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セレスタイト
その石との出会いは忘れもしない、ある湖の近くの土産物屋でのことだった。アイヌの様々な民芸品に紛れ、その石はそこにあった。一目惚れだった。
それまで石を拾うだけだった子供が、初めて石を購入した日だった。
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名称
石の名前はセレスタイトと言った。由来はラテン語で、「空色」という意味を持つ。和名も天青石と空色をイメージさせる名前だ。
その名前の通り、やや灰がかった薄い青色をしている。結晶は透明で母岩は白く、それはまるで真っ白な雲間から覗く空なのだ。僕はその青に魅了された。
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組成
化学式:SrSO4
見ての通りストロンチウムが主成分であり、図鑑では鉱石として材料になる鉱物のページに乗っていたりする。
ストロンチウムといえば美しい紅の炎色反応で、それを利用される花火は説明のときによく上げられるし、僕はそれが好きだ。
晴れた空色の鉱物が、手を加えられ最後に夜空で紅く爆ぜるというのは情緒的だ。
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比重
そもそも「比重とは」という話をするが、同じ体積の水の何倍の重さになるか、というもので要するにどのくらいの重さがあるかという話になる。
セレスタイトは平均で3.95とされる。
他の例を上げるとすれば、ガラスの原料になる石英は2.7。食塩に利用される岩塩なら2.2。鉄の原料になる鉱石は色々あるが、赤鉄鉱なら5.3で磁鉄鉱なら5.2。その他同じバライトグループの重晶石は4.5。
どちらかといえば、重たい方の鉱物と言ってもいいだろう。手のひらに乗せた時の重さに、僕は安心感を覚える。
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硬度
重たいと丈夫そうなイメージを持たれそうだが、硬度は高くはない。むしろ脆いとされる鉱物だ。モース硬度は3〜3.5で、さらに劈開と呼ばれる割れやすい角度がある。
モース硬度というのは「互いに引っ掻きあった時どちらに傷がつくか」という硬度基準であり、ハンマー等で叩いた時に割れるかどうかはまた別の話になる。硬度は10段階で、最高硬度のダイヤモンドは10。最低硬度は滑石の1。
石英は7で、これ以下の硬度を持つ鉱物は宝石に適さないと言われ、セレスタイトがカットされルースとして出回ることは滅多に無い。硬度が低く脆い鉱物は加工するのが難しい。
落としたら粉々。他の鉱物と触れ合えば傷がつく。そんな可能性を秘めるデリケートな鉱物だ。
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石言葉
「清浄・博愛・休息」等の石言葉がある。パワーストーンには疎いが、浄化の力があるという文をよく散見する。
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空というのは手に入らない。届かないし触れられない。手に入るものではないけれど好きで仕方なくて、欲しくてたまらなくて、スマホでもデジカメでもバカの一つ覚えのように、同じような空の写真がデータに残ってることがよくある。
そんな人間に、空を模したような美しいものを見せたらどうなるかなんて、分かりきっているだろう。