結局やっぱり決定力なのでしょうか【171115_欧州遠征②_vsベルギー】
今更ながらベルギー戦を、そして今回の欧州遠征を振り返ってみたいと思います。
まずはスタメン、ブラジル戦からの変更は下記3点。
①中盤トライアングルを逆三角形に
②中盤の一角を長谷部から長澤和輝に
③右WGを久保から浅野拓磨に
もっと変えてくるの期待したけどなぁ。。
①中盤トライアングルの変更は単純に相手に合わせたカタチ
ブラジル戦は2列目ジュリアーノ、フェルナンジーニョの2枚と両サイドWGに対抗するために中盤の底を長谷部と山口の2枚で、井出口にはカゼミーロをケアさせてました。
ベルギー戦は相手が3-4-3、中盤がボランチ2枚にデ・ブルイネ、ビツェル、右にムニエ、左にシャドリを配するカタチというところで、中盤の要になるデ・ブルイネに井出口を、そしてデ・ブルイネをサポートするビツェルにはこの日が代表デビューとなる長澤和輝にケアさせる狙いがあったかと。
②長澤和輝の起用は完全に“テスト”
タスク的には長谷部、山口でも十分なところですからね。
長澤は今季序盤こそ浦和の選手層にハジカレてましたが、ミシャが退任したことで編成が変わったことでチャンスを掴み、ACLなどで着実に存在感を発揮していたことで一気に代表まで駆け上がって来ました。
もともと専修大からJリーグを経由せずにブンデスのケルンに入団、プロキャリアを欧州の大国からスタートさせた逸材ではあったので、『ようやく来たな感』が個人的には強い選手です。
特徴としては【体幹と重心の低さを活かした対人守備】、【中盤底からボールを前に運べる推進力】、【中盤以降ならどこでも出来る基本技術の高さ】かなと。
個人的なイメージとしては【小柄でボールタッチが巧い福西崇史】です。
選出時からハリル好みと報道されていただけに、この日のテスト起用は必然、納得です。
62分に退くまでのプレー印象は代表デビューながら安定感もあって、かなりポジティブな印象を残していたのではないかと思います。
③右サイド浅野起用もまた“テスト”
コチラは②のテストよりも、“競争”の意味合いが強いやーつ。
ブラジル戦が久保だったので、次は浅野で、ってとこでしょう。
右WGの序列は一時期久保優勢でしたが、久保が少し調子を下げて来たこともあって、まだまだ同列なのかなという印象ですよね。
さて、そんな変更点あっての試合。
総括すると、“ブラジル戦よりは”90分通して強度のあった試合内容だったかと思います。
ただ、だからこそ、0−1という結果に繋がった“違い”が引き立つわけです。。
結局やっぱり決定力なんでしょうか。
ベルギーの得点シーンは本当に一瞬でした。
中盤左から持ち上がって来たシャドリが、PA左外のスペースに流れていくミララスにパスを出す、かと思いきや、くるっと後ろ向きにターンします。
この瞬間(本当に一瞬)、ミララスについてプレスバックして来ていた久保の重心が上がります。
そしてこの後にプレーに関与する森岡、山口、吉田はじめ日本の守備陣の体制が【守】から【守→攻】になります。
『虚をつく』とは、まさにこのプレーのことなんだろうなぁ。
バスケの『チェンジオブペース』みたいだったね。
敵が後ろ向きにターンしたことによって、恐らく、日本の守備陣は一瞬『組み立て直すか』となったんでしょうね。
中に入らせるスペースもなく、前線に流れた味方も、そしてボールホルダーに対しても、しっかりしたケアが出来ていたからこそ、余計に。
しかし次の瞬間、するするっとミララスは日本の守備陣に向かってドリブルを開始、『虚をつかれた』日本の守備陣は【守】から【守→攻】となったギアを再度、【攻→守】、そして【守】へと変換するため反応が遅れます。
まさに『チェンジオブペース』
結果、山口、吉田はまるで棒立ちのごとく抜き去られます。
プレスバックの位置にいる久保、森岡はファールになるので後ろから厳しくいくことは出来ず、ペナルティーエリアに侵入するミララスを見送り、逆サイドのDFライン槙野と長友は、予期せぬタイミングでPAまで侵入して来たミララスをケアするため注意を引きつけられます。
あとは槙野と長友の裏を取ったルカクにクロスを送るだけ。
本当に一瞬。
だけど、この一瞬を作り出すこと、そして作り出した一瞬から生まれたチャンスを確実に活かすこと。
これがワールドクラス、これが日本との差でしょうなぁ。。
結局やっぱり決定力
逆に日本は76分に『虚をついた』流れで杉本がシュートチャンスを迎えます。
センターサークルでの密集を、原口、森岡と浮き球をダイレクトで繋いで杉本が抜け出します。
密集地帯では3対4と数的不利だったところ、浮き球をダイレクトで繋ぎ抜け出したことで、杉本がペナルティーエリアに到達したところでは3対2と見事に形勢逆転していました。
