【みやまる】のほ本! 1冊目ー老人賭博ー
大学で日本文学を専攻していると、長い教授の話を聞いているとたまに「うるしぇ~! 本くらい自分の好きに読ましてくれ~!」と思うことがしばしば。「○○を読んだ上で授業で触れた点を踏まえつつ独自の意見を原稿用紙……zzzzz」もうレポートの課題を読むだけで眠くなる。そもそもワシはだらだら日向ぼっこしつつ読んでるうちに寝ちゃうような本、読み方の方が好きなんじゃ! というわけで今日から1冊づつ全身の力を抜いて読むのに向いてる「のほ本」のことを書いていく。
松尾スズキの中編小説「老人賭博」はコメディ映画通のマッサージ師、金子のもとに映画監督の海馬が客としてやってくる。難病治療のため多額の借金をし、ようやく完済した金子と、風俗嬢に入れ込んだことが遠因となり離婚したばかりの海馬という切ない2人の男は意気投合。金子は海馬の「弟子」になり、師匠と福岡の映画ロケへ。
去年読んだ小説のなかで一番面白い作品であった。マンガのような明快な設定でありつつも細かい人物描写をリズムよく載せる、ほかのドロリとした松尾作品とは毛色が異なるがハイスピードにさくさく読める作品であるのは変わらない。終盤には題名の通り老人俳優のNGの回数で撮影スタッフ全体での大博打になるが、登場人物一人一人の野心がはっきり読めるのが楽しい。
まさか読んだ1年後に僕も誰かの弟子になるなんて。しかも
松尾さんの連載してる雑誌で…。
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