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「感覚派 or 理論派という分け方は正しい?」 【ゼロからはじめる音楽理論 No.1】

はじめに

音楽理論の必要性をめぐって、こんな会話がおこることがよくあります。


「理論なんかに役に立たない!音楽は感覚でやればいいんだ!!」

「いや、感覚に頼ってちゃダメた! ちゃんと理論をおさえるべき!!」

バンドのメンバー間で、大学の軽音楽部やジャズ研で、あるいは見知らぬ人同士がSNSでこんな話 をしては、決着がつかないまま険悪な雰囲気になったりしています

これはどちらが正解というよりは、”それぞれの立場で正しい” といえます。

ふだんの音楽活動のなかで、理論を使わなくてもとくに困っていないひとは「感覚が大事だ」と いうでしょうし、理論が役に立っているひとは「理論は大事だ」というでしょう。

しかし、そもそも音楽とはそんなシンプルに「感覚 or 理論」というふうに分けられるものなので しょうか?

感覚派 or 理論派という分け方は正しい?

たとえば、あなたが

「100%感覚だけで音楽をつくろう!」

とおもい、感覚にまかせてギターを かき鳴らし、曲を作ったとします。

そうして出来上がった曲は「100%感覚で作った」といえるでしょうか?

その作曲につかったギターはおそらく太い弦から順に「ミ, ラ, レ, ソ, シ, ミ」 というふうにチューニングされていたはずです。

では、なぜあなたのギターはそのようにチューニングされていたのでしょうか?


そこには、「そのようにチューニングする音楽的な理由」があります。
そして、それは音楽理論から導き出されたものです。

わたしたちが使う楽器の多くは、それ自体が音楽理論とふかく結びついたものです。

どうやらわたしたちは、ふだんから意識することなく音楽理論の影響を受けているといえそうで す。



逆にあなたが

「100%理論だけで音楽をつくろう!」

とおもい、理論の本に書いてるとおりに コードを並べて曲が完成したとします。

はたして、その曲は「100%理論だけでできている」のでしょうか?

その理論の本にかいてあるコード進行は、理論を作ったひとたちが「この和音は聴いていて気持ちいい」と思ったからその形になったのではないでしょうか?


音楽は、物理現象や数学とも深く関係していますが、あくまでも「美学」の領域にあるものです。

その理論体系ができあがるにあたって、「この和音は美しい」であったり、「この和音は緊張感 があってドキドキする」といった人間の感覚が入り込んでいます。


どうやら、わたしたちは「100%理論だけで音楽をつくること」も、「100%感覚だけで音楽をつ くること」もむずかしそうです。


つまり、「感覚 or 理論」という対立関係ではなく、

「音楽理論と人間の感覚は切りはなせないものであり、互いに影響をおよぼし合っている」

というのが、より「誠実な言いかた」であるといえます。


このコースでは、さまざまな音楽的知識についての理解を深めていきますが、くれぐれも

「音楽理論とは無味乾燥なものではなく、人間の感覚がとても深く関係している」

ということを常にあたまに留めておいてください。
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さいごまで読んでいただきありがとうございました!
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