建前と直感と~複利の計算~
等比数列の和の問題でたまーに出てくる「複利」の問題。
そのなかで、意味の分からない問題があった。
問題と答案と模範解答
あの当時の少年は何も考えずにこんな風に計算した。
これは間違いで、模範解答をみてみる。
すると意味の分からないことを永遠に語っている。
(少なくともあの時の私には意味が分からなかった)
「意味が分からない」の根源
そもそもの話。
単語のおさらいをしておこう。
元金:もともとのお金。今回は100万円
年利:1年間で発生する利子
元利合計:元金と利子を合計したもの
※気になって調べてみたら、「利子」と「利息」はほぼ同じ意味のよう。
受け取るものは利子、支払うものは利息なんだって。
そして「単利」と「複利」のイメージ。
単利は常に元金にのみ利息がかかる。
毎回(毎年)同じ額が増えていく。
言ってみればこれは等差数列の考え方。
複利は「元金と利子」にさらに利子がつく。
つまりは「雪だるま式」に増えるシステム。
利子にも利子が付くから、等比数列の考え方をする。
まず、なぜ間違えたか。
これは簡単で、「かかっていない利子」を計算したから。
2020年末に返済した金額には2021年以降利子がかからない。
2022年末まで利子がかかる部分、2021年末でしか利子がかからない部分。
こんな風に返済のタイミングでかかってくる利子が違うから、そこを計算しなければいけなかった。
これが間違い。
つぎに模範解答。
返済するのになぜ「積み立て」?
「100万かける1.07の3乗」って違うんじゃないの??
そんなことを思っていたらもう頭がパニック。
「視点を変える」模範解答
模範解答で何が起こっているのか。
「毎年同じ額を返済する」ということを、違う目線からみている。
「(返済すると見せかけて)同じ額を(同じ年率で)積み立てる→3年後に一括返済する」
そうすると、積み立てる時期により、利子のつき方が変わってくる。
これで「かかってない利子計算しちゃった」の部分を処理しているわけだ。
計算上積み立てているわけで、借金は返済していないから、借金には丸々と利子3年分が積み重なっていく、という理屈。
それで、「積み立てた分=3年後借金一括返済」という式にすることができる。
今これを書いていても、ふと自信を無くし、また納得する。
それくらい、この模範解答は「視点を変える」をしていて、すぐに納得いかない。
(少なくとも私は納得いかなかった。)
華麗な技を決めて観客を魅了するのもいいが、大学受験では「解くこと」と「正解すること」が求められるわけで、果たして何人の受験生がこの発想にたどり着くことか。
この模範解答を見て、現役自体の私は、きれいに解きすぎることの弊害を感じた。
「返済額を意識する」別解その1
100万円を返済する。
それを中心に考えた解答がこれだ。
返済のタイミングによって利子のつき方が違う。
これを明確に式にしたもの、ともいえる。
解答は途中で終わっているが、模範解答と同じ計算になるので割愛。
問題を解くときに、「返済分を積み立てと考えて…」とできる人と「100万円のうち今年返す分は利子がどれだけで…」とする人のどちらが多いか。
というか、どちらが自然か。
多くの受験生は「天才」ではないし、数学に「芸術」を見出していない。
ならば、より「直感」的な解き方をしたほうがいい。
この「直感」というのは、感覚的な意味合いより、「リニア」「直線的」という表現のほうが近い気がする。
とにかく、私はこの「直感」性を求めて数学の問題と向き合ってきた。
「残金を意識する」別解その2
久しぶりにこの問題と向き合って、そういえば、で解いた解答。
「返済後の金額が3年後に0になっていればいい。」
ただそれだけの事。
一番シンプルにこの問題を解いたらこうなるだろう。
シンプル、直感的、思いつきやすい、…
こういうものを求めると、見た目は汚くなり、計算も煩雑になったりするが、私はこっちの解答のほうが好き。
1つの問題でも、あーだこーだこねくり回すと、いろいろなものが見えてくる。
これが誰かの何かの一助になれば幸。