東日本大会を振り返って
皆様こんばんは。お久しぶりです。北海道在住の将棋好きなスキーヤー・ヤマヤです。今回の投稿では,9月6日∼9月10日に行われた将棋の東日本大会について振り返っていこうかなと考えています。
全ての対局を振り返ると時間がかかりすぎるので,殆どは勝敗だけのハイライトとし,よくも悪くも印象に残った対局を内容と共に振り返ろうかなと考えています。
東日本大会とは
そもそも東日本大会とは?というところから軽く触れていこうかなと思います。
今回参加した東日本大会は,北海道・東北・関東・北信越の大学生を参加対象とした大会です。期間は9月6日~9月10日の5日間で,前半3日が5人制の団体戦(北海道選抜のエントリーは7人),後半2日が個人戦というスケジュールでした。自分は団体個人共に北海道選抜の一員として参加し,団体戦では大将を務めました。
ちなみに団体戦には10チームが参加。北海道選抜,北海学園大学,東北大学,東北選抜,関東選抜Ⅰ,関東選抜Ⅱ,東京理科大学,慶応義塾大学,新潟大学,北信越選抜の総当たりで戦いました。個人戦は選手32人でトーナメント方式で争われました。
大会初日
初日は慶応義塾大学・北海学園大学・東北大学の3チームと対戦。全てで対局しました。
初戦の慶応義塾大学戦では自分の居飛車vs相手の四間飛車という構図になりました。玉頭銀から端を絡めて玉頭戦になり,中盤まで互角に進めるも終盤で入玉模様になり投了。無念の黒星スタートとなりました。
2局目は北海学園大学戦。正直なところ「道内でも出来るよ…」と思いつつも対局開始。またしても相手は四間飛車。今度は一度も王手をかけさせず,金無双急戦で攻めきりました。
3局目は東北大学戦。角道を止めて左銀を早めに5六にあがる工夫をしたものの,指し手が乱れて勝負形にできず負け。苦しい将棋が多く,疲れた初日になりました。
この日の北海道選抜は1勝2敗。
大会2日目
大会2日目。他の選手の出場回数との兼ね合いから,自分は1局のみの出場。
1局目の関東選抜Ⅰ戦では0勝5敗と苦しい結果になるも,2局目の東京理科大学戦では3勝2敗で道外勢相手ではこの大会初めての勝利。
3局目,この日唯一の出場。相手は関東選抜Ⅱで,自分の相手はKさん。恐らく会場で知らない人はいないくらいの有名人。対局できるだけでも光栄なことですが,自分も北海道選抜の大将として対局する以上,相手が強いと言えども勝利が求められるところです。
と言ったものの,相手のひねり飛車に何もできず押し切られ黒星。この日唯一の対局だったのに,会場で一番早く投了を告げていました。無念。
結局自分の出ていない東京理科大学戦のみ勝利でこの日の北海道選抜は1勝2敗。大会通算2勝4敗。
大会3日目
団体戦最終日。この日の相手は新潟大学,北信越選抜,東北選抜です。自分は東北選抜以外の2局で出場しました。
では新潟大学戦の自分の将棋を振り返ろうと思います。
振り駒の結果,先手をもつことになり,対局開始。勝手に相手の方が振り飛車党だと思い▲4八銀を決めようとするも相手も飛車先を伸ばしてきてビックリ。「この人,居飛車党だったのかよ」と思ったものの時すでに遅し。相早繰り銀の激しい将棋になりました。
先手だったはずなのに,相手に先攻されてカウンターを待つ展開に。上の画像の△5四角はある程度想定していましたが,実際指されると「面倒な角だな」と。本譜は▲2六飛と浮いて歩を守ると同時に攻めの準備を整えましたが,後輩曰く5筋を伸ばすのがよくある筋らしい。うーん,7筋早そうでそんな手は自分には無理や…
左辺で銀交換が行われ,相手の方が自陣に銀を投入してきた局面。この銀打ちで少し手応えを覚えました。ソフトの示す最善手は中央の桂捨てから▲5五飛と回る手らしいですが,実戦は桂捨てから▲8五飛。飛車交換を挑み,銀を手持ちにしているメリットを生かそうと考えていました。
