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鋼材の長期許容応力度と基準強度の関係【建築士試験】

こんにちは!ゼロ所長です。

今日は、鋼材の長期許容応力度と基準強度の関係について考えるね。
こんな問題が出題されることがある。

板厚40mm以下の SN400B材 において、 基準強度Fは325N/m m2 であり、 長期許容引張応力度 は 216N/mm2 である。

正解は・・・ ×となるのだけど、なぜだかわかる?
知識ゼロの人が読んだら意味不明の文章だね。
一緒に考えてみよう。


鋼材の基準強度

鋼材の基準強度は、許容応力度(部材が耐えられる応力度の値)や材料強度の基準になる値だ!

そのままの意味で、色々な強度を算出するときの「基準になる強度」と覚えておけばいいね。

基準強度の記号はFで表すよ。

建築の部材の強度には色々な種類がある。

  • 材料強度(の中に、圧縮強度、引張強度、曲げ強度、せん断強度、付着強度・・・がある)

  • 許容応力度(の中に、圧縮強度、引張強度、曲げ強度、せん断強度、付着強度・・・がある)

これらの強度を算定するとき、基準となる強度に係数を掛け算して算定すると比較的、考え方がシンプルで簡単だね。
なぜって、圧縮強度も引張強度もFを元に算定すればいいからさ。
覚えやすいね。

基準強度の考え方は下記も参考にして欲しい。

鋼材の基準強度とは、告示2464号に規定される「鋼材の許容応力度、材料強度の規準になる強度」です。例えば、鋼材の長期の許容応力度(引張)=F/1.5のように表します。Fが基準強度です。基準強度Fは、鋼材の材質毎に変わります。

http://kentiku-kouzou.jp/koukouzou-kouzaikijunkyoudo.html

鋼材の基準強度は材質ごとに一応異なるよ。
下図の通りだ。

鋼材の基準強度
鋼材の基準強度1
鋼材の基準強度
鋼材の基準強度2

図をみて何か気づいたことは無いかな?
実は、材質ごとに基準強度を丸暗記する必要なんてない。
覚えやすい共通点があるんだ!

まず鋼材の材質が400N級か490N級かで基準強度は大きく変わる。
こんな感じだね

  • たとえばSN400B材の基準強度F ⇒ 235N/mm2(t=40mm以下)

  • たとばSN490B材の基準強度F ⇒ 325N/mm2(t=40mm以下)

つまり、○○400ならF=235、○○490ならF=325と覚えておけばよいってことだ!

次に鋼材の板厚も重要なんだ。板厚が大きすぎると基準強度は低下する。
これは材料の寸法効果によるものだけど興味のある人は詳細は下記を参考にして欲しい。

前述した強度は板厚が40mm以下の場合の値。
板厚が40mmを超えるとこんな値になるよ。

  • たとえばSN400B材の基準強度F ⇒ 215N/mm2(t=40mm超)

  • たとばSN490B材の基準強度F ⇒ 295N/mm2(t=40mm超)

建築士試験ではあまり特殊な鋼材に関する問題はでないから、400N級、490N級の4つのタイプを暗記しておけば問題無いと思う!

基準強度の詳細は下記を参考にしてね!

鋼材の長期許容応力度

鋼材の長期許容応力度の値は下記を計算して求めるよ!

  • 圧縮、引張り、曲げ ⇒  F/1.5

  • せん断 ⇒  F/(1.5√3)

要するに基準強度を1.5で割り算して求める!
せん断の長期許容応力度はちょっとイレギュラーでFを1.5√3で割り算する。

許容応力度は、部材が許容できる応力度の値を表すよ。
「許容できる」ってのが何だか変な日本語だけど、言い換えるなら「耐えられる」ってことかな。
許容応力度は、部材が耐えられる応力度の値。

たとえば、許容応力度=100N/mm2としよう!部材に50N/mm2の応力度が生じているとする。
このとき「応力度<許容応力度」の関係だから部材は耐えられるね。
でも、応力度=120N/mm2だと、許容応力度を超えてしまうから、部材は耐えられない!
こんな理解で良いよ。


もう1つ重要なことは、許容応力度には長期と短期の値があることなんだ。
長期と短期の考え方は下記が参考になるね。

簡単にいうと

  • 長期許容応力度 ⇒ 長期荷重(常に作用する荷重)に対する許容応力度

  • 短期許容応力度 ⇒ 短期荷重(数十年、数百年に一度作用する荷重)に対する許容応力度

短期荷重は地震力をイメージするといいよ。
大地震は滅多に起きない分、起きた時の力は凄まじい。
つまり地震力などの短期荷重は長期荷重と比べても大きくなることが多いから、それに応じて短期許容応力度も大きい値をとるんだ。

短期許容応力度の値は下記の通りだ

  • 圧縮、引張り、曲げ ⇒ F

  • せん断 ⇒ F/√3

長期許容応力度を1.5倍すると短期許容応力度の値になるね。
許容応力度の詳細は下記が参考になるよ!

まとめ

よし。これまでの情報を元に整理しようか。

  • ○○400材の基準強度 ⇒  235N/mm2

  • ○○490材の基準強度 ⇒  325N/mm2

「数字の大きい方が、大きい値に対応する」 と覚えると簡単かな。

ゼロ所長は「235と325」という間違えやすそうな数字のひっかけを狙った問題だと思っているよ!
こういったひっかけ問題は一級建築士試験に多いよね。
緊張したり、あやふやに暗記すると間違えてしまうので注意したいな。

参考

最後に参考にした記事を掲載しておくね~。それでは~。


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