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【初心者向け】上海トランジットのあれこれ
※当記事は「Anti-Aging Record Advent Calendar 2024」の記事になります。
はじめに
AAR10期生のえれ(@0e0o0)です!
2024年、新型コロナウイルスによる移動制限がほぼなくなり、国内外の移動が自由になりました。AARメンバーの中にも、海外への旅行やフェスの参加を計画している方もいるのではないでしょうか?
欧州に向かう格安航空券を探していると、中国東方航空の上海経由便がやたら安いのに気がついた方もいると思います。Defqon.1やQlimax、Masters of Hardcoreが開催されるオランダへの便も、TomorrowlandやRampageが開催されるベルギーに行く便も、航空券代を安く済ませようとしたら中国東方航空のお世話になることが多いでしょう。
でも、「中国東方航空は安全なのか?」「経由地の上海でどう過ごせばいいのか?」と気になる方も多いと思います。
私自身、2024年9月に名古屋→上海→深圳の国内線乗り継ぎと、10月に名古屋→上海→ドバイのトランジットビザ免除制度を利用した国際線乗り継ぎを経験しました。この記事では、主に
中国東方航空を利用した格安海外旅行に興味がある方
中国に初めて入国する方
に向け、主に上海での乗り継ぎや観光に使えそうな情報をいろいろ書いてみようと思います。
ちなみに、この記事は日本人の中国観光ビザ免除が復活する前の話なので、今はもう少しフリーになっているかもしれません。その点だけご了承ください!
1.入国を伴わない国内線乗り継ぎの流れ
上海で中国に入国し、そのまま中国国内線に乗り継ぐ場合は手荷物の受取・再度預け入れをすることなく制限エリア内で乗り継ぎが可能です。中国東方航空または上海航空以外での乗り継ぎは、手荷物の再度預け入れが必要となりますので注意してください。
流れを以下に示します。
①入国審査エリアに向かう
外国人は指紋の採取が必須と定められており、指紋採取機の指示に従い指紋を登録する必要があります。過去に登録している場合は登録済証が発行されます。
②"Transfer"の表示に従って入国審査窓口に向かう
乗り継ぎ用の入国審査窓口は通常の入国審査窓口と別の場所に配置されています。日本人を含め外国人はほぼ利用しないので空いていることが多いです。
予め記入しておいた入国カードと指紋の登録済証を用意の上、入国審査を完了させてください。
③待合スペースで待機する
入国審査を終えるとそのまま国内線の制限エリアに向かえるわけではありません。待合スペースに案内され、「〇〇から来た便から国内線に乗り継ぐ人はゲートへ」という呼び出しがあるまで待つことになります。
外国人が利用することを想定していないためか、案内は中国語のみでした。待ち時間は私が利用した際は20分程度だったと思います。
④国内線の制限エリアに移動
空港内を道なりに歩いていくと国内線の制限エリアに到着します。途中で荷物検査があるので、電子機器やバッテリーをすぐに取り出せる準備をしておくとよいでしょう。中国はモバイルバッテリーの機内持ち込みに厳しく、容量表記が視認できない場合は没収されますので注意してください(1敗)。
流れは以上になります。迷ったら空港職員にチケットを見せると丁寧に教えてくれるので、困る場面はそう多くないと思います。
2.入国を伴う国際線乗り継ぎの流れ
上海を経由して第三国に出国する際、乗り継ぎ便までの時間が空いていると、中国に入国したうえで手荷物の受取・再度預け入れを行う必要があります。出発地の空港窓口でスルーバゲージされないという案内があった場合は、このケースに該当します。この場合、TransferではなくArrivalの入国審査窓口に向かう必要があります。
流れを以下に示します。
①入国審査エリアに向かう
外国人は指紋の採取が必須なので、指紋採取機の指示に従い指紋を登録する必要があります。過去に登録している場合は登録済証が発行されます。
②"Arrival"の表示に従って入国審査窓口に向かう
周りの旅行客の流れに沿って向かえば問題ありません。入国審査エリアの前に中国人/外国人で道が分かれるので、外国人の方に向かいます。
予め記入しておいた入国カードと指紋の登録済証を用意の上、入国審査を完了させてください。かつて24hトランジットビザ免除制度を利用する際は、宿泊先の書類が必要でした。
③手荷物受け取り・次の便に向けた再度預け入れ
こちらについては通常の空港と変わらないので特筆すべき点はありません。
3.上海での過ごし方
日本から上海経由で飛行機を乗り継ぐ際、上海で一晩を過ごすこともあるでしょう。本章では、私が中国渡航に向けていつも用意しているものや上海での過ごし方についてまとめました。
①用意しておくと便利なもの
