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2020年上半期映画ベスト10

こんにちは、“映画おばけ” です。

鑑賞した2020年鑑賞映画の中から、
ハイライトとなる作品を、
毎月気ままに備忘録&ご紹介。

今月6月は、2020年上半期映画ベストという形で、
1〜6月公開の劇場鑑賞映画の推し10選を、
ご紹介したいと思います。(以下、順不同です!)
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『パラサイト 半地下の家族』

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2019年12月27日日本公開/132分/韓国

あらすじ

全員失業中で、その日暮らしの生活を送る貧しいキム一家。長男ギウは、ひょんなことからIT企業のCEOである超裕福なパク氏の家へ、家庭教師の面接を受けに行くことになる。そして、兄に続き、妹のギジョンも豪邸に足を踏み入れるが...この相反する2つの家族の出会いは、誰も観たことのない想像を超える悲喜劇へと猛烈に加速していく――。(引用:フィルマークス)

鬼才ポン・ジュノによる
大人向け“テーマパークムービー”

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ゆっくりと浮かび上がるタイトル…ゾクゾクする期待感とともに、本編が始まるのを憶えています。映像も美術も衣装も音楽も演技も演出も、いちいち、超一級。

“映画力”に満ち溢れた圧倒的な画面の「濃密度」に、ニヤニヤが止まらなかったのは、きっと私だけではなかったはず。

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特に、主人公一家らが寄生する高台の豪邸。この「家」の舞台装置としての作り込みこそ、今作を大人向けの“テーマパークムービー”と呼びたくなる所以の一つ。

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まるでお化け屋敷のように、映画を面白くする展開・演出・アイデアの数々が、家中あちこちに配されていて、その使い方の一つ一つに「ぅわ、うまっ…!」と、これまたニヤニヤさせられてしまうんです。

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そして映画はコメディ色の強い序盤から、次第に雰囲気を一変。

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「…あれ、この映画、観客のみんな一体どこに連れてかれちゃうの…?」という、心地い不安感・期待感を募らせながら、物語は得体の知れない "どこか” へ、ジェットコースターの速度で突入してゆきます。

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走り抜けたその先で目の当たりにするのは、今作が始めから据えていた「テーマ」の正体。「パーク」部分が排除され、むき出しとなった「テーマ」を提示された、世界中の観客が、きっと面食らったことと思います。

私も初見時は前半とのギャップに、感情が迷子になりました(笑)。

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公開後とはいえ、ネタバレ厳禁の今作のレビューは、感情曲線中心の抽象的な紹介となりますが、この作品こそ百聞は一見に如かず!

外国語映画として初めてアカデミー作品賞を受賞した、社会派エンターテイメントの最新系を、一人でも多くの人に「体験」してほしい。2020年必見の1本に、リスペクツ!!!!

『フォードvsフェラーリ』

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2020年1月10日日本公開/153分/アメリカ

あらすじ
ル・マンの勝利という、フォード・モーター社の使命を受けたカー・エンジニアのキャロル・シェルビー(マット・デイモン)。常勝チームのフェラーリに勝つためには、フェラーリを超える新しい車の開発、優秀なドライバーが必要だった。彼は、破天荒なイギリス人レーサー、ケン・マイルズ(クリスチャン・ベイル)に目をつける。限られた資金・時間の中、シェルビーとマイルズは、力を合わせて立ちはだかる数々の乗り越え、いよいよ1966年のル・マン24時間耐久レースで長年絶対王者として君臨しているエンツォ・フェラーリ率いるフェラーリ社に挑戦する。(引用:フィルマークス)

観ないのは損、これはジャンル映画に非らず。
万人向けの王道ロマン・ムービー。

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文句なしの傑作でした。今作のレースシーンはマシンの走りを、本当に目の前のサーキットで見守るかのように高揚・没入し、また静的なシーンでは、クラシカルで美麗な画作りに酔いしれます。

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そして、本作は只のレース映画に非ず。

笑えて、泣けて、熱くなれる。全方位に隙なく、万人に開けた面白さに満ちるこの感じは、音楽というジャンル映画に一切閉じなかった、18年『ボヘミアン・ラプソディ』の様とも言えます。

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レース映画はちょっと…と、今ひとつ興味を持てない人も、ジブリの名作『紅の豚』は、お嫌いじゃないはず。きっと似たバイブスを、今作から感じ取れると思います。

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引き合いにジブリアニメを出せるくらい、裾野の広い映画が『フォードvsフェラーリ』です。好きなことに夢中になること、熱狂することの尊さ。それは時に、勝つこと以上に、人生を輝かせてくれると、今日に生きる私たちを勇気付けてくれる一本です。

