サマータイムと琥珀糖
こんにちは、うめさんのなかのひとです。
日中は急にあったかいを通り越して暑くなりましたね。お山の朝晩はまだまだ冷えるのでこたつがしまえず、矛盾を感じつつこたつむりしています。
さて、突然ですが、サマータイム導入しました。
以前から夏を恐れてはいたのですが、キッチンはとても日当たりがよく、特に朝日が眩しい場所にあります。先日直射日光に炙られながらオーブンでさぶれを焼いていて、これは早速無理だなと……
というわけで、ご注文のある時は(今は)朝の5時からキッチンに入ることにしました。段階的に早くして、真夏には朝3時を目標にしたいところ。
暑いだけでも十分問題なのですが、困ったことに、外気温があがったせいか、アイシングや琥珀糖が乾きにくいという問題もありまして…レシピや温度調整をしながら試行錯誤の真っ最中です。
元々ゆずこはくは問題児なのです。
基本の琥珀糖は砂糖と水、寒天(と、着色料)のみで作りますが、うめさんのこはくは風味付けの自家製シロップ等がかなり入ります。特にゆずこはくが問題児なのは酸味が強めだから。
まず、寒天は酸と煮立てると分解が始まり、固まりにくくなる性質があります。レモン寒天ってふるふるでおいしいんですよね。アレです。
それをクリアしても次に起こるのが、結晶化の阻害。琥珀糖のおいしさはあの表面のしゃりしゃりだと言っても過言でないと思っているのですが、あれは砂糖の再結晶化という現象を利用しています。
乾燥機にかけて一晩もたてば、端から結晶化が始まるのですが、以前からまれに、結晶化せずに皮革の表面みたいに乾いてしまうケースがありました。
一週間ほど乾燥機にかければなんとか結晶化していたのですが、さすがに長すぎます。電気を食いすぎです。そこで、酸味のあるシロップを控えて、砂糖を増やしてみました。これで、しばらく安定して作れていたのです。
気をよくして、これで琥珀糖について記事を書くぞと思っていた数週間前。
ゆずこはくどころか、安定して結晶化していたさくらこはくがむにむにのまま乾き始めたのです。
調子に乗ってブログに書こうとするからか……
今までとの違いは明らかです。外気温。それからもしかしたら、湿度。
乾燥機の設定温度は40℃でしたが、日中に庫内温度を確認すると45℃以上まで上がってしまっていた日もありました。
これは普通に溶けますよね。車の中に落とした飴みたいなものです。
というわけで、自室の除湿器を持ち込み、庫内温度を下げたのですが、やっぱり結晶化が遅いのです。(とはいえ、最後のさくらこはくは無事結晶化しました)
改めて調べたところ、砂糖の主成分ショ糖はクエン酸と一緒に加熱されると加水分解してブドウ糖と果糖になり、この果糖がショ糖の結晶化を阻害するというのです。
広島県のHPを参考にしました: こちら
で、この加水分解されたものは『転化糖』というらしい。
知ってるぞ!転化糖!昔アルバイトしてた店で、生地をしっとりさせるのに入れてたネットリしたやつだ!(製品化されたものは酸ではなく酵素で分解するようです)
容器の口が拭いても拭いてもねたねたしていたのを思い出します。あれは結晶化しないのも頷けます。羊羹の再結晶化を防ぐ目的で添加されることのあるそうなので、琥珀糖のしゃりしゃりもできないわけです。
なぜ今までできていて、急にできなくなったのか…謎は残りますが、少なくとも酸味のある生地で琥珀糖を作るのは難しいのだということがわかりました。
が、それではこまるのです。もっと酸っぱいもので琥珀糖を作る予定もあるのに……
というわけでいくつか試行錯誤しまして、やっと成功しそうです。写真では分かりにくいかな?
今のところは、企業秘密にしておこうかな……(企業じゃないけど)
試行錯誤するにしても、暑いと集中力がもたないので、サマータイムしてよかったな……というお話でした。