エフェクターコラム14 「Reverb その1 種類と歴史」

前回までで歪みエフェクターについては一旦終了。歪み系の次に多くの人が手に入れそうなエフェクターということで、今回はReverb(リバーブ)についての記事になります。

みんな大好きお風呂効果。ギターを弾かない人なんかだと「エコー」と言われたりしますし、名前など知らなくても、誰しもが小さい頃にお風呂などで声が響いて気持ちよくなることは知っていますよね。当然ギターでもリバーブをかけたら気持ちよくなるわけで。まずはギターのリバーブと言えばみんな大好きミザルーからどうぞ!

アンプなりエフェクターのリバーブの試奏なんかでまずもうみんな弾きたがる!みたいなお約束曲。かっこいいです。映画「パルプ・フィクション」でおなじみですね。

1962年発表。Fenderのアンプがリバーブ内蔵になるのは1963年以降のブラックフェイス時期になるので外付けのFenderのリバーブユニットだったんでしょうか。このあたりはちょっと謎なのですが(詳しい方いらっしゃったら教えてください!)、どうあれレオ・フェンダーがサーファーでありミュージシャンでもあったDick Daleのために、当時のFenderにとってはかなりの大出力であった100WのThe Show Manアンプを開発したという実話は残されています。

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スプリング・リバーブらしい、強いピッキングに合わせて「びしゃ!」っと撒き散らすような残響がイントロから気持ちいい。ギターのリバーブと言えばスプリングでしょ!となる人が多いのは、このスプリング・リバーブ特有の「びしゃっと感」(英語だとDrippy)にあると思います。

ただちょっと残響音としてはわかりにくいので、個人的にはもう最近ではリバーブ曲の定番にしていいのでは?と思っているKhruangbinの「Maria También」を。

ギターに残響がついてる感じ、伝わったでしょうか。楽器屋さんの試奏でこれを弾いている人がいたら、ちょっと話しかけてしまうかもしれない。迷惑ですね。ごめんなさい。

ではリバーブ効果を知っていただいたところで、他にもいろんな種類のリバーブがあるよ、というご紹介です。

リバーブの種類は大きくわけて4つ!

音楽や楽器の歴史で、人はどうやってこの気持ちいい残響音を作ってきたのか。大丈夫です。今日は4つくらいしか覚えてもらうことはありませんから!最初にスプリングリバーブについてちょっと書いちゃいましたけど、歴史的なところも含めた順番でいきますね!

その1 ルーム系

その名の通り、部屋で残響を作ることです。まず私達が知るのはお風呂。それからきっと体育館、そしてコンサートホールなんかでしょうか。冒険キッズだった人だと洞窟なんかかもしれません。要するに壁が硬かったり部屋が広かったりすると音の反射や広がり方で残響が生まれます。

レコーディングの世界でも「エコーチェンバー」という、音を残響させて録音するための専用の部屋などがありました。

こちらのサイト様によると世界初のエコーチェンバーは1947年とのこと。


その2 プレート系

正直もう先程リンクをはったSOUNDEVOTEE.NET様の記事が最高すぎて、ここでまとめる必要性が怪しくなってきましたが書きます。

お次は1957年にドイツでEMT140というプレートリバーブが発売されます。

巨大な金属の板(1メートル×2メートル)に音の電気信号を通すことで残響を作り出す機材です。残響の長さを鉄板の振動を抑える板(ダンパー)との距離を動かせる機構によってコントロールできるようになっています。

こちらはボーカルや全体のマスタリングなどに使われてきた名機で、DTM用のプラグインとしても各社から販売されています。実機との比較を聞いてみましょう。

どれが好みだったでしょうか。実機は個人所有は難しいとは思いますが、デジタルではないリバーブ独特のナチュラルで濃厚な太さはたまらないです。実機が好みじゃなくてもいいんです。ただの好みです。

その3 スプリング系

冒頭でも紹介した、こちらは金属板ではなく、金属製のバネに電気信号を通し振動させることで残響音を作る方式です。

発明したのはハモンドオルガンの発明者であるローレンス・ハモンド。ハモンドオルガン自体の音作りのためにスプリングユニットを使うことを発明して特許を取得したのが1934年、その後ハモンド・オルガン・カンパニーが1959年に「ネックレスリバーブ」というリバーブユニットを発売します。1960年にはネックレスリバーブの開発者の1人であったアラン・ヤングがスプリングのサイズを大幅に小型化し、衝撃に対する弱点も克服した「HammonD Type 4」を開発。それが当時フェンダーの創業者、レオ・フェンダーに知られ、採用されることになります。61年にはFenderのリバーブユニットとして発売、63年以降はアンプに内蔵され、ギター用リバーブの定番へとなったのでした。元々オルガンのための仕組みだったものがギターにとって定番化するというのが面白いところです。

こちらのコンテンツでも詳しく紹介されています。

その4 そしてデジタルリバーブへ

デジタルで音に残響音を追加する理論的な仕組みは、ドイツの物理学者であるマンフレッド・ロバート・シュローダー博士が1961年には発表していたものの、当時はハードウェアの性能的に実現できないまま時が流れます。1972年には先程プレートリバーブでも紹介したEMTが「EMT 144」という世界初のデジタルリバーブユニットを発売しますが、実用性はあまりなかったようです。そして1976年、EMTがアメリカのDynatron社と共同開発した「EMT 250」をリリース。

これが世界初の実用的なデジタルリバーブとなり、1978年にはマサチューセッツ工科大学の教授と心臓のモニタリング装置を開発していた技術者が創業したLexiconが、物理学者であり技術者でもあったDavid Griesinger博士と開発した「Lexocon 224」が発売。これが大ヒットしレコーディングスタジオの定番機材になります。

現在でもデジタルリバーブと言えばLexiconの名前は必ず出てきますし、こちらの224もDMT用のプラグインとしてたくさんリリースされています。

その後80年代以降、様々なメーカーからデジタルリバーブがリリースされ、デジタルならではのさまざまな効果が開発、追加され今に至ります。

おわりに

ざっとリバーブの歴史をさらってみましたが、今回はレコーディング機材コラムみたいになってしまいました。次回は実際にエフェクターサイズになっているリバーブの紹介をしたいと思っています。


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