『ジョジョ・ラビット』 

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2020年1月17日日本公開/109分/アメリカ

あらすじ
舞台は、第二次世界大戦下のドイツ。心優しい10歳の少年ジョジョ(ローマン・グリフィン・デイビス)は、空想上の友だちのアドルフ・ヒトラー(タイカ・ワイティティ)の助けを借りながら、青少年集団ヒトラーユーゲントで立派な兵士になろうと奮闘していた。しかし、ジョジョは訓練でウサギを殺すことができず、教官から”ジョジョ・ラビット”という不名誉なあだ名をつけられ、仲間たちからもからかわれてしまう。そんなある日、母親(スカーレット・ヨハンソン)とふたりで暮らしていたジョジョは、家の片隅に隠された小さな部屋で、ユダヤ人の少女(トーマサイン・マッケンジー)がこっそりと匿われていることに気付く。ジョジョの頼りは、ちょっぴり皮肉屋で口うるさいアドルフだけ…。臆病なジョジョの生活は一体どうなってしまうのか!?(引用:フィルマークス)

ヘイトではなく、愛と感動と勇気で、
人の歴史は、前に進める。

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喜劇と悲劇。シリアスとユーモア。甘さと苦さ。「物語のグラデーション」がとにかく素晴らしい上に、それがウェス・アンダーソン作品的な絵作りで、可愛く美しく、「視覚的」に紡がれる。

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スカーレット・ヨハンソン、サム・ロックウェルといったオスカー級の脇役の演技が光り、何よりジョジョ役のローマン君の魅力に、観ればのっけから、やられるはずです。とにかく可愛い!!!!

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また、タイカ・ワイテティ監督自ら演じるアドルフ・ヒトラー。

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ジョジョのイマジナリーフレンドとしての妖精的な荒唐無稽さ、似非具合にまみれつつ、それでいて本編のある一瞬「本物」に迫る演技を体現してみせ〈ジョジョの頭の中のヒトラー〉として、これしかないという絶妙なバランス、針の穴を突いてくる演技は必見です。

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10歳のナチ少年の成長という、ミクロな視点でマクロな戦争を伝え見せる、秀作。「ヘイト」じゃなく、愛と感動と勇気で、人は歴史は、前に進める。

子供に見せたい(見せれる)戦争映画という点でも、色々な人に「2020年、この作品はぜひ!」と、オススメしていきたい一本です。

『ナイブス・アウト/名探偵と刃の館の秘密』

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2020年1月31日日本公開/130分/アメリカ

あらすじ
NYの豪邸で世界的ミステリー作家の85歳の誕生日パーティーが開かれた翌朝、彼が遺体で発見される。名探偵ブノワ・ブランは、匿名の人物からこの事件の調査依頼を受けることになる。パーティーに参加していた資産家の家族や看護師、家政婦ら屋敷にいた全員が第一容疑者。調査が進むうちに名探偵が家族のもつれた謎を解き明かし、事件の真相に迫っていく―。 (引用:フィルマークス)

ダニエル・クレイグが名探偵!
娯楽ミステリーに、新たな快作誕生!

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正直、ノーマークでした…いやはや痛快!展開に継ぐ展開が、めちゃくちゃポップで軽やかで、切れ味「◎」のエンタメミステリーの誕生です。

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作品自体、勿論認知はしていたんですが…

正直ライアン・ジョンソン監督に対しては、映画の画面構築力の信頼は厚い一方で「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」の話運び・手際の悪さで、冷や飯を食わされたという悪い記憶をぬぐい切れずにいました。

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また、日本版のケバめな予告編と合間って「どうせこれ、中身がペラペラな、名優揃えただけの冗長なミステリーの類では?」と、勝手な偏見で地雷映画と身構え敬遠していたのですが…

しかし!

いざ蓋を開けてみれば、そんな身構えた勝手な観客にライアン・ジョンソン監督から「糞食らえ!」と吐き捨てられたような、痛快な面白さ。

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王道ミステリーとしての伏線回収の心地良さ、刑事コロンボのようなクラシカルな軽妙さ、現代アメリカの人種・格差問題への風刺…いずれもが絶妙なバランスで〈エンタテイメント〉として昇華されています。

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アカデミー賞脚本賞ノミネートも納得の練り上げられたプロットで、名優達が繰り広げる演技合戦。そのいずれもが、最高のボンクラ達による、クズ野郎演技。

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"my house, my rules, my coffee"

