高力ボルト摩擦接合と溶接とを併用する場合【建築士試験】
こんにちは!ゼロ所長です。
今日は高力ボルト摩擦接合と溶接とを併用する場合について考えるね。
こんな問題が出題されることがある。
一つの継手に高力ボルト摩擦接合と溶接とを併用する場合、 高力ボルトの締め付けに先だって溶接を行うことにより、両方の許容耐力を加算した。
正解は・・・ ×となるのだけど、なぜだかわかる?
知識ゼロの人が読んだら意味不明の文章だね。
一緒に考えてみよう。
高力ボルト摩擦接合と溶接とを併用する場合
結論からいうね。「高力ボルトの締め付けに先だって溶接を行う場合」は、両方の許容耐力は加算できず「溶接の耐力のみ」考慮するよ。
順番に説明しよう!
建築物に使うボルトには
普通ボルト(単にボルトともいう)
高力ボルト
の2種類があるんだ。主に、構造部材に使うものは「高力ボルト」だね。
高力ボルトの特徴を簡単にいうと、「耐力が大きい」「大きな締め付け力を導入できる」ことが挙げられる。
特に重要なのが「大きな締め付け力を導入できる」ことだ!
簡単のため「2枚の板の高力ボルト接合」を考えよう。
孔を空けた2枚の板を密着させ、高力ボルト通して締め付ける。
所定の規格で高力ボルトを締め付けるのですが、この高力ボルトを締め付ける力により、板同士が密着する面には「摩擦抵抗力」が生じるんだ。
この摩擦抵抗力により高力ボルト接合は荷重に抵抗できるってわけ。
摩擦抵抗力は「摩擦係数(摩擦面の粗さ)×摩擦面に直交する方向の荷重」で決まる。
考え方の例をいうからイメージしてほしい!
スケート場の上に靴を履いた2人の男性が立っている。
1人は体重60kg、もう1人は体重150kgとするよ。
同じ力で押したときに滑って動き始めましたが、どちらの方が早く止まるののかな?
ただし、靴裏とスケート場の接する面(摩擦面)の条件は同じだよ。
答えは「体重150kgの方が早く止まる」んだ。
体重150kgの方が、「摩擦面に直交する方向の荷重」が大きくて、摩擦抵抗力が大きくなるからだね。
考えてみると、ごく当たり前の自然現象だよね。
つまり、大きな力で締め付けできる高力ボルトだからこそ、摩擦接合が成り立つってことだ!
話を元に戻そうか。
高力ボルト接合は「高力ボルトによる大きな締め付け力」により摩擦面に摩擦抵抗力を発生させる接合方法だよ。
問題文のように
「高力ボルトの締め付けに先だって溶接を行うこと(溶接→高力ボルト接合)」をすれば、
「高力ボルトによる締め付け力」が 適切に働かないんだ。
摩擦力を発揮させるには、高力ボルトで締めて摩擦面を圧着させる必要があるからね。
先に溶接しちゃったらボルトを締めても摩擦面が圧着しないかもしれないよね。
だから「高力ボルトの締め付けに先だって溶接を行う場合」は、高力ボルト接合による耐力は期待できない(0と考える)。
両方の許容耐力は加算できず「溶接の耐力のみ」考慮する。
一方で、「溶接の前に高力ボルトの締め付けを行う場合」は、両方の許容耐力を加算することが可能だよ。
溶接の影響が無く、高力ボルトによる締め付けが行えるからだね。
要するに・・・
溶接→高力ボルト: 溶接の耐力のみ
高力ボルト→溶接: 両方の許容耐力を加算
になる!
ちょっとした言葉の違いで正反対の答えになるので注意 しよう。
まとめ
よし。これまでの情報を元に整理しようか。
高力ボルト接合は、高力ボルトにより摩擦面に大きな摩擦力を発生させて力を伝達する接合
先に溶接したらボルトを締めても摩擦面が圧着しない ⇒ 摩擦力が適切に発揮されない ⇒ 高力ボルト接合による摩擦耐力は期待できない(0と考える)
「溶接の前に高力ボルトの締め付けを行う場合」は、両方の許容耐力を加算することが可能
こんなかんじで問題を解けるよ。
参考
最後に参考にした記事を掲載しておくね~。それでは~。
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