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読書記録
■死神の精度/伊坂幸太郎
1、CDショップに入りびたり、 2、苗字が町や市の名前であり、 3、受け答えが微妙にずれていて、 4、素手で他人に触ろうとしない。 ――そんな人物が身近に現れたら、それは死神かもしれません。1週間の調査ののち、その人間の死に〈可〉の判断をくだせば、翌8日目には死が実行される。クールでどこか奇妙な死神・千葉が出会う6つの人生。 日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞した表題作ほか、「死神と藤田」「吹雪に死神」「恋愛で死神」「恋路を死神」「死神対老女」を収録。
ずっと気になっていた作家さん。
死神が主役ということで、重ためのお話なのかなって思ってましたが読んでみると想像以上に読みやすくてあっという間に読了しました。
死神の調査を通して対象者の様子を覗き見ているような気分がして楽しめました。
個人的に死神の性格が何とも言えず…良いですね(笑)
どこかドライというか、感情が欠如したような、でもだからこそ公平に判断できるのかもな~とも思ったものです。
■燕は戻ってこない/桐野夏生
北海道での介護職を辞し、憧れの東京で病院事務の仕事に就くも、非正規雇用ゆえに困窮を極める29歳女性・リキ。「いい副収入になる」と同僚のテルに卵子提供を勧められ、ためらいながらもアメリカの生殖医療専門クリニック「プランテ」の日本支部に赴くと、国内では認められていない〈代理母出産〉を持ち掛けられ……
女性の貧困の話が読みたくて購入しましたが、どちらかというと貧困よりも代理母出産に重点を置いているような感じがしました。
貧困からお金が欲しくて代理母出産という「ビジネス」に手を出した主人公、子供が欲しくても授かることのできない一組の夫婦、性行為や出産に興味を持たない夫婦の友人、主にこの4人の目線で物語は進むのですが、個人的には夫婦の友人(女性)が好きでしたね。
主人公や夫婦たちが、話が進むごとに様々な心境の変化を見せていく中で、友人はあくまでも中間点というか、感情の変化が一番少なく今回の話を一番客観的に見ていたような気がします。
逆に一番感情の変化が激しいと思ったのは、夫婦2人でしょうか。
主人公が可哀そうに思えるほどに、あまりにも自己中心的すぎる考え方だったなぁと思ってしまいました。
ラストの部分を読んで個人的に「よくやった」と思わず納得してしまった自分もいました。
■鳥人計画/東野圭吾
日本ジャンプ界期待のホープが殺された。ほどなく犯人は彼のコーチであることが判明。一体、彼がどうして? 一見単純に見えた殺人事件の背後に隠された、驚くべき「計画」 とは!?
物語の序盤でもう犯人が分かっちゃうパターンのお話ですが、後半になると更に二転三転と話が変わっていくので展開が読めない、そんな感じでした。
個人的に犯人目線で進む話好きなのですが中々そのような作品に巡り会えてなかったので良かったです。
これぞ東野圭吾っていう作品でしたね。
「脳」を使った普通では考えつかないような発想の転換、毎度驚かされながらも夢中になって最後まで読んでいました。
実際に起こることはないんだろうけど、もしかしたらありえるのかもしれない?って想像しながら読む…ちょっとした恐怖心も湧いてくるお話でした。
■盤上の向日葵(下巻)/柚月裕子
昭和五十五年、春。棋士への夢を断った上条桂介だったが、駒打つ音に誘われて将棋道場に足を踏み入れる。そこで出会ったのは、自身の運命を大きく狂わせる伝説の真剣師・東明重慶だった――。死体遺棄事件の捜査線上に浮かび上がる、桂介と東明の壮絶すぎる歩み。誰が、誰を、なぜ殺したのか。物語は衝撃の結末を迎える!
だいぶ前に上巻読んでしばらく間あいたのでまた最初から読みました。
やっぱり続き物は一気に読んだほうがいいですね。
いやあ、しびれました。
後半の後半はもう急展開すぎて頭がついていきませんでしたが、それでも必死に文字を追いかけて読み進めて気づいたら読了してました。
最後の終わり方は「ああ…やっぱりな…」と思っている自分もいてどこか納得できた感じです。
東明が最初すっごい嫌なヤツ!って思ってたんですけど、なんか…ごめんなさいって言いたい(笑)
読み終わったら時には結構いい奴…ってなってました。
将棋が分からなくても全然楽しめましたので、未読の方読んでみてはいかがでしょうか。