とても味わい深い、本作のキーワードなのですが、これ自体、監督から世界中の映画ファン達に向けられた「俺の作る作品になんか文句あるかボケ!」という痛烈なメッセージなのでは…と、思わず邪推してしまいます。

勝手な先入観から入ったせいもあり、観終われば、頬を平手打ちされたような、清々しい感覚。

娯楽ミステリーに、また新たな名作タイトルが加わりました。

『サヨナラまでの30分』

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2020年1月24日日本公開/114分/日本

あらすじ
メジャーデビューを目前に解散したバンド「ECHOLL」。1年後のある日、突然見知らぬ大学生・颯太(北村匠海)が現れ、メンバーのヤマケン、重田、森そしてカナに再結成を迫る。――実は颯太の中身は、1年前に死んだボーカルのアキ(新田真剣佑)だった!偶然拾ったアキのカセットテープを颯太が再生する30分だけ、2人は入れ替わり、1つの体を共有していく。(引用:フィルマークス)

邦画お涙頂戴モノと思うなかれ!
青春音楽映画の、新たな傑作!

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典型的な、邦画お涙頂戴モノと疑っていたら…完全に舐めてました!またまたごめんなさい案件です。青春音楽映画の、新たな傑作でした。

オープニングシークエンスから「やだ…素敵な始まり方…」と、鑑賞して早々に背筋を正されることになりました。

そして観る前に想像していた、駄邦画でありがちな「あちゃーっ」となる演出は尽く回避され、丁寧に爽やかに、物語が紡がれていくのです。

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特に今作で目を見張ったのが、「撮影」です。カメラのカット使いで、アキと颯太の入れ替わりを表現するのは、古典的ながら、とても映画的なハッタリの利かせ方で、個人的にとっても好みな演出。

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二人の入れ替わりと音楽演出が相まったライブシーンは、思わず鳥肌を抑えられませんでした。

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また、作品のキーアイテムであるカセットテープも、本作のテーマやメッセージ、キャラクターの感情を伝える上での小道具として、気の利いた素敵な使い方です。最後まで、作品の背骨を成していました。

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映画のクライマックスは、18年『ボヘミアン・ラプソディ』のライブエイドのシーンよろしく。「この瞬間のために生まれてきた」とゆう、アキの人生最高のステージを、観客はカタルシスとともに体験することになります。

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そして全編通じて、北村くんも真剣佑くんも、歌うますぎでビックリです。

音楽映画の生命線とも言えるこの「リアリティ」と「クオリティ」の、誠実な追求こそが、今作の映画としての"強度”を、確かなものとしています。

菅田将暉くんといい、若手実力派俳優の歌唱力の高さは、なんなんでしょうね。撮影に、音楽に、役者に、ドラマに、総合的な映画力が高い一本。お見事でした!

『1917 命をかけた伝令』

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2020年2月14日日本公開/110分/アメリカ

あらすじ
第一次世界大戦真っ只中の1917年のある朝、若きイギリス人兵士のスコフィールドとブレイクにひとつの重要な任務が命じられる。それは一触即発の最前線にいる1600人の味方に、明朝までに作戦中止の命令を届けること。進行する先には罠が張り巡らされており、さらに1600人の中にはブレイクの兄も配属されていたのだ。戦場を駆け抜け、この伝令が間に合わなければ、兄を含めた味方兵士全員が命を落とし、イギリスは戦いに敗北することになる―刻々とタイムリミットが迫る中、2人の危険かつ困難なミッションが始まる・・・。(引用:フィルマークス)

苛烈で美しい戦場追体験、
まさに、映画による「地獄巡り」。

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IMAXレーザーで鑑賞。戦争映画史を更新する、とてつもない1本に出会ってしまいました…!映画は遂にここまできたかとゆう、 1つの到達点にも思える、圧倒的没入感と緊張感。

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今年のアカデミー賞では『パラサイト』と並んで最も注目を集め、日本でも全編ワンカットの触れ込みで、公開前から大きな話題を呼んでいた本作。

いざ蓋を開けてみれば、なるほど確かに…とりわけ視覚面においては、ロケや美術を含め、明らかに他の映画と一線を画す作り込みで、画面の情報量がとてつもない。

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「攻撃中止命令」とゆう、究極的にシンプルなプロットと、撮影監督ロジャー・ディーキンスによる魔法の撮影の組み合わせが、神話めいた特別な魅力を、本作に吹き込んでいます。

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また、主人公スコフィールドに襲いかかる数々の受難に加えて、意外な豪華キャストのキャメオ出演など。

シンプルなプロットでも観客を飽きさせないよう目配せされた、エンタメとしても隙のない作り。映画史上、ねずみにこんなにもハラハラさせられたのは、初めてかもしれません…

