エフェクターコラム02 「歪みエフェクター 概論」
エフェクター、またの名をエフェクト・ペダル、通称ペダル。そもそもエフェクターとは何なのか。前回の文章ではパッション先行で全然説明できていなかったと思っています。まるで一回目に書いたものは初めてのデートみたいなテンションで読み返すと恥ずかしくなりますね。そう、この文章はすでにごりごりにエフェクターの荒野をサバイブしてきたペダルギーク達向け「だけ」ではないのです。これから始まる麗しき誘惑のユートピア、ペダルランドにこれから出かける、そんなあなたのための文章でもあるのです。
さて、エフェクターとは簡単に言えば、ギターとアンプの間に接続する金属(もしくはプラスティック)の箱型の機械のことで、ギターを演奏した状態で使用することが前提に考えられているので、足元で踏み込んで使用するようにできています。だからペダルと言われるわけです。
それじゃあもう一つ、きっと多くの人がかわいいと思ってくれるものも。
実際音がどんな風に変わるの?と言われれば、もうそれはエレキギターとロック歴史の中で多くの人たちが考え、想像してきたほとんどの効果がある、と言ってしまっていいと思います。もちろん考えたところで実際に回路や機構が技術的に作れないと完成はしないので、そういう意味ではテクノロジーとの兼ね合いという側面もあり、それが今でも常に最新技術でエフェクターが改良され、新しくリリースされている理由でもあります。
そうつまりだ、想像してほしい、エレキギターという楽器が、ありとあらゆる音の宇宙へとその存在を広げた瞬間、これがエフェクターなのです。わかります、ペダルを使わないアンプ直派のそこのあなた、ペダルなんかなくてもギターっていう楽器には無限の可能性があると、わかりますとも。しかしペダルがあればその無限の可能性に更に無限の可能性が乗算され、無限のインフレーション、永遠に終わらないバトル漫画です。そういうことです。かつて誰かが言っていました、可能性の奴隷にはなるなと。
はい、大風呂敷を広げましたが、今回のコラムのテーマは歪みでございます。歪み?きっとギター未経験者の方々は何いってんだこいつはと思うでしょう、そしてギター経験者各氏は「うわ歪みについて書くの?」とも思うでしょう。書きます、書くよ。
エレキギター、ロックンロールの歴史においての偉大な発見のひとつが、この「歪み」と言われているわけです。言葉はいい、まずは聞いてください。
はい。これです。ときめきましたね?うわかっこいい、じゃがじゃーん!と、それはもう本能に響く轟音が最初から聞こえてきましたよね、これが歪みです。
もっと聴きたい?ええそうでしょう、じゃあもうひとつとっておきのを。
かっこいいですね、たまらないですね(握手!)、え?全然好みじゃない、いいんですよそれはそれで、歪みとはカレーのようなもの、スパイスの調合具合、辛さ、粘度、具、白米もしくはサフランライスか、いや私はナンの方が、わかります、つまりそういうこと。あなたの好きなカレー(サウンド)はきっとどこかにあります。探しにいこう、あなた好みのカレーを。ん?カレーが苦手だって?じゃあパスタだと思ってみてください。
はい、要するにこれは、ギターのアンプのボリュームを上げて無理をさせたら本来クリーンだったはずのギターの音が歪んじゃってなぜか知らんけどすごいかっこいい音になっちゃったぞ?というものなわけです。
じゃあクリーンってどんな音なのよ?って人のために一曲置いておきます、置いておきますけどこれはこれでとても素敵なのできちんと歪みの方に戻ってきてくださいね。
チェット・アトキンス大先生のギターが良すぎて戻ってこれなくなりそうですか?わかりますって、でももうちょっとだけ読んでいってみて。
本当に全部かっこいい。
かっこいい、この力強い感覚ほど人の心の動かすものはあるでしょうか。つまりここでかっこいいと思ってしまった人はみんなロックの虜になるわけです。当然、おれ(私)もかっこよくなりたい、そう、みんなそうやって一度は憧れます。そして自分なりのかっこいい音を手に入れるために、歪みの荒野という底なし沼にずぶずぶにはまっていきます。ようこそ私達の世界へ!
ギターのサウンド、エフェクターは様々ですが、ロックを好きになって音楽にはまっていく人たちも、エレキギターを手に取るようになる人たちにとっても、この歪みというのは意識するにしろしないにしろとても重要なものの一つになっていくのです。
さてエフェクターの話に戻りましょう。歪みがかっこいいとされたならば、じゃあ歪んだ音にできる機材を作ればいいじゃない、みんなうれしいでしょ、こんなコンセプトで、歪みペダルというのは作られ始めます。
今回も長くなってしまったのでこのへんで。次回からは歪みにどんな種類があるのよ?というのを書いていこうと思っています。
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