見出し画像

【2番弟子】今日の小話 #9 「ある恩師からのおめでとう」

ずっと言い続けていた。

「お笑いをやりたい。」

みんなに「お前にできるわけがない」と言われた。そんな中、ずっと応援し続けてくれた数少ない一人の女性、Nさん。年齢は俺とたいして違わないのだろうが、長年に渡って色々な方面から僕を支え続けてくれた大切な恩師とも呼べる人。結局離れる時が来たが、お付き合いの最後の方は僕の醜態によって決別みたいな形になってしまった。しかし、別れる間際になって、わざわざ僕の所に挨拶に来てくれた。そして笑顔を見せてくれた。昔から、常に僕を励ます時にはいつも笑顔だった彼女。仲が戻った時こそが、別れる瞬間だった。最後にこれまでの万感の思いを込めて、別れを告げた。その後、僕は一番の憩いの場所である喫煙所で号泣しながらタバコを吸った。

それから一年が経った。

僕が出た2度目のフェスボルタから少し経った今日の事。たまたま、あるスタッフから声を掛けられ、「喜んでいたわよー」と言われた。彼女からの言付けだった。思いもよらぬことだった。スタッフからの知らせを受けて、早速インターネットで僕が舞台に立てた事を観てくれたらしい。

「こう伝えてくれって。“おめでとう”って。」

もう当分会う事はないだろうが、彼女は今も遠くから僕の成長を見守ってくれている。昔、僕の背中を直接押してくれていたあの頃と同じように。






冒頭に「お笑いをやりたい」って書いたから、笑える要素があると思ったでしょ? ないですよ。むしろ感動的な話になっちゃいましたね。



次こそは笑える一発ギャグでも書きますよ。

なーんてっ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?