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ちなみに同じく第1次対戦を描いた作品として、ピーター・ジャクソン監督のドキュメンタリー『彼らは生きていた』をセットで観るのもお勧め。

何度でも味わいたい、個人的にはオールタイムベストに連なるような、大事な大事な一本となりました。

『37セカンズ』

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2020年2月7日日本公開/115分/日本

あらすじ
⽣まれた時にたった 37秒間呼吸が⽌まっていたことが原因で、⼿⾜が⾃由に動かない脳性⿇痺となった主⼈公・貴⽥ユマ(佳⼭明)。親友の漫画家のゴーストライターとして働いて⾃分の作品として出せないことへの寂しさや⻭がゆさ、そしてシングルマザーでユマに対して過保護になってしまう⺟・恭⼦(神野三鈴)との⽣活に息苦しさを感じていた。⾃分にハンディ・キャップがあることをつきつけられ、それでも 23歳の⼥性として望んでいいことだってあるはず。そんな思いの狭間で揺れる⽇々。そんな時、ある出来事をきっかけに、ユマの⼈⽣は⼤きく変わり、⾃らの⼒で『新しい世界』を切り開いていくことになる・・・。(引用:フィルマークス)

邦画に、新たな才能が登場。
HIKARI監督長編デビュー作。

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主人公ユマを演じるのは、実際に脳性麻痺の病気を持たれた方達の中からオーディションで選ばれた佳⼭明(かやまめい)さん。

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半ばドキュメンタリーと見間違うほど、彼女の可愛さや儚さ、危なげさといった「実在感」は、この映画に驚異的な説得力をもたらし、唯一無二の雰囲気を作品にたたえています。

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まさに映画は、そんな彼女の眼に映る世界そのもの。時折痛々しい、生々しい「視線」を織り交ぜながらも、精一杯「自分」を生きて良いんだという、優しさに溢れた今作は、まさに人生賛歌です。

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過保護の⺟・恭⼦と、それが疎ましい娘のユマ。互いに「自分自身」を受け入れ、「相手」への想像力を持てたとき、子も親も成長する…映画のクライマックスは、枯れ果てるくらい涙を流してしまい、映画館を出る頃には脱水で、喉がカラカラになっていました。

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また映画は冒頭から、徹底した自然主義的な描写と、ユマをとりまく小さな話が続くのですが、終盤の物語上の「ある飛躍」には、ちょっと驚かされます。ここは、賛否の割れる所かもしれません。

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この丁寧且つ大胆な映画作りに挑戦したのが、今回が長編デビュー作の監督のHIKARIさん。邦画に凄い才能が登場してくてました、間違いなく2020年代、最注目すべき日本人映画監督のお一人。当然今作も必見の一本。

今作は早くもNETFLIXで配信されていますので、ぜひご覧下さい。

『黒い司法 0%からの奇跡』

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2020年2月28日日本公開/137分/アメリカ

あらすじ
黒人に対する差別が横行している1980年代のアラバマ州。黒人の被告人ウォルター(ジェイミー・フォックス)は、身に覚えのない罪で死刑を宣告されてしまう。新人弁護士のブライアン(マイケル・B・ジョーダン)は、彼の無実を証明するために奔走するが、陪審員は白人で、証言は仕組まれ、証人や弁護士たちは脅迫されていた。(引用:シネマトゥデイ)

脈々と続く、アメリカ建国以来の原罪。
法廷で不条理と戦うマイケル・B・ジョーダン。

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80年代の実際の冤罪事件、差別とでっちあげの推定有罪。歴史と振り返るには、あまりに最近の出来事で、人権も法も軽々と歪められていた、当時のアメリカ・アラバマ州。

冤罪の死刑囚たちのために闘う主人公、弁護士ブライアンを務めるのは、『クリード』シリーズで知られるマイケル・B・ジョーダン。

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共演では、無実の死刑囚ジョニー・Dことウォルターを、オスカー俳優ジェイミー・フォックスが演じる。

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またブライアンと共に、黒人死刑囚を助けるための法律事務所で働く女性エバを、オスカー女優ブリー・ラーソンが演じる等、実力派が集結。

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今作で、リングでなく法廷に立ち、弁護士として不条理と戦う、今やスター俳優のマイケル・B・ジョーダン。

