ジョンが出会った読者たち【第88話】
090-6143-2407に電話したら、誰でも出られるフェス
フェスボルタ セブンティーン 開催レポート!
★今から約1カ月前の1/7に開催した、『フェスボルタ セブンティーン』。今まで『サブカルくそ婚活』以外、一度も黒字になったことがなく(過去の最大赤字は13万円。ちなみに赤字3万円以内は“ほとんど黒字”として粉飾決算)、実は長らくの間、くそ婚活で得た軍資金を切り崩してやっていました。ところが、前回の『フェスボルタ アフリカ』が終わった時点で、そんな頼みの綱もついに途切れ、このままやっていけるのか正直不安だけど、もう渋谷clubasiaは押さえてしまっている。前に進むしかない。ああ、フェスボルタを始めたばかりの頃の、あの地獄の自腹時代に突入するかもしれない! しかし、あの頃と今とでは規模が違いすぎる! 僕とキネボルタだけでカバーできる額では到底ない! …という状態だったのでした。だから今回は、皆さんに大変申し訳なく思いつつも、弱気な2500円という価格設定にしたわけですが、それにもかかわらず出演者50組以上!3つのステージもフル回転で、過去最大規模のお祭りになりました。ハラハラドキドキで迎えた今回の『フェスボルタ セブンティーン』、当日の様子をお伝えしましょう!
文/ジョン・ヒロボルタ 写真/六波羅ボルタ
序盤はいつもの調子から…
出演者が増えるにつれて、開催時間が前倒しされるフェスボルタ。12時に、僕とみやまるボルタ、こーきちくんによる開会宣言で幕を開けました。こーきちくんによる渾身の一発ギャグ「全盛期と引退間際の小錦の立合い」を披露したときは、観客も笑い声もまばらでしたが、このあと、会場が人でごった返して大忙しになるなんて……嬉しい悲鳴です!
▲小錦の立合いの違いを披露するこーきちくん(49)。
1階ステージ、安定のトップバッターは「ハービバノンノンズ」。来ている服もやっている曲もいつもと変わらない安定感。さらに、ゆめたむボルタ率いる「Kidder Friendly Club」とおなじみのメンツが続きます。
一方の2階ステージは、初参加のお笑い芸人「須藤ジム」。「キムタクの謝罪会見」という旬なモノマネからスタートし、「プライバシーに配慮しすぎた桃太郎」や「話を被ることを気にしながらする怪談」で矢継ぎ早に笑いを取っていました。
その後、僕は1階で初参加のバンド「ANHELICIO」を観ていたのですが、途中、なぜか2階でやっていた「アイアムアイ」のメテオ井上に、突然手を引かれて彼らのステージへ。この2つのステージ、結構距離があるんですよ! こうして彼らの曲『サンダーファイヤー』を2階で一緒に歌うはめになったのですが、アイアムアイのお客さんを巻き込む力は前回同様、すごいものがあります。
さて、2階の爆笑をかっさらっていたのは初参戦の「ハッピーピープル」。『幸せな大家族に赤の他人をブチ込め』とか『ミスチルに入りたい』など、クセのあるタイトルで僕らを笑わせてくれました。同じようなパッションを持ったアイアムアイとも意気投合し、フェスボルタ後に一緒にライブをしたようです。こういう横のつながりが生まれるのは嬉しいですね!
今回はバンドがたくさん出ました!
今回は、バンド勢が特に多かったのが印象的でした。「宮島悟とその一味」はコーラスあり、ラップありのDragon Ash並みの大人数で、とにかく見応えがすごい! しかも途中、ボーカルの宮島さんが突然、ステージ上で書き初め。いや〜、長渕以上に“漢”を感じました!
▲大所帯ロックバンド「宮島悟とその一味」。
続く、「Good Boy Jab」は、とにかくトークと演出が面白いです。額に冷えピタを貼っているコーラスらしき人は、ステージの真ん中で微動だにしません。こいつ何しでかすんだろう?という会場の期待を一身に背負っているのですが、それでも動きません。いつ動くんだ? もう終わるぞ。結局、何もないのか…というところで急にシャウト! これには会場が揺れました。
▲「Good Boy Jab」のリーサルウエポン、冷えピタの人。
そんな変化球要素強め、アイドルヲタク多めの会場で「俺たちに合いの手とかいらないから! フェスボルタに来ている人ならわかるよね?」というMCから始まったバンド「クレヨンイーター」。その自信に満ち溢れる言葉にふさわしい演奏をしてくれました。同じ会場でさっきまで爆笑していたのに、今は真剣に聴き入ってしまうこの感覚、いや〜カオスです。
▲笑いの間の真剣ロック「クレヨンイーター」。
それと「Weekday Sleepers」は、いろんな意味で衝撃的なライブでした。最後、ギターが真っ二つになる瞬間、クラッシュの『ロンドン・コーリング』のジャケットが頭に浮かんだのは僕だけではなかったはず。本物のロックを教えてもらった気がします。
▲ギターを真っ二つに叩き割った「Weekday Sleepers」。
フェスボルタ古参たちも大活躍!
