の柱の頭部分に注目してほしい。
水平移動は拘束されていない、よね。
実際、ラーメン構造に地震力が作用すれば、当然、水平方向に移動するんだ。だからラーメン構造の座屈長さを考えるとき、特記が無ければ、水平移動は拘束されないとする必要がある。
前述したように、水平移動が拘束されていなければ、端部の固定の度合いはやや低下する。
端部の固定の度合いが低下するほど座屈しやすい。つまり、座屈長さは大きくなるよね。
少なくとも、柱の節点間距離(柱の長さ)より短くなることは無いんだ。
まとめ
よし。これまでの情報を元に整理しようか。
端部をより拘束するほど座屈しにくい。逆に、端部の拘束を緩めるほど座屈しやすくなる
座屈長さが大きいほど座屈しやすい部材
水平移動が拘束されていなければ、端部の固定の度合いはやや低下
ラーメン構造の場合、端部の水平移動は拘束されない
の節点間距離(柱の長さ)より短くなることは無い
こんなかんじで問題を解けるよ。
参考
最後に参考にした記事を掲載しておくね~。それでは~。