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LINE PdM Career Dayに参加しての気づき~自分はPdMと言えるのか~

私は物流マッチングプラットフォーム PickGoを運営するCBcloudという会社でコンシューマー向けサービスの企画を行っている。
フロントエンドエンジニアから企画職に移って1年が経過したが、自分自身のポジションが何なのかいまいち分からずにいる。企画職は「何でも屋さん」感が強く、自分の仕事ってなに?となりがちなのだ。
サービス作りに関わっている人たちには、似たような境遇の人も多いのじゃないだろうか?
今回「LINE PdM Career Day」という、LINEの現役PdMの方々の話を直接聞くことができる採用説明会兼イベントに参加し、この疑問に対する現時点での答えが得られたので、それを記していきたい。
きっと「自分ってPdMなんだろうか?」と感じている方へは参考になると思う。

目次

導入:自分のポジションは何なのか? PdMとは何なのか?
疑問1:責任と権限がなくてもPdMは成り立つのか
疑問2:PdMの具体的な業務は? 
疑問3:PdMのミッションは?
まとめ:現時点のPdM像
結論:自分はPdMなのか
参考:重量級PdMと軽量級PdM

導入:自分のポジションは何なのか? PdMとは何なのか?

「自分のポジションってなんなのだろうか?」という疑問は企画職に移ってからずっと付き纏っていた。
行っている業務は多岐にわたり、サービスローンチと運用のためならばリサーチから要件定義、UIUX作成、開発ディレクション、法務チェック、実際のオペレーション、対外折衝などなんでも行った(もちろん各方面に頼れるスペシャリストがいおり、彼らの協力を全面に受けた上でだが)。

PdMの定義を軽く調べると

製品の事業そのものについての意思決定を行う。戦略はもちろん、デザインや開発、広報に集客と、プロダクトに関わる様々な領域のすべてを司っているため、「製品最高経営責任者(CEO)」「ミニCEO」とも呼ばれている。

といったような説明が多い。

顧客や市場を見据えた視点を持ち、プロダクト・サービスを管理する役割を担う。プロダクト・サービスに関わる社内外の人とコミュニケーションをとるため、ビジネススキルだけでなく、マーケティングスキルや、UI/UXスキル、基本的なテクノロジー知識を持つ必要がある。

という定義に当てはめてみると、自分は確かにPdM的な役割はこなしているのがだが、決してミニCEOと呼べるような責任も権限もないし、そのようなバリューも出せていなかった。

そうなってくると自分のポジションとは何なのかについて疑問を考えざるを得ないのだ。


疑問1:責任と権限がなくてもPdMは成り立つのか

一番大きな疑問は「責任と権限がなくてもPdMは成り立つのか(ミニCEOしかPdMと呼べないのか?)だった。

これに対する今回のイベントで得られた答えは「責任と権限がなくてもPdMは成り立つ」である
これは後述するPdMの業務内容や求められる役割、ミッションにも関わってくるのだが、イベント中に一番印象的だった言葉は「PdMは合意形成のプロセスのマネジメントを行う」という一言だ。
PdMに与えられる責任と権限は、その人自身の役職に応じて変わってくるため、PdMであってもプロダクトに対して全ての裁量権を持つとも限らない。
仮に自分に裁量権がない場合には、しかるべき上層部を巻き込み、関係者の意見をまとめて意思決定まで持っていくという「合意形成プロセス」を進めるアクションが求められるということだ。 

事実、LINEのPdMの方達も「バグフィックスや前プロジェクトのやりのこしなどはPdM判断でリリースを行うが、新しい機能の追加のような大きなことは上長への確認をした上で進めている」と述べていた。

つまり、PdMとは決してミニCEOのように全ての裁量権をもったトップではなくとも、組織の中間に位置する一つの役割として成り立つのだ。そして持っている裁量権によって、必要に応じて合意形成のプロセスを進めていくだけである。

ちなみに、ミニCEOとしてのPdMと、一つの役割としてのPdMの違いの説明として「重量級PdM」と「軽量級PdM」という言葉があるようだ。これは本稿の最後に参考として説明する。

疑問2:PdMの具体的な業務は? 

次に持っていた疑問は「PdMの具体的な業務はなんなのか?」だった。
私はサービスに必要になるがままに、周りから求められるがままにサービスに関わるほぼ全てに関わってきた。
しかし何をどこまで行えばそれはPdMと呼べるのか、これがわからず、PdMの具体的な業務というものが知りたいと思っていた。

イベントで得られたこちらへの自分なりの回答は「PdMは全ての工程に関わる。落ちてるボールがあれば自分で拾う。ある意味何でも屋」である。

具体的などのような工程に関わるか羅列してみると「事業企画、競合・市場調査、方針決め、KPI策定、UX・仕様検討、法務確認、開発進行、デバッグ・品質管理、リリース、マーケティング・PR、効果検証、運用・広告、CS連携」といった具合だ。

もちろんこれらの工程をスペシャリストとして行うわけではない。求められるのは各部署の中心にたって「これはこうしていきましょう!」と取りまとめ、アレンジしていく役割だ。
本筋から逸れるが、PdMには特定業務への専門性はなくてもなりたつようだ(専門性があればもちろん強みにはなるようだが)。むしろ、自分の知識スキルが足りない分野があるのならば、それを補完してくれる人を巻き込む力が求められる。

ちなみに、LINEのPdMの募集要項に書いてある具体的な業務は

・様々なデータやユーザーリサーチを通じたニーズの分析
・新機能や機能改善に関する企画立案、要件定義
・アプリの画面フローやUX設計
・プロジェクト全体の進行管理

と書いてある(一部抜粋)

では、いったい上記の業務をどのようなミッションの下で行うことがもとめられるのだろうか


疑問3:PdMのミッションは?