しかし杉本は相手DFの素早いプレスバックに圧され、ペナルティーエリア手前でシュートを打ち(打たされた?)、ミートの弱いシュートはGKに弾き出されました。
あの場面で、セレッソ大阪でのプレーのごとく、太々しく仕掛けていくことが出来ていれば。。
もしくは冷静に外側の森岡、内側の原口を使えていれば。。
まだまだ経験の浅い杉本と、プレミアリーグで百戦錬磨のルカクを比較することは酷かもしれませんが、結局やっぱり一瞬のチャンスを活かせるか否かが世界との差だと改めて感じた試合でした。
正直スコア以上の差がある気がしたよなぁ。。
欧州遠征を振り返って
二試合通しての各選手についての印象は個人的には下記通りです。
【◎】CB槙野
【○】GK川島、SB長友、SB酒井宏、CH長谷部、CH長澤、FW乾
【△】CB吉田、CH山口、CH井出口、CH森岡、FW大迫、FW原口、FW久保、FW杉本
【×】FW浅野
※CH遠藤、SB酒井高は出場時間が短かったので割愛
【○】や【△】、【×】という表現が適切かは正直微妙ですけども、まぁ採点的な表現でいくと【○】は5.5、6.0あたりです。
チーム全体として高い数字を付けられない二試合だったと思うので、その中で個人としてチカラを発揮出来ていたか、個々のタスクは最低限達成出来ていたか、要は『期待値以上のプレーだったか』という観点です。
その点やはり川島、長友、長谷部あたりは経験値が違うなと。
乾もまた少ない時間で求められていることを可能な限りトライしていたなと。(だからこそもう少し乾には時間あげて欲しかった。。)
ブラジル戦でネイマールのマークについた酒井宏樹は、この半年で逞しく、頼もしくなったなぁと感じました。(ただ攻守両面で内田篤人の全盛期には及ばないため、まだまだうっち―復活待望論を諦めれていません。←)
そしてベルギー戦でデビューを飾った長澤は、めちゃくちゃ良かったというレベルではないけど、きっちり仕事こなしたなという印象で、次もチャンスがあるだろうなぁ。後出しっぽくなりますが、長澤にはケルン時代から個人的に注目していたので嬉しい限りです。男前やしな。←
【△】は戦況的な部分もあって一概に悪かったと位置付けられないですが、個人的な期待より下回った、あるいは全体的には悪くないけど試合結果に繋がるミスがあった選手をチョイスしてます。
吉田と山口はまさにベルギー戦での失点に関与したこと、井手口はブラジル戦でチープなクリアミスでマルセロのゴラッソをお膳立てしたことでチョイスしてます。
森岡、大迫、原口、久保は、まぁ攻撃陣なので戦況的に厳しい部分もあったけど、なかなか期待されていたチカラは発揮出来ていなかったかなと。
杉本は期待かけられていた分、ベルギー戦のチャンスボールの場面のような弱気なのはみたくなかったなというとこで。
【×】の浅野については期待していた分、個人的ながっかりが強かったので厳しめになってます。
ただ、ブラジル戦で見せつけられた通り、【縦に速いサッカー】を実践する上では、速い展開で確実にボールを繋いでシュートまで行く基礎技術の高さは外せないポイントだと改めて感じさせられたので、そこでいくとパスやトラップでミスが目についた浅野には厳しい評価になるかなと。。
ただカウンターを狙う上で浅野のスピードはやはり魅力的なので、ここからの成長に期待してます。
そして今回の欧州遠征で一番の収穫だなと個人的にみたのが【◎】の槙野。
もともとでいけば調子乗り世代の筆頭でもあった彼は、ブンデスでのチャレンジを終えて以降は右肩下がりな印象で、気付けば吉田麻也や森重真人といった同世代に差をつけられ、昌司源など若手も台頭し出したこともあり、あくまでムードメーカーとして、あるいはCBとSBをこなせるバックアッパーとしてのメンバー入りといった印象でした。
身体能力も基礎技術も高いけれど失点に繋がる場面でのイージーミスも多く、メディア露出の高さやキャラクターの派手さも相俟って揶揄されることも少なくない彼が、今回の欧州遠征では一番輝いていたように感じました。
懸念されるイージーミスもほぼ目立った部分はなく、身体をはってのシュートブロックや、ビルドアップの縦パスも積極的に入れていて、安定性と積極性を兼ね備えた見事なアピールだったと思います。
果たして槙野をここまで絶賛するレビューが他にあるだろうか。←
次の代表戦は国内組のみの東アジア選手権。
チームとしての総括をすると本当に時間足りなさ過ぎて不安しかないような状態ですが、どんな内容や結果でも、次に活かすことさえ出来れば、それは十分な“収穫”だと思うので。
来年の“本番”までの限られた期間で、どれだけ成長していけるか。
応援していきたいと思います。
次は東アジア選手権の代表予想でもやろかな。