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涙が溢れないように

2021.3.21
街人「上を向いて歩こうツアー」
@apollo base
w/osage

「音楽があるこの星に生まれてよかった」

街人の音楽を長く濃く愛していたかというとそうではなくて、友人が好きなバンドだった。24歳で彼は亡くなり、少し経った後そういえば彼が好きなバンドだったなあ、と久しぶりに選んだ日があった。「最後から3曲目はどのCDに入っていますか?」と物販で聞き、CDを買って帰った。家に帰って再生するとその曲は「24」という曲だった。

21日、朝からどきどきしていた。楽しみとは言えないような、それでも楽しみでいたいような、そんな気持ち。昔からの友達にも会って、アポロベイスの床には四角いソーシャルディスタンスのための印がある事を忘れて注意もされた。それくらい浮かれていた。

街人のライブは最初から最後の曲みたいだった。こんなに勢いのある街人を観るのは初めてで、初めて観るバンドがと思ったくらい。久しぶりの慣れたライブハウス、久しぶりの慣れない街人。ずっと緊張していて拳をあげる事すらもままならなかった。

ねえ なんかたまにさ不安になるんだ
こんな僕が唄って何になるのかな

ライブも終盤、ぷつんと糸が切れた。大粒の涙が溢れて止まらなくなった。こんな僕なんて言うなよ、街人。もっと歌っていておくれよ。そんな事を思ったら立ち尽くして震えるほど泣く事しか出来なかった。

彼を亡くしてすぐ、私はよく歩いていた。好きなバンドの歌を聴きながら、栄から新栄間を毎日のように歩いていた。

いつからだろう この道を歩くと
悲しくなったりさ 寂しくなったりさ

私にとってそんな道は紛れもなくアポロベイスのある新栄のあの道。一年と少しまえから、変わらずずっと。

いつのまにか22歳。あと少しで亡くなった友人や、ともさんがこの歌を描いた歳になる。

上を向いて歩こうツアー

私は上なんて向けない。好きなバンドは解散し、友人は亡くなったのだから。それでもライブ中はステージという少しだけ上を見つめ、次の日の朝には涙が溢れないように空を見上げた。

これからも再生したら眠れない夜も風が強い夜だって超えられる気がする。「イヤホンの向こうから唄う」と言ってくれたから。それでも私は少しカッコつけた街人にいつか会えたらな、と思って夜を超え、朝を待つ。

涙が溢れないように上を向いて歩く、これが私の答えだ。

聴いてみてね☺︎

24/街人

p.s. 対バンコトリがいいな〜と思っていたけどosageすっごく良かった。「なんで解散しちゃうんだよ、、」の涙にグッとこないわけないし、みんな同じ気持ちだよ。十年後でも、二十年後でも、ハイトーン爽やかなosageと、少し掠れたような大好きな声の街人、変わらない声と話し方でなんでもない話をしてね。

こんな駄文なのに書くのに3日もかかってしまいました。

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