フェスボルタ古参たちも大活躍! もちろん、これまで参加していただいている“古参”も負けていません。最古参というべきJKシンガーソングライター「シバノソウ」は、バンドを従えて堂々のステージ。ヲタクを煽るスキルがハンパなく、大人気地下アイドル並みに会場を湧かせていました。「フェスボルタ出ます! 何をやるかはわからないけど」と言っていた中学時代のあの頃が遠い日に感じます。もう完全に親目線です(ちなみに本物の親は、会場でフランクフルトを売っていました)。
▲見るたびに進化している「シバノソウ」。
「エルコ将軍」は、宝塚風『パラダイス銀河』、『フェスボルタのテーマ』、『鶴の仕返し』というひとりコント構成。彼女のやりたいことを全部詰め込んだ感じでした。どうやら岡村靖幸の大ファンらしいし、靖幸モノマネを増やすとしたら、女版岡村ちゃんは彼女しかいないのではと個人的には思っています。
そして、“サディスティックメルヘン”との異名を持つ「デイジー」。「ハロー! 資本主義!」や「歯医者の女医はサディスティック!」と叫んだり、首だけを激しく動かすヘッドバンギングをしたり、あるいは突然ぶっ倒れたりで、相変わらずなデイジーワールドを展開。アイドルファンたちに衝撃を与えていましたが、「私はさ、そこらへんの若いアイドルたちと違って、すぐに息があがっちゃうんだよ」と言っていたのが、非常にロックでした。
▲驚きの表情を浮かべる「デイジー」。
あと、今回はなんといっても「青春カフェさくらい」さん。今回のベストアクトのひとつだったと思います。お目当てのアイドルの出番を待つヲタたちがざわざわしている中に登場し、徐々にその場の雰囲気を掴んでいく感じが最高にヤバかった! 最後、『自意識過剰のクリスマス』では歓声が起きて拍手喝采。最初は誰も彼に対して興味を示していない中、だんだんと会場を支配していくその姿に、DJ寝床さんも「ポール・ポッツかよ!」ってツイートしてました(ポール・ポッツとは、イギリスのオーディション番組をきっかけに、携帯電話ショップの店員から世界的歌手になった人物。見向きもしなかった観客の心を鷲掴みにしていった様子とその風貌が、ちょっと青春カフェさくらいに似ている)。
▲今回のMVPといって差し支えなかった「青春カフェさくらい」。
もはや立派なアイドルフェス!
今回はアイドルが全部で13組出演。もうこれだけで立派なアイドルフェスになるくらいの数ですが、紙幅の関係で全部語れなくて申し訳ないです。生ハムと焼うどんのポジションを狙うかのごとくはっちゃけてる「姫スパ」、熱いリリックが突き刺さる「校庭カメラギャル」、シバノソウが大喜びした「Summer Rocket」など、それぞれ魅力的なステージでしたが、なんといっても「Stereo Tokyo」は最高の盛り上がり! サウンドは、ハコとの相性ばっちりのゴリゴリのEDM。ヲタさんたちが「祭」って書かれたでかい団扇や国旗みたいなのを振り回していたりで、どちらかというとじめじめとしたフェスボルタとは思えないパーティー色満載のフロアになりました! いや〜、小道具って大事なんですね。これは次回から、会場全体の演出として取り入れていかないと。出演者の方々から学ぶことばかりです。
▲ゴリッゴリのEDMに、風船、巨大うちわ、万国旗と、とにかく圧巻だった「Stereo Tokyo」。
フェスも終盤になってくると、どのフロアも熱気がすごかったです。物販スペースも戦場のように混んでいるんですが、そんな中、お客さんひとりひとり丁寧に対応していた「姫乃たま」さんが印象的でした。ステージの姿は神々しく、物販はとてもフレンドリー。しかもずーっとフェスボルタの会場で遊んでいってくれました。我が弟子、こーきちくんも姫乃たまさんに惚れた模様。こーきち、がんばれ!
▲出演者としても来場者としても楽しんでくれた「姫乃たま」さん。
マック赤坂とアイドルのコラボ!?
僕は、マック赤坂さんにオファーをしたときからずっとやりとりをしていて、その紳士的な雰囲気にすっかりファンになっていました。当日は、超々高級車マイバッハでclubasiaに登場。ドアが開いて中から出てきたのは、ピンクのステテコなどに大量の電飾が付けてあるいつものマックさんでした。早速ステージに上がると『ファッションモンスター』をかけながら踊り、「俺がモンスターだ!」なんておっしゃってましたけど、精神安定剤とお酒をチャンポンにして飲んだアイドル「小島ふかせ」がステージに乱入。他のアイドルたちの制止を振り切って、マックさんのマイクを奪ったり、素手でドラムセットを叩きまくったりで、いわば本当のモンスターが現れたという形になりました。彼女が強制退場されたあとは、みんなで一緒にスマイルダンス! 突然の出来事に戸惑いを隠せなかったアイドルヲタもバンドファンも物好きたちも、ともに不安を乗り越えて、最後は大きな笑顔で大団円。会場がひとつになった瞬間でした。
▲一難去ったあとは、ほんとにみんなでスマイルしました。
そのあとに登場したのは、実力派の古参「酒井少年」です。人呼んで“下ネタ界の羽生くん”。甘いマスクにくねくねとした動き、そして相変わらずの下ネタで、随所で「アハァ」「アハァ」と謎のシャウトを入れつつも、その抜群の音楽で会場を魅了していました。残念ながらすごく短い出演時間になってしまいましたが、それでも次の大トリ「3人の岡村ちゃん対決」を待ち構える岡村ちゃんファンの皆さんにはかなり刺さったようで、彼らのキラキラと反応する瞳孔の開き具合を確認しながら、フェスボルタ冥利を感じました。
▲最後は名曲『オナニー 〜それがすべてさ〜』で締めた「酒井少年」。
ラストの岡村ちゃん対決は、フェスボルタとしても初めての試み。なんせ同じ人のモノマネをする人を3人も出して、しかも大トリ。しかし、これが大当たり! 今の岡村ちゃんを演じる「岡田靖幸」、飛び道具的な「妄想靖幸」、そして80年代の完コピ「奥村靖幸」と、実にラストにふさわしいライブを行いました。3人とも岡村ちゃんより岡村ちゃんしている感じで、多分、心の底から岡村靖幸のことが大好きなんでしょうね。奥村さんが演っている間も、岡田さんが舞台袖で見ながら踊っていたりしていて、とても微笑ましかったです。3人でやった『Choo Choo TRAIN』ダンスは、まさにここでしか見られないものでした。
▲若干24歳の「岡田靖幸」。
▲実はヅラだった「妄想靖幸」。
▲やはり実力が段違い「奥村靖幸」。
開催からだいぶ時間が経って、思い返しながら書いてみたんですが、あの興奮を文章にするって本当に難しいですね…。やはりフェスは体験するものだと痛感しました。今回、フェス終了後のTwitterがかつてないくらいの盛り上がりをみせていて、その中で誰かがありがたいことに「日本5大フェスのひとつだ」とつぶやいてくれていましたが、誰もがそう思えるようなフェスにしたいですね。
というわけで、今回、僕ら運営にとっては、一か八かの大勝負だったのですが、おかげで2万円ほどの軍資金を得ることができました! 本当によかった、次回もフェスボルタができる! まあ、ぶっちゃけ額としては少ないですが、音楽イベントとして、ようやく自立させることができたのがとても嬉しいです。なおかつ、心底自分で面白いと思える、めちゃくちゃなフェスになったことが最高です!
緊急開催!史上初!? 3人の靖幸鼎談!
▲左から京都の妄想靖幸、東京の岡田靖幸、福岡の奥村靖幸。
★『フェスボルタ セブンティーン』に出演した3人の靖幸(偽物)たち。住んでいるところも年齢もバラバラなら、パフォーマンスのスタイルもそれぞれ特徴があります。最年少24歳の岡田靖幸(東京)は現代の靖幸、40代の奥村靖幸(福岡)はバブル絶頂の頃の靖幸、ルックスを本人に寄せる気が微塵もない妄想靖幸(京都)は、普通の歌謡曲を靖幸風にするという独自路線です。こうやって全国から3人も集まることはめったにないと思うので、3人で緊急鼎談していただきました。 文/ナベボルタ
岡村靖幸を知ったきっかけは?
奥村:NHKの音楽番組『ジャストポップアップ』ですね。『 19 (nineteen)』って曲を、弟と二人で見るのが楽しみでした。とにかく衝撃的。もう大爆笑。爆笑した記憶が尾を引いて、ずっと面白い人って印象があったんです。ですが、 音楽をやり始めた 21 歳の頃に改めて聴くようになって、「これは音楽としてスゴい!」と気づき、再び衝撃を受けました。歌詞のフレーズも、子供の頃より意味がわかるようになっていたので、気づかされることがいっぱいありましたね。
妄想:私はアニメ『シティハンター』のエンディング『SUPER GIRL』です。その後、ラジオでたまたま『生徒会長』を聴いたんですけど、「すごい、わけがわからない!」、そういう言葉しか出てこなかったですね。パンクでもロックでもない、そのカテゴライズできない音楽性に魅せられました。
岡田:僕は 20 歳のときに、在日ファンクの前座で見たOLKillerが初です。トイプードル(OLKiller での岡村ちゃんの名前)がやばいと思ったんですよ。顔も音楽も知らなかったんですが、「もしかしたら、あれが岡村靖幸なのかもしれない」と直感的に思ったんですね。ダンスも女の子の反応もすごくて、家に帰ってネットで検索したら、やっぱり岡村靖幸だった。そこから音楽聴いて、ライブに行って、どハマりしました。
なぜモノマネを するように?
奥村:『完全コピーバンド』ってイベントがきっかけですね。1回目は別のアーティストを完コピしたんですが、2回目のときに岡村靖幸をどうしてもやってみたくて。生バンド編成で完全再現したんです。それ以来ちょいちょいやっている感じですね。
岡田:僕は『フェスボルタ』がきっかけです。前回の『フェスボルタ アフリカ』が人生初ライブでめちゃくちゃ盛り上がって、その快感が忘れられず…ってのが続 けている理由ですかね。 妄想:私は、特にこれといってないです(笑)。
奥村:1回自分自身に岡村ちゃんを取り込むことで、自分が岡村靖幸になって、コールアンドレスポンスが返ってくるのが嬉しい。岡村靖幸が見ている風景というか、そういうものの片鱗が感じられることが快感です。
岡田:これ読んでみんな楽しいのかな?(笑)僕らにしかわからない感覚ですよね。
妄想:人類、皆、それぞれの靖幸を持っているし、その解釈をパフォーマンスで提示できるのは恥ずかしいようで、嬉しいような。それをお客さんに共感してもらえるとさらに嬉しいですよね。
奥村:でしょ(笑)。
岡田:やっぱりチャーミングさですよね。50歳なのにずっと可愛らしさがある。ライブに行ってもずっと釘付けになっちゃうし、どうしたらああいう風になれるのかな〜って思います。こうなりたいものって、ある程度寄せることができる気がするんですが、岡村ちゃんには一切寄せ付けてもらえない。追えば追うほど、真似すればするほどわからなくなります(笑)。
奥村:ペガサスとか人魚とか、ファンタジーの存在に近いかもね。
岡村ちゃんと会ったら何をしたい?
奥村:ステージで奥村靖幸をやっているときに、後ろからご本人が登場するのが夢だなぁ。あと普段、僕は「ボギー」として音楽活動してるんですけど、共演できたら何よりです。奥村として共演するのもきっと楽しいけど、やっぱりアーティストとして同じ舞台にいられたら嬉しいなあ。
妄想:私はもう会えるだけで満足ですよ! そういう存在ですし。
岡田:とりあえずお酒飲みたい、それで質問攻めされたい。それこそ今日みたいな感じで「なんで僕のマネ始めたんですか?」とか。
奥村:質問されるのいいね。俺も答えたい (笑)。
妄想:お酒の席で「俺、赤ワインしか飲めないよ」とか言いたいな〜。
イベントカレンダー
近日中に開催される、フェスボルタ界隈のイベント一覧です。
2/19(日)キャバレー遊び足りない 初ワンマンライブ
@音楽実験室 新世界(西麻布) 13:30スタート 2,000円+1ドリンク
2/26(日)シバノソウ トークライブ「シバノソウの考察 Vol.2」
@新宿Naked Loft 13:00スタート 前売1500円/当日2000円(共に飲食代別) 出演:シバノソウ ゲスト:小鳥こたお(あヴぁんだんど)
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