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青天

 最近は青天ばかりをじっと見ている。星を見たい欲求が、夜空では満たせなくなってきたから。
 一年前、正月明けに家族と食事に行った夜。義父や義妹とオリオン座付近の星を見上げながら、星座盤にない一等明るい星が一体なんなのか話していたけど結局分からずじまいで、みんなが帰った後に、あれは、もしかしたら惑星なんじゃないか、と気づいた時の衝撃から星に興味を持った。(結局それは木星だった)。
 誕生日が近かったのでこれ幸いとねだりにねだり。母からもらった星空の本を読み、父と兄弟からもらった双眼鏡で夜空を覗き見るようになって、日に日に移ろう星を楽しみながら星座や神話にも少しだけ親しみが持てるようになった一年だった。今、はじまった時と同じ星座が空にあることが懐かしく、あの時はおひつじ座のハマルのすぐ近くにあった木星が、今はおうし座のアルデバランの隣にある。
 昔、あった物、いた人々が再び同じ場所に戻ってくる。だけれどもどこか違うところがあって決して同一ではない。相違から生じる懐かしさと寂しさは、どうにかこうにかおろおろ生きている自分の中で心に引っ掛かり続けている錘のような命題だと感じている。一日という単位でも、一年という単位でも。星の見えない昼だろうと(当然だが太陽も星と同じ天体だ、あまりにも圧倒的で忘れがちだけど)、曇りの夜だろうと関係なく。そこに寝起きする私の意図など関係なく、大きなもの達が行き過ぎて回帰することに寂しさと安堵を覚える。

1/13の満月(ちょっと手前)

 星を見るようになってから、個人的に色々な発見がありました。地面の下にも星があるとか、便利なアプリで精度良く星空観察が楽しめるとか。どれもこれも当然だけど、そこに再び目を向けることができるのも楽しくてしょうがない。
 今後、そういう些細な発見も書いていけたらと思います。

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