1.Alipay
中国ではキャッシュレス決済が主流です。ただし、VISAやMasterCardを用いた決済ができる場所はほとんどありません(2024年時点)。その代わり、外国人でもAlipayやWeChat Payを利用してバーコード決済が可能です。
特にAlipayは通常の買い物に加え、公共交通ICカードなしで地下鉄やバスに乗れるため大変便利です。渡航前にAppStoreやGoogle Playからアプリをインストールし、アカウント作成とクレジットカードの紐付けを済ませておくとよいでしょう。
2.百度地図
中国ではGoogle系サービスが制限されており、たとえばGoogle Mapでは正確な公共交通情報を得ることができません。地下鉄やバスなどの公共交通機関を利用する場合、中国国内向けに特化した地図アプリを用意すると便利です。
代表的な地図アプリとして百度地図や高徳地図があります。私は知人の勧めで百度地図を利用していますが、この辺は好みで選んでください。
3.滴滴出行(DiDi)
中国では滴滴出行(DiDi)を代表とする配車サービスが広く普及しており、日本でのタクシー利用よりもはるかに安価で移動が可能です。車で20分の距離であれば5〜600円程度で移動できます。
DiDiはUberやGrabのような使い勝手で簡単に車を呼べますが、利用には中国本土向けアカウントの作成が必要です。必要があれば準備しておきましょう。
4.通信手段
中国ではGoogle、LINEなど様々なサービスへのアクセスが厳しく制限されています。これらを回避する手段としてポケットWiFi、simカード、データローミング、有料VPNが挙げられますが、1日だけの滞在であればデータローミングで充分でしょう。
有料VPNについては過去複数回の中国渡航で「かべネコ」を利用しましたが、料金設定も安く、トラブルに遭遇したこともないのでおすすめです。中国在住邦人は「ExpressVPN」や「1coinVPN」を使用していることが多いと聞きました。
②1日で回る上海観光のすすめ
上海には見どころが多く、1日では回りきれません。その中でも、特に中国の魅力を1日で感じられるスポットをいくつか紹介します。
1.リニアモーターカー
2002年に開業した上海浦東国際空港と竜陽路駅を結ぶ高速鉄道。かつては最高速度431km/hでの運行を誇りましたが、現在は最大300km/hで運行されています。
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設備が古いので最新技術を体験するのが目的だと物足りないかもしれませんが、地下鉄で1時間近くかかる空港と市街地の移動時間を少しだけ短縮できるため、そこそこ実用的。運賃は片道50元ですが、航空券のeチケットを提示すれば40元で乗車できます。私の場合、ドバイへの乗継便が早朝発だったため、竜陽路駅近くのホテルに宿泊し、空港に向かう際に利用しました。
2.豫園商城
明の時代に建設された歴史的な庭園である豫園。私は歴史にそこまで興味がないため、近隣の豫園商城に行きました。このエリアは伝統的な建造物"風"の商業施設が立ち並び、上海グルメやお土産を楽しむのにちょうどいい場所です。
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3.南京路歩行街
上海で一番賑わっている繁華街といえばこの大通りだと思います。中国発のチェーン店をはじめ、デパートや飲食店、ホテルが立ち並ぶ賑やかなエリアです。ここでは何箇所かおすすめスポットを紹介します。
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①MINISO LAND
DAISOとUNIQLOのロゴを意識した、怪しい日本語満点の雑貨店として知られていたMINISO(メイソウ)。今や高品質・安価な雑貨や日本のコンテンツとの複数のコラボを通じて中国国内外で大人気の雑貨店としての地位を獲得しました。南京路歩行街にはその旗艦店の1つである「MINISO LAND」があります。
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ちいかわとサンリオのグッズが人気のようで、とても繁盛していました。日本でちいかわのぬいぐるみを買うより若干安かった記憶があります。
②上海新世界大丸百貨
大丸百貨店の大型店舗です。入っているブランドは日本の価格よりも高めなので、免税品目当てで行くのはおすすめしません。比較的安価なレストラン街とウォシュレット付きの綺麗なトイレがあるので、疲れたときにふらっと立ち寄ってみるといいかも。
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また、三菱電機製の螺旋エスカレーターが多数稼働しています。日本国内にも螺旋エスカレーターはありますが、ここまで多く設置している施設は世界でもそう多くないと思います。12台稼働してるらしい。