PdMは上記で述べた工程や業務にただ関わっていればいいわけではない。何かを達成するために、PdMはプロダクトの全てに関わっているのだ。

PdMのミッションとはなにか。イベントで得られた自分なりの答えは
・課題を発見する
・解決策をつくる
・ユーザーの課題を解決する
の3つを完遂することだ。

課題を発見するためには、競合調査も行うし、ユーザーリサーチも、データ分析も行う。解決をつくるためにUXや仕様の設計、法務確認も行う。課題を解決するたために、開発しリリースまでディレクション、PjMも行い、より多くのユーザーに届けるためにマーケティングもするし、CS連携も行いサービス品質向上も行う。
ユーザーの課題を解決することを完遂するために必要なことはなんでも行う。

しかし、もちろん一人で全てを行うことはできないため、それぞれの工程で他部署と連携していくのだ。
この時に、関係者をとりまとめ、同じ方向をむかせ、最終的に完遂までもっていくのがPdMのミッションである。

そして、もし他の部署からこぼれている業務があるならば、自分で責任をもって行うか、誰かに任せることが求められる(どこまでに何を任せるかは事業規模による。小さければほとんどのことをPdMが実際に手を動かすかもしれないし、大きければデータ分析なども専門のアナリストチームにまかせることもあるだろう)

多くの人を巻き込んでいく中で、一番大事なのは「課題を発見する」部分なはずだ。なぜならば、他の人を同じ方向を向かせるためには「なぜ今これを行う必要があるのか」を説明できなければならない。
自分が一番プロダクトのことを理解し、課題を認識し、どれをどの順番で解決していくかを確信を持って人に説明できれば、きっと他の部署もそれを信じて同じ方向をむいてくれるだろう。これは組織的な横や下に対してだけでなく、自分の裁量権によっては上司や経営層の説得までが含まれる。

ちなみにLINEのPdMの募集要項に書いてあるミッションは

プロダクトマネージャーは、担当するプロジェクトや業務プロセス全般における問題解決と完遂を担うポジションとなり、プロダクトの成功にコミットするコアメンバーとしての役割を担っています。

と書いてある。(一部抜粋)


繰り返しとなってしまうが、PdMには何より「完遂すること」が求められるため、そのために必要なプロセスはなんでも行うべきということになる。そしてどこまでそれぞれのプロセスの細部にまで関われるかは、そのPdMのスキルやキャラによって変わってくる。そのため、逆に言えばPdMの業務は一言で言えば「なんでも行う」という具体性が見えないものになりがちなのだ。


まとめ:現時点のPdM像

今回のイベントで得られた現時点でのPdM像をまとめると以下のとおりだ。

ミッション
・課題を発見する
・解決策をつくる
・ユーザーの課題を解決する
の3つを完遂すること

具体的な業務
・ミッションを完遂することに必要な全てのプロセスに関わり、関係者の中心にたち、同じ方向を向かせること
・主には、データやリサーチに基づき課題を発見し、その課題の改善案の企画立案・要件定義、UX設計、プロジェクト進行管理などだが、これに限らない

権限と責任
・PdMという役割であっても権限と責任は役職によって異なる。全ての裁量がなくてもPdMは成り立つ。自分の裁量権を超える意思決定は関係者を巻き込んだ合意形成のプロセスのマネジメントが求められる


結論:自分はPdMなのか

結論として今回のイベントを 通してアップデートされたPdMというポジションに自分は当てはまるのか考えてみたい。

結論は、業務内容で言えばYESだが、PdMに求められているレベルを満たせているかで言えばNOである

事実、事業計画、課題発見、アプリ企画、UIUX設計、開発ディレクション、デバッグ、CS連携など、今回のイベントやLINEの募集要項で出てきたことは全て行ってきた。
他部署への「なぜこれをやるのか」という説明も行ってきた。
権限はほぼないが、その代わりに関係部署や上司との合意形成プロセスを毎回行っている。

しかし、行ってきたからといって、「課題解決を完遂できているか」でいえばNOであり、それはそれぞれのプロセスで求められるレベルがまだ足りていないことによる。


とは言え、今自分が行っていることはPdMを目指す上で、決して道を誤っているわけではないし、PdMのミッションを意識して今後の業務を行なっていくことで、自分のアウトプットのレベルを効率よく上げていくことができるだろうという感覚を掴むことができた。


参考:重量級PdMと軽量級PdM

藤本隆宏の製品開発力という本の中ではPdMを2つ分類しているようだ。
重量級PdMとうのが本稿でいうところのミニCEOであり、軽量級PdMというのがどちらかといえば私に当てはまるのだろう。

それぞれは以下のように説明されている。
> 重量級プロダ クトマネジャーは、組織のなかでも地位が高いのが普通で、各部門の長と同格かそれより格上と いうことも多い。……必要があれば実務担当エンジニアと直接接触し、フォーマルな権限がなく ても、プロジェクトに関するすべての部門や活動に対して直接・間接の強い影響力を行使する。 彼らは、内部調整に責任を有するだけでなく、製品プランニングやコンセプトの創出にも責任を 持つ。重量級プロダクトマネジャーは、事実上その製品についてのゼネラルマネージャーとして 機能するのである。

> 「軽量級プロダクトマネジャー」は、各部門を代表する連絡担当者を通じて、製品開 発活動を調整する役割を担う。地位は高くなく、製品コンセプトに関する責任もない。裏方に徹 してプロジェクトの円滑な進行に尽力する役割である

この本が書かれたのは2009年であり、PdMという言葉も日々変化しているように感じるため、この説明に囚われる必要は一切ないが、重量級でなくともPdMは成り立つのだという根拠にはなると思われる。

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