どんな映画でも、彼の懸命でひたむきな姿には毎回目頭を熱くさせられますが、知性と情熱、そして誠実さを湛えた今作での弁護士役は、まさしくハマり役。

マイケル本人の「人の良さ」が、滲んで見えてくる、そんな演技です。

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劇中、彼の説く「貧しさの反対は富ではなく、正義」という言葉は、今作の作り手達の“世界への願い”のようで、胸に響いて、ずっと残り続けています。オバマ元大統領の2019年ベストも納得。「良心と信念」の戦いと呼ぶにふさわしい、2020年の今見るべき、傑作です。

『ジュディ 虹の彼方に』

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2020年3月6日日本公開/118分/アメリカ

あらすじ
ミュージカル映画のスターだったジュディ・ガーランド(レネー・ゼルウィガー)は、遅刻や無断欠勤を重ねた結果、映画のオファーを失う。借金が増え続け、巡業ショーで生計を立てる毎日を送っていた彼女は、1968年、子供たちと幸せに暮らすためにイギリスのロンドン公演に全てを懸ける思いで挑む。(引用:シネマトゥデイ)

堪らなく、切なく愛おしい、
ショー・ウーマンの晩年の輝き。

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「オズの魔法使い」「スタア誕生(54年版)」で一世を風靡したハリウッドスター、ジュディ・ガーランドの晩年を描く。19年公開の「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」のように、当時を知らない世代に「彼女が生きていた」ことを、後世に伝えてくれる一本。

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幼く、儚げで、危なげ。それでいて力、強く、美しく、愛嬌たっぷり。今年のオスカー主演女優賞を受賞、R・ゼルウィガーが、ジュディ・ガーランドの「魂」を宿す超熱演。この作品で、ジュディが大好きになるほど、圧倒的な魅力を体現しています。

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ショービジネスに翻弄され続けた、子役時代のトラウマから、彼女がほんの僅か、解放されてくクライマックスに、思わず涙が頬を伝います。

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命を燃やすような、ラストステージ。子供の頃に憧れた、なりたかった夢の自分に、一瞬でも彼女はなれたのか。

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映画史上、こんなにもケーキを食べるシーンで、愛しく切ない気持ちになったことはありません。素晴らしい脚本・脚色。これまた、素晴らしい傑作でした。

『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』

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2020年6月12日日本公開/135分/アメリカ

あらすじ
しっかり者の長女メグ(エマ・ワトソン)、アクティブな次女ジョー(シアーシャ・ローナン)、ピアニストの三女ベス(エリザ・スカンレン)、人懐っこくて頑固な四女エイミー(フローレンス・ピュー)、愛情に満ちた母親(ローラ・ダーン)らマーチ一家の中で、ジョーは女性というだけで仕事や人生を自由に選べないことに疑問を抱く。ジョーは幼なじみのローリー(ティモシー・シャラメ)からの求婚を断り、作家を目指す。(引用:シネマトゥデイ)

『レディ・バード』 監督の覚醒。

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結婚、お金、仕事、自由…どの「幸せ」も決して否定することなく、その人生の多層性に葛藤し、成長する姉妹を、優しく見守り続けるような一作。

『レディ・バード』グレタ・ガーウィグ監督が、ルイーザ・メイ・オルコット原作の「若草物語」に再解釈を与えます。

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今作で特筆すべき点が、過去と現在、2つの時間軸が美しく色分けられ交錯する編集と、主人公ジョーを「若草物語」の原作者オルコットになぞらえた脚色です。

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このストーリーテリングによって、これまで何度も形を変えて語られてきたオルコット原作の「若草物語」が、フレッシュ且つとても現代的な価値観にアップデートされています。

血を分けた家族の暖かさと息苦しさ、日常的な所作一つ一つの愛らしさ…グレタ・ガーウィグ監督の作家性も存分に発揮しながら、全編最高に「エモいドラマ」が仕上げられています。

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「女の幸せが結婚だけなんておかしい。そんなの絶対間違ってる。でも、どうしようもなく孤独なの。」

「それは愛じゃないわ。」

「…わかってる。」

主人公ジョーと、母ミセスの劇中の会話の抜粋ですが、2020年上半期もっとも胸に響く告白シーンとなりました。

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以上、2020年上半期映画ベスト10
(兼6月鑑賞作品ハイライト)でした。

私自身、新型コロナウィルスの影響もあって「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」が約3ヶ月ぶりの新作劇場鑑賞となり「嗚呼、ただいま映画館・・・」という気持ちとともに、至福の映画体験を過ごすことができました。

やっぱり映画は、映画館で観たいですね。映画館も徐々に再稼働を始め、新作もかかりつつあり、十分に感染対策には気をつけながら、徐々に映画館ライフをまた充実させていきたいものです。

本日は、ここまで。

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