【みやまる】たけし映画、ばんざい!1回目だコノヤロー
ー『その男、凶暴につき』と暴力ー
テレビで見るビートたけしは大変な照れ屋だ。「オマンタ」とかくだらない下ネタやギャグを言ってはエヘヘと照れっ照れ。「いたずら小僧」という感じである。そんなおごらず飾らない殿の「♪無垢な心に また惚れて♪」しまうたけし信仰者を挙げれば限りない。俺だってその一人。
そんな彼と対照的な『その男、凶暴につき』。暴力警官・我妻は執拗に犯人を、時には少年や同僚が相手でも息つく暇もなく責め立てる。表情も迷いなく、刑事として正義のためというより「ただ自分が暴力をふるいたいから」暴力を止めない。この作品を「バイオレンスコメディ」という人もいるようだが、これは「怒涛の数の暴力があまりに見事なので笑ってしまう」ということだと思う。
北野監督作品にはご存知の通り「暴力」は大きなテーマとなる。そして全ての作品の「暴力」に共通しているのはスピード感である。柳美里との対談で「殴るって言ってから殴るより突然殴る方が痛い」という旨の発言をしているが、『座頭市』ではこれが特に顕著である。主人公の市はとにかく人を斬り、なかには手首も飛ぶ奴もいるがあまり残忍に感じない。というよりあまりの速さに「残酷」とか思う暇もなく進むのである。
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