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No.006ヤギさん郵便「巡り合う」

もうすぐ梅雨入りなんですね。
こちらはやっと暖かくなってきました。

東京でのことを時々思いだします。潮の匂いとあのベンチ。そして共犯者。
あの夜、弥生さんと私は似てるところがあると思いました。そして弥生さんと私は似ていないところがあると思いました。だから、弥生さんが私の文章を読んで疑問を抱くこともあると思います。

大切な体力を消耗する話し合いより、自分と他人を境界線で分けた方が楽に生きやすい。でもそれは淋しいことだと思うんです。あなたはここまでて、私はここまでだから、これ以上入ってこないでね、と扉を閉めている感じがするのです。

別々の人間だから、100%意見が合うことはありません。どちらかが意見を譲るとか、自分の考え方を修正しなければならない。四六時中やっていたら、疲れます。でも、腹を割って話したくなる時もあります。だから弥生さんが突っ込んでくれて嬉しいです。

話し合いには、建前や常識やルールも必要です。でも、2人が腹を割って話し合う時には、わたしの我儘かもしれませんが、建前や常識やルールを脇に置いておいて欲しい。

話し合ったあとに、建前や常識やルールにあてはめて2人で考えたいのです。

建前や常識やルールだけで話し合っても、お互いの本音はみえてこない、そう思うんです。というのも子どもの頃から、心の奥深くに入ってくれる人がいないかと探していたからです。

話は逸れましたが、自分の本音なんてカッコ悪いことの方が多い。だから、できるだけ隠しておきたい。それは私だって同じです。でも今日は、そのカッコ悪い部分をもっと書いていきます。ですのでもう少し長くなりそうです。なので休憩しながら、お茶でも飲みながら読んで下さい。

弥生さんが疑問に思われていた所、もし引きこもりになった息子に、「お母さんのせいでこうなったんだ!どうしてくれるんだ?」と言われたら、【正直に、謝ろうと決めました。】の部分ですが、前回さらりと書きましたが、子どもが集団登校に参加できていない時、大雑把に周りの意見を集めると、「あなたが甘やかしていたら、将来ろくな大人にならないよ!何やってんの?」と言われているようでした。

これは私の立場が弱かったから、そう思ったのかもしれませんが、私には、正しいルートから外れないでこっちに戻っておいで!っと必死に説得されているようでした。それでも、呑気に学校までの道のりを歩いている私達をみて、「将来社会に出て働けなくなったらあなたは責任をとれるのか?」と聞いてきたんだと思うんです。

また、話は逸れますが、『私の中のこの邪悪な感情をどうしよう?』の本にも出てきた、Tちゃんが置いてきぼりにあったのもこの時期です。

Tちゃんが集団登校で通えるように、子供会の人に聞いていてみたり、子供SOSみたいな所に電話したり、学校にも相談しました。とても大雑把なことを言うと、うちではどうしようも出来ません、とやんわりお断りされました。建前や常識やルールのなかではTちゃんは守られていたのかもしれません、でも、Tちゃんの心には届いてないようでした。

周りに期待して傷つくよりは、期待せず分厚い殻を作って自分を守っているTちゃんは、小さい頃の私と同じでした。

Tちゃんが絶望している姿をみて「またかよ!」っと思いました。やっと卒業できたと思っていた悪夢が、再び目の前にそっくりそのまま帰ってきました。毎日、辛くて辛くてたまらなかった。だって当時はわかってくれる人なんて一人もいなかった。別にいいじゃん。変なことをしてるね。って笑ってくれる人なんて一人もいなかった。そして何より、息子とTちゃんが苦しそうな姿をみているのが一番苦しかった。

あの時、私は喧嘩を売られたんです。
あなたは責任がとれるのか?って。

でね、想定上一番最悪なのは、息子に責められることだったんです。「お母さんのせいでこうなったんだ!どうしてくれるんだ?と責められることです。

だから、全部ひっくるめて責任を取ることにしたんです。

もうこうなったら息子が6年生になって、お母さんと一緒に行くの恥ずかしいからついてこないで、と断られても一緒に学校に行ってやる!と鼻息荒くなっていたら、集団登校に参加しなくなって数カ月後に息子が突然「しゅうだんとうこうでいく」と言い出し、次の日から集団登校の列に並んで学校へ行きました。あの葛藤はなんだろうと思うほど呆気ない幕引きでした。こっちは心配しているのに勝手に強くなりやがって。っという感じです。

弥生さんの質問にお答えするなら、全部の責任を取るために、あの時は謝ると言いました。







Yayoi Otsukiさんとマガジン「ヤギさん郵便」をはじめました。エッセイのような手紙のような交換日記です。Yayoiさんの文章はこちらから読めます。⇩⇩⇩


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