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読書記録「虚ろな十字架」

今日の1冊です。

東野圭吾さんの「虚ろな十字架」を紹介します。

娘を殺害された夫婦。

娘を殺害した犯人は、その後死刑が確定します。

夫婦は死刑判決後に離婚するが、今度は別れた妻が数年後に殺害されてしまうのです。

この物語には2組の夫婦が登場します。

上記の娘を殺された夫婦、そして、自らの手で子供を殺してしまった若い夫婦です。

それぞれの立場から物語は進んでいき、全く関わりのないような話が後半で一つの物語として繋がっていきます。

・読後の感想

子供を殺された夫婦と、自ら子供を殺してしまった夫婦。

同じ「死」でも、この2つは大きな違いを持つものだと感じました。

子供を殺された夫婦は、犯人に対して死刑を望みます。

しかし、死刑が執行されたとしてもその後彼ら被害者に残るものは一体何なのか。

たとえ何も残らなくても、親からしたら「自分の子供を殺した犯人が生きている」ということが許せないことなのだと思います。

一方、子供を殺した若い両親は、自分たちの手で子供を殺し、森の中へ埋めます。

2人は逮捕こそされないものの、人を殺したという罪を一生自分たちの胸の中に背負い苦しみながら生きていくことになります。

それは、もしかしたら「死刑」になるよりも辛く苦しいことなのかもしれないと思いました。

「死刑」となるか「生きて」罪を償い続けるか、正解は果たしてあるのか?

考えても考えても答えは出ませんでした。

こちら社会はミステリーで、非常に重いテーマが取り上げられていますが、物語自体は読みやすい方だと思います。


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