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③百聯ZX創趣場
2023年に新規オープンした、テナントがほぼ全てアニメショップのビル。二次元コンテンツの聖地として上海の若者に人気だそうです。
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日本から直接輸入した商品をはじめ、原神やゼンゼロなど中国発のコンテンツ、BiliBiliが監修しているボーカロイドのグッズなど、日本にいるとなかなか買えない商品まで揃っています。アニメイトやアニプレックスも店舗を構えているので、好きな作品の中国語版を探すのも楽しいかもしれません。
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余談ですが、中国ではニディガがめちゃくちゃ流行ってるらしいです。街中を歩いてたらニディガのイラストを無断使用したガールズバーの広告がありました。
どっかで見たことあるな pic.twitter.com/XVfCOXaGJ8
— えれ (@0e0o0) September 6, 2024
4.外灘
租界時代の洋館が立ち並び、川を挟んだ先の夜景がとても綺麗なエリア。上海に来たらぜひ行ってほしい場所の1つです。南京路歩行街のすぐそばにあるのでアクセスも良いです。
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ライトアップされた景色を楽しむ場所なので、日が沈んだ頃に行くのがおすすめです。ただし、夜の時間は平日でもかなり混んでいるのでご注意を。
4.中国東方航空に搭乗して思ったこと
中国東方航空は価格帯に反してフルサービスキャリアなので、乗客1人につき2つの手荷物預け入れや機内食など、様々なサービスを利用できます。これまで何回か乗ってみて感じた点をまとめてみました。
①メリット
1.スカイチームに加盟している
個人的にはこれが大きいと思います。特にJALと提携しているので、中国東方航空の機体がJALのコードシェア便として使用されることもありますし、微々たる量ですがJALのマイルを貯めることができます。
2.機内サービスが普通にある
中国東方航空では普通の航空会社と同じように、機内食や飲み物の提供が行われます。ただ、便によってはサービスが簡素になっているようで、例えば名古屋-上海便では選べる飲み物が水・コーヒー・紅茶だけでした。機内食も中華料理っぽい点を除けば普通です。ただ、10時間の長時間フライトには普通の機内サービスでも非常にありがたかったです。
②デメリット
1.遅延が多い
中国東方航空にはこれまで10回ほど搭乗しましたが、そのうち6回は遅延していました。15分程度の軽微なものから乗り継ぎ便に間に合わないような数時間の遅延までさまざまでした。そもそも中国発着便(特に国内線)は、「遅延しなかったらラッキー」ぐらいに思っていたほうが良いです。ただし、遅延によって乗り継ぎができなかった場合には、宿泊先や振替便の確保をしっかりと行ってくれたのでその点は安心です。
離陸キャンセル界隈 pic.twitter.com/jtrevOgdZk
— えれ (@0e0o0) September 9, 2024
2.機内エンタメがしょぼめ
しっかりと使っていないので分かりませんが、機内エンタメが物足りないと感じました。例えば、映画の種類や対応言語が少ないことや、ゲームが起動しない、座席によってはタッチパネルやUSB充電器が壊れているなど。最近はスマホで時間つぶしする人が多いと思うので、そこまで重要ではない気がします。
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結論としては、JALなどの高価・高品質な航空会社には劣るものの必要十分なサービスが提供されているので、通常利用する分には問題ないでしょう。しかし、とにかく遅延が多いので、余裕を持った乗り継ぎ時間を確保することや、海外旅行保険の遅延補償に加入することをおすすめします。
おわりに
2024年は、私自身にとって久々にあちこち旅行を楽しむことができた1年でした。新型コロナウイルスによる移動制限が解除され、国内外で様々な経験をすることができました。おそらく来年は、さらに自由な移動が可能になり、AARメンバーの皆さんも海外旅行や遠征をもっと楽しめるのではないでしょうか。
この記事が、そんな旅の計画や準備の一助になれば嬉しいです。新しい土地での発見や経験が、皆さんにとって素晴らしい思い出となることを願っています。
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