痛くない思い出
子供の頃、近所に同世代の男の子三人兄弟が居た。
上と下の子たちは運動も勉強も出来る人気者。
真ん中の子は、発達に遅れがあったと思う。
私より1つ下のその子に、たまに絡まれたな。
クリスマス会で頭を引っ張られて髪の毛が抜けた。
学校で使ってた小刀を取られ、返してほしくて掴んだら手を切られて、血が結構出たな。
なぜ、あんなにもイライラしてたん?
なぜ私には、感情をぶつけてくれた?
あなたも、上手くお話が出来なかったよね。
あの時も、