広がってほしい、うたうたい その2
悲しい、を許容する優しい歌だな、と思った。
Sorrow / 松尾太陽
♬僕たちの今胸を掴むあの歪んだ日々が 今も忘れられないのなら ずっと見ていよう、君が飽きるまで♬
サビを歌い上げる太陽くんの歌声は、天高く伸び上がるように真っ直ぐな爽快感のある歌声で。その歌声で歌われる歪んだ日々は、歪んでいるけれど大切な日々であることがすごく伝わってきて。
だから。ずっと見ていよう、君が飽きるまで。の、その歌声の真摯さが胸を打つ。歪んでいても、大切なものなら大切にしていてもいいんだ、ということ。そして、大切でも歪んでいるのならば、飽きたら見るのをやめてもいいんだ、ということ。歌詞の言葉の組み合わせと、太陽くんの歌声の調和により差し出されるその意思は、とてつもなく強い優しさだと思う。少なくとも、私には涙が出るほど嬉しい、そして今まで想像もしていなかった向き合い方だった。飽きるまで、見ててもいいのかな。歪みを取り除こうと目を凝らして見ていた大切な日々を、歪んだそのままで大切に見ていても良いのかな、私が飽きるまでは。飽きる、という日常的で軽やかな言葉にどれほど救い上げられたことか。
たったワンフレーズで、ほんの数十秒の歌声で劇的に自分の世界の見え方が変わることがある。
私は、そういう歌に、言葉に、支えられて立っている。
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