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読書記録

■理由/宮部みゆき

事件はなぜ起こったか。殺されたのは「誰」で、いったい「誰」が殺人者であったのか――。東京荒川区の超高層マンションで凄惨な殺人事件が起きた。室内には中年男女と老女の惨殺体。そして、ベランダから転落した若い男。ところが、四人の死者は、そこに住んでいるはずの家族ではなかった……。ドキュメンタリー的手法で現代社会ならではの悲劇を浮き彫りにする、直木賞受賞作。

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記者が事件関係者から話を聞きながら物語が進んでいく少し変わった形式だなと思いました。
高級タワーマンションで一家4人が殺害された事件の犯人を捜すというお話なんですが、刑事が出てきて捜査をするということではないためミステリーか?と問われるとちょっと疑問に思う部分もあります。
結構長い作品ですが、細部まで細かく説明をしてくれていると考えれば仕方がないのかなと思います。
謎が一つ一つ解決していって答えが出てくるのでそのあたりは読んでいて面白かったです。
ドキドキハラハラする、というよりはじっくりと時間をかけて読める1冊かなと思いました。

■反自殺クラブ 池袋ウエストゲートパークⅤ/石田衣良

マコトが行くところ、今日も池袋に事件がにおう。風俗スカウト事務所の罠にはまったサンシャイン60階通りのウエイトレス。伝説のスターが設立を夢見るロックミュージアムの真実。「わたしの姉はおもちゃの人形をつくるために死んだ」と、巨大企業と闘うため中国からひとりでやってきた娘。集団自殺をプロデュースするインターネットの“クモ男”──。ストリートの「今」を鮮やかに描くIWGPシリーズ、切れ味がさらに増した第5弾!

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このシリーズは読めば読むほどハマっていってる作品。
もっと早く読んでいればよかったと後悔しています。
その時その時の時代の断片を切り抜いていくように物語が無数に広がっていくのは読んでいて飽きないですね。
話の内容がシリアスなことも多いけど、登場人物のいい意味での【軽さ】とか文章の流れの感じとか、読みやすいの一言です。

■灰色のピーターパン 池袋ウエストゲートパークⅥ/石田衣良

池袋は安全で清潔なネバーランドじゃない。盗撮画像を売りさばく私立小学校の5年生が、マコトにSOSを発してきた。“まだ人を殺してない人殺し”マッドドッグ相手に、マコトの打つ手は? 絶好調な表題作ほか、“この男の足を片方壊して”とブティック店員に依頼される「野獣とリユニオン」、タカシの先代のキングが意外な姿をみせる「駅前無認可ガーデン」、この街を浄化しようなんて止めてくれ!「池袋フェニックス計画」を収録したIWGPシリーズ第6弾。

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毎度のことながら、マコトのもとに持ち込まれる相談の数々。
どうでもいいことだけど、今コナンにハマっている私からしたらマコトはコナン君なのか?と思うほどに毎度毎度事件に巻き込まれる。
まあ、そうじゃないと物語が進まないのだから仕方がないのだけれど…。
このシリーズはドラマ化・アニメ化とされているのだが、ちょうど30分番組枠にちょうどいい内容になっているような気がします。
(実際に読むのは30分とはいかないのだけれど…)
今回の中で特に印象に残った話は「野獣とリユニオン」ですかね。
被害者と加害者の双方に苦悩があって、それを理解したうえで加害者に寄り添う被害者の心の強さというか、すごく感動しました。
薬丸岳さんの作品とかに考え方は似てるかな〜って感じましたね。
いつまでも相手を憎んでいては前に進むことはできない、「許す」ことも強さなんだなって思いました。

■トリップ/角田光代

普通の人々が平凡に暮らす東京近郊の街。駆け落ちしそびれた高校生、クスリにはまる日常を送る主婦、パッとしない肉屋に嫁(とつ)いだ主婦――。何となくそこに暮らし続ける何者でもないそれらの人々がみな、日常とはズレた奥底、秘密を抱えている。小さな不幸と小さな幸福を抱きしめながら生きる人々を、透明感のある文体で描く珠玉の連作小説。

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最初は短編かなと思ったけど、連作小説でした。
日常の中に起こるあくまでも【普通】の出来事を書いているように感じましたが、その分その話の映像を想像しながら読めました。
私たちも同じように日常を過ごしていて、その中にある小さな【違和感】みたいなものを抱えながらもそれをやんわりやり過ごしてい生きているのかもしれないな~なんて思ったり。
【今】を生きている人たちの多くが抱えているうまく言葉では言い表せない気持ちを書いてくれているような気がしました。


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