エッセイ「中心」
幸せになりたいと願う気持ちに嘘はなくて、かといって、気が付いたら鼻歌を歌っている日ばかりでもない。校庭の桜の木の下で告白するぐらい、見つめている人生を歩んでいる日々。ずっとそのままずっと、何もなくなってしまえばいいじゃないか。この人生を生きている意味なんてなくて、真夏にかけて隆起する人生を歩みたいだけ。天気予報は外れ。それでも未だに町は落ち着かないような気がしている。
夕方。五時のチャイム。響いている。ぼんやりしている世界。僕らは人生を謳歌できているんだろうか。根源を愛し、何も考えないで突き進むぐらい。代り映えのない世界。空いた穴が苦しくて、傷が癒えないまま前に進むこともいいけど、それよりも手を取って一緒に進んで行こうと思うんだ。強がっている人生だからこそ、いつの間にか愛を感じているんだろうな。こうして僕は綴っていても何も起こらないけれど、空欄を埋めるぐらいにはぎこちない愛を表現できている気がするんだ。やっぱりいいやと鐘が鳴る。それでも忘れないことを、僕は知らない。
苦しんでいることを前提にしている世界が嫌いだ。聞いてみて、味がしなかったらもう二度と会えないことを感じて。嘘をついてみたけれど、重心を落としながら心を愛することなんてできるんだろうか。次の恋が言葉足らずの愛だとしたら、もっともっと探すよ、遠くまで。考えないで出来ることが自分の才能だっていうけれど、何も考えないでいいぐらいまで、気づくことはできないよね。会えない日が続いている。それでも君は愛を感じて心配かけないように、あなたとの日々を楽しんでいる。
何でもない日が心の中で友愛に変わる。言葉では表現できない世界に足を踏み入れる。心なしか、星が輝いて見えた。生活を彩るために愛を飾る。そもそも愛なんて飾らないでいいと思ってしまう日もあっていい。ふざけて背を向けて、わがままを言っても言わないでもいい世界で、慰め合って二人を感じている。抱きしめて、抱きしめて。