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読書記録「満願」

今日の1冊は米澤穂信さんの「満願」を紹介します。

「もういいんです」人を殺めた女は控訴を取り下げ、静かに刑に服したが…。鮮やかな幕切れに真の動機が浮上する表題作をはじめ、恋人との復縁を望む主人公が訪れる「死人宿」、美しき中学生姉妹による官能と戦慄の「柘榴」、ビジネスマンが最悪の状況に直面する息詰まる傑作「万灯」他、全六篇を収録。史上初めての三冠を達成したミステリー短篇集の金字塔。山本周五郎賞受賞。

Amazonより

〜読後の感想〜

こちらは短編集です。
短編集ということもあって、気づけばあっという間に読了していました。
人間の裏側にある心理描写がとても丁寧に描かれている印象でした。
読後はスッキリしたというよりはどこかモヤモヤが残るような終わり方でした。
今回は、私が読んで特に面白いと感じた2作品についてお話します。
※ネタバレあります

【夜警】


失敗を隠すために事件を起こした警察官の青年。
その失敗とは、誤って発砲してしまったということ。
それを隠すために人の命を奪ってしまいます。
発砲したことを隠したいとはいえそのために人の命を奪うなんて…。
彼の心理を考えたらとても同情はできず、理解もできないな〜と思いました。

【関守】


ライターの主人公は、先輩から、ある道で近年奇妙な事故が多発し、死者が出ているという記事を眠らせているという話を聞き、その記事を完成させるために取材現場へ向かいます。
現場近くにあるドライブインを切り盛りするのは一人の老女。
老女に話を聞くと、事故死した者たちは、現場近くにある「道祖神」と呼ばれる石を触っていました。
その石は、昔老女の娘が旦那を殺害した凶器で、血痕も付着し、一度壊された後修復された跡がありました、
老女は、その石が調べられたり、事故のことが記事に書かれることで昔の事件が公になることを恐れていました。
老女の娘には子供がいて、その子供に影響が及ぶことを恐れて、ずっとその地にとどまり続け、孫を守っているのでした。
どこかホラーテイストのある読み心地でラストはゾクッとました。

400ページ超えと中々の文量でしたが、短編ということもあってかかなり読みやすかったです。



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