BANANA FISHを読み終えた

……はい、そういうことです。

いやねえ感想だよ!!! 「かんがえたこと」とかぶん投げてクソデカ感情ぶちまけていくだけだよ!!!


感想です

なんていうか、一言で言えば「僕好み」だった。

アッシュと英二。このふたりの関係性が本当に好きだ。僕の書いてる話読んでる人だったらわかるんじゃないかな。それくらい読んでくれてる人いるか知らんけど。
あるキャラがこのふたりのことを「恋人以上だよ」なんて言った。本当にそうだなと思った。しっくりくるんだ。表す言葉が「友達」しかないんだけど、ふたりの間にあるのは友愛や恋愛以上の純愛だったんじゃないかと思う。
あとからこの漫画が少女漫画の雑誌で連載されていたと知り、ああだから「愛」をふたりの間に据えて物語が紡がれたんだなぁと感じた。

最後の最後、手紙で英二はアッシュのことを「守りたいと思っていた」と綴っていた。自分よりも頭もよくて強いアッシュのことを。愛じゃん……。
他の誰が、おっそろしく頭脳明晰でずば抜けて強いアッシュを「守りたい」なんて思っただろうか。きっとアッシュはそれを感じて英二を信頼したんだなって。

一方のアッシュは物語の中で何度も英二を守ってきた。たぶん英二を守ることは、自分を守ること以上に大切だった。大切だからアッシュを陥れたい輩に、英二が狙われる。完全無欠かのように見えるアッシュの最大の弱点だから。
印象的だったのが、英二には手を出さない代わりに自分で自分を殺せ、と言われたアッシュが、敵を撃ち抜くのと同じくらいの躊躇なさで自分の頭を撃ったとき。その銃に弾はなかった。僕は唖然とした。なんならこの主人公「弾がないからよこせ」とか言い出した。

お前~~~~~~~~~~!!!!! おまえ~~~~~~~~!!!!!!!!
って感じ。奴、英二のためならマジでなんでもする。自殺だって、自由を捨てることだって、体を相手に明け渡すくらいのことだって。

アッシュは強くて美しい。だから誰もが捩じ伏せ屈服させようとする。わがものにしようとする。アッシュはそれから逃れ自由を手に入れたいと、たぶんそんな風に思っていた。
でも英二と出会った。手に入れたい自由より手の中にある愛を、失いたくないと思ったのかな……。

愛、しんどみ。アッシュは愛を手に入れていた。

ところで、僕ぁこんな頻度でレイプされている主人公は初めてである。なんなら相手を利用するために、そういう方向で体を使うことを厭わない。もはや理解不能である。こいつ(アッシュ)使えるものは本当になんでも使うな、自分の体すら。
アッシュの初体験もレイプなので、まあバッチリ彼のトラウマだよ。作中何度かそのトラウマ抉ってくるよ。体だって戦闘でボロボロになるのにほんと容赦ねえ作者だな。こっちがトラウマになりそうだわ。

だから、というのも変かもしれんけど、いくら愛があったとはいえふたりの間に肉体関係がなかったのは必然だなと感じている。アッシュにとってセックスは「愛ゆえの行為」ではなく「相手を踏みにじる行為」だったんじゃないかと感じたのだ。彼がずっとそうされてきたように。
性行為は搾取。利害が生まれる行為は、ふたりの間に不要だった。尊い。

山猫だの豹だの悪魔だの魔王だの、本当に人外じみた頭脳と強さと美しさを持ったアッシュだったけど、英二の前ではただの人間だった。英二を「おにいちゃん」なんてからかって呼ぶティーンエイジャーだった。
だから死んだ。英二からの手紙を持って、呆気なく。
英二の愛はアッシュを人間にした。ただの人間は殺気に気がつくこともなく、たかがナイフに抵抗することもできず、迫り来る死を前に「ぼくの魂はいつも君と共にある」という愛の言葉を抱いて死ぬ。

仕事中さ……これを思い出すたびに泣きそうになってな……。

静かな図書館の中。光の下。アッシュは満足そうに、英二の手紙に頬を寄せて死んだ。死んだんだよ。
でも幸せそうだった。

手紙ってさ、その人の想いそのものだと思うんだよね。人の想いは移り変わることもあるだろう。でもその手紙に書かれた言葉が変わることは、けしてない。
アッシュにとっては、ハッピーエンドだったんじゃないかな。英二にとってはバッドエンドだ。生きてるけど。

泣いちゃうなぁ……泣くよ。

「光に憧れて今日も空を眺めるのでしょう」
prayerXの歌詞だけど、アッシュにとっての英二はこれだよ。

flyboy,in the sky.
棒高跳びの選手だった英二は、最初にアッシュを救うため空を飛んで見せた。
きっとそのときからなんだ。「アッシュと英二」の関係が始まったのは。

愛が報われない男の話も好きだけど、アッシュはまあまあ報われていたんじゃないかと。
でも死んだな……。もっと幸せになってもよかっただろ……。

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