相手がジッと龍を寄せた局面。本局最大のチャンスが到来。▲6三角とすれば▲4一飛までの詰めろで受けざるを得ず,その瞬間に▲5三桂成∼▲3六角成と角を素抜いて優勢でした。また,▲6三角と打つ手に対する殆どの変化において,▲5三桂成に対して△同玉と取らざるを得ず,▲3六角成の瞬間に▲6三飛と追撃する狙いも残り,必勝に近い展開に持ち込めた…はずでした。
しかし実戦ではまさか,まさかの▲7四角。以下△5二歩▲6三角成と進みましたが,△4五角と桂馬を外す手が3筋に駒を打つ準備をしつつ自玉を安全にする後手の好手で勝負あり。正確には▲7四角△5二歩に▲5三桂成でまだ互角でしたが(一例を示すと以下△同玉▲4五桂△4二玉▲5三銀△4一玉▲7一飛!),焦りで読みが浅くなっていたのがもったいない結果に繋がってしまいました。
その後は順当に押し切られて負け。高校で将棋部に所属して以降で,最悪の逆転負けだと思います。チームとしても1勝4敗で負け。残念。
続く3日目の2局目(vs北信越選抜)は向かい飛車で快勝し,チームとしても4勝1敗。最終局の東北選抜戦は休み。
個人としては2勝4敗で,恐らく人生初の大会負け越し。非常に悔しい結果となりました。チームも3勝6敗。無念。
大会4日目
大会4日目からは個人戦。出場選手32名が東日本学生名人の称号を目指して戦います。4日目に3局,最終日に2局指すスケジュールです。
抽選の結果,自分の相手は北信越代表のBさん。強いと評判の方です(まあ今回の大会はみんな強いんですけどね)。
後手の駒組みについて行く形で布陣。本譜は上の画像以下▲3七桂と跳ねましたが,攻めにくくした一手で反省。▲3五歩△4五歩の反発を気にしての桂跳ねでしたが,この形では以下角頭を狙う攻めが厳しく,反発は不成立。読みを確り入れるべき局面でポイントを稼ぐチャンスを逸しました。
駒組みが飽和しそうなこと,黙っていると後手の堅陣が生きる展開になること,相手の攻め駒が少ないことを考慮し7筋から開戦。5∼7筋を絡め,さらに将来▲9七角と覗く展開になれば先手指しやすいと考えていました。実戦は△7二飛から決戦に。
以下5筋で銀交換し,▲6四角を防ぐ△4二角。細かく見るなら銀交換には▲5五銀と応じ,以下▲6四銀と▲6三銀∼▲5四銀成を狙えば先手有利でした。本譜では角で応じて上の局面になるわけですが,▲9六歩との一貫性を失っています。上図以下▲6三銀△9二飛▲7二歩と飛車を抑え込みに行きますが,後手の右桂活用が予想以上に早く,薄い自陣に手がついて一気に寄せ切られました。
終盤は1手差まで肉薄しましたが,やはり中盤の駒損が大きく,足りませんでした。
大会5日目
北海道勢は4日目で全滅。5日目は宮城観光の日にしました。日本三景の一つでもある松島で船に乗ったり,中原誠十六世名人の出身地でもある塩釜に立ち寄ったり。リフレッシュもできたのかなと思いたいです。
まとめ
まずは4年振りの東日本大会開催にあたり,気持ちよく将棋を指せる環境を整えてくださった東北学生将棋連盟理事の皆様,ありがとうございました。また,対局してくださった方,普段の練習につきあってくださる全ての方に感謝申し上げます。
今回の大会は,小樽商科大学将棋部再設立後で初めて部員が道外で勝利する記念となりました。また,私個人としても2010年の倉敷王将戦以来,13年振り2度目の「北海道代表」になることができ,「止まっていた時計が今動き出した」とは,まさにこのことなのかもしれないとも感じました。
嬉しい思いの反面,やはり道外で勝つ難しさを痛感しました。序盤の精度一つ取り上げても,特に関東勢との差を身をもって思い知らされた気がします。これらは貴重な経験として部に持ち帰り,棋力向上につなげていきたいと考えています。
最後に…
三浦先生,北海道代表として久しぶりに勝ちました。あれから13年。こんなに時間が空くとは思っていませんでした。
今大会は悔しい結果となりましたが,次の大会以降,勢力図を大きく塗り替えられるように頑張ります。応援していてくださると嬉しいです。