都に住むか、住んで都と成すか
地主と仲良くなりたいし5000兆円あればすべてが解決すると思っているのだが、多くの人間にとって人生における大域解に到達することは出来ない。僕にとってもそうだ。つまりは何かを手にする代わりに何かを諦めなければならない。
5000兆円あれば、都内にある好きな土地を買い取って、自分の好きな家を好きなように建てられるだろうが、それは諦めなければならない。5000兆円がないので。
契約満了と生活のフィードバック
半年後くらいに、今住んでいる賃貸の契約が満了する。来年の5月頭には管理会社へ退去を申し出る必要がある。
もともと妻と籍を入れる前に「一緒に暮らせるのかどうかも含めてお試しで」ということで今の家に住み始めた。契約期間は2年。無事に籍を入れたし、1年半は山も谷も越えてどうにか仲良く暮らしている。つもりである。
後述するように、お試しをする上では良い家に住めたと思う。自分に必要な設備、必要な広さがなんとなく分かった。そういったフィードバックをベース、次に住む家の間取りなどを考えるタイミングなのだが、世帯を持ったことによって「借りる」と「買う」の天秤が釣り合いつつあることに気づいた。この気づきをもって、夏に建売り戸建てやマンションを見て回る機会を持ったのだが、安い買い物ではなく、ローン見積もりの段階でかなり日和ってしまい、結局諦めた。加えてこの円安で、どうも家を買うには不利な経済状況になってしまったようなので、選択を誤ってしまったかもな、という気持ちも捨てきれない。
とはいえ黙っていても所得水準は上がらないし、ウジウジ悩んでいるくらいならもう2年位は家を借りてしまえ、という気持ちもある。財産としての家について何も分かっていないし。だいたい不動産営業は僕を騙そうとしているのではないかという気持ちで向き合っているので正直苦手意識が拭えない不動産担当者と対等に話し合いができるように相応の知識を持ち合わせておきたい。
備え付け収納は多ければ多いほど良い
今の僕の部屋には収納が一切ない。ただ空間があるだけで、衣服も書籍も自前でなんとかしなければならない。社会人1年目で住んでいた家は和室をフローリングにリフォームした家であったが、押し入れがあり、使わない本などはそこの奥に追いやっていた。使わない服も追いやっていた。
和室のある物件は築年数が古く、退去時の費用が高く付くらしい。大きな収納を条件に老朽化と退去費用を受け入れられるのか、という取捨選択がここで考慮される。
持ち物をうまく減らす: 書籍編
僕たちの間にある合意に「本は生えてくるもの」というものがある。
なぜかはよくわからないが、気がつくと勝手に本が増える。その事自体は半ば仕方がないことである、という合意である。同時に、収入の一定割合は書籍に支出しても仕方がない、という免罪符の意味合いもある。
そして同時に僕たちは紙の本が好きなのである。電子書籍を忌避するわけではなく、良い本は紙で手元に置きたいという欲求を持つ。お互いに紹介し合いたいというときに、紙の本は適している。
ただし、都市の住宅というのは、手狭な土地に効率よく人を配置しようとするために、収納を犠牲にして空間を確保している。したがって、読まない本を納める余裕はないし、それを許す場合、利便性か寝る場所のどちらか一方を諦めなければならない。
昨日、改めて書籍を整理したのだが、読んでもいないし、読む予定もなさそうな本が埃をかぶっている。特に技術書。技術書は、その瞬間その瞬間で興味を持った本がたらふく積まれるのだが、読まないまま時間が経ち、数年後には技術のバージョンが上がることで、本に記載される内容が古くなっている。その状態の本を読むくらいならググったほうが早く、本を開くよりググったほうが実際作業上早い。僕はググって出ることしかやらないので、技術書は紙媒体ではなく、電子書籍で抱えたほうが良いのかもしれない、と思った。
一方で小説は、社会のバージョンアップがあったとしても、それに追随する必要がないし、読まないまま時間が経っても読むべきときが来れば手に取ればいいという余裕がある。数学書もある程度近い。最新の研究動向や理論については、新しい本があることが望ましいが、版を重ねて出版され続けている書籍などは、多少古くてもそこに記載されることが「今自分の目の前にある問題」に活かされないということはそんなにないと思われる。
迷うところは自分が修士の時代に持っていた本で、これは普通に思い出補正が強い。手放すことが純粋に惜しい。愛別離苦とでも言うのだろうか。
しばらくは技術書の購入は電子書籍に移しつつ、紙の本として抱えうるのはこうしたアップデートの影響が軽微な書籍に絞ろうと思う。
一時期流行ったミニマリストは、どうやらすべてを電子書籍にしているらしい。物が少ないことは精神衛生上非常に良いことは理解しているが、紙の本は精神衛生上悪影響を与えない本をしっかり選べば大丈夫だろう、と思う。
階層を考える
僕は「何階に住んだほうがいい」ということを意識することはまったくなかったのだが、妻に聞くと「オートロックがないなら2階以上に住むように、と念を押される」らしい。防犯上の理由ということで、そういうことかと納得した反面、そういう部分を考慮出来ていない自分の浅さを情けなくも思った記憶がある。
オートロックマンションであれば万事安心な訳では無いが、階層は高すぎず低すぎないところを選びたい。土地にもよるが、高すぎると地震のときに長周期地震動がつらい。今住んでいるところも高い方ではないが、部屋は大きく揺れる。地震は避けられないし、倒壊の危険を回避するための機構も避けてはならないのであるが、とりあえずは揺れすぎない階層を選ぶのも手だろうとは思う。
外出が億劫にならない程度の利便性を維持した立地
駅からの距離は少し妥協しても良いかもしれない。というのも在宅勤務を通じて不足している運動量を確保することの重要性が日に日に増しているためである。スーパーであっても見晴らしのいい場所であっても、神社仏閣であっても良いのだが、いつもより遠い場所に歩いて向かうモチベーションが維持できる立地であると、良い気分転換になるだろう。
会社からの利便性は知らんが、会社に行くのもお出かけ感覚だと思えば、ぶっちゃけそう変わらないかもしれない。そう思うと割と広いエリアを候補に入れても良さそうだ。
買うなら?
買うなら土地勘のある妻に立地を任せて、他の要素で譲れない部分がないか考える必要がある。正直住む場所に対する偏見は強いし、買うとなるとその土地への貢献や近所付き合いに気を配る必要もある(賃貸でもそうだが、より貢献度が高くなるだろう)。
そのあたりの覚悟をした上で、良い家を探すようにしたいと思った。