全裸監督 第14章 要約
第14章 50億(村西とおるが個人で負った借金の総額)
日本経済のバブルが破裂した1991年春、ダイヤモンド映像のバブルも弾けた。衛星通信事業への多額の投資、無尽蔵に費やす制作費、不動産投機などで多額の現金を用立てし、足りなくなると手形を乱発。資金繰りが悪化し、1991年12月に和議申請(※和議とは債権者と債務者が話し合い、支払いを先延ばしにするなど企業の存続に猶予を与えるもの。2000年の民事再生法施行に伴い、和議も廃止された)。1992年2月に共同通信社が「ダイヤモンド映像が事実上倒産」と報道。倒産の顛末と内実を様々なエピソードと元社員(日比野正明とターザン八木)の回想などで振り返る。
村西とおるは私腹を肥やさないかわりに、自分と会社の金の区別がつかず、すべてを新しいビジネスに注ぎ込み、無尽蔵に使い切っていた。制作者として1日も休まず社屋に寝泊まりし会社の屋台骨を支えてきた日比野と八木も緊張の糸が切れたように辞めた(日比野が中野にある自宅の賃貸アパートに帰ったのはなんと6年ぶり。その後、高橋がなりに誘われ、今ではSODの会長に収まっている)。ちなみに、ダイヤモンド映像の社屋は代々木上原の小高い丘の瀟洒な洋館とあるが、今は賃貸マンションになっている。ここは東大駒場キャンパスの裏手、日本民藝館や旧前田侯爵邸にも近い閑静な住宅街である。
専属女優のその後。松坂季実子の恋。藤小雪は向島の芸者?田中露央沙は東北で結婚。野坂なつみはたのきんトリオの野村義男と結婚。桜樹ルイはロックシンガー。沙羅樹は医大生と結婚。卑弥呼は恋愛関係にあった日比野正明とは違う金融機関の青年と結婚。黒木香は両親が迎えに来て円満?退職。そして、乃木真梨子は村西とおると結婚。ちなみに、低迷していたクリスタル映像復活の立役者になった飯島愛は、その後芸能界に進出し、AV出身のほとんど唯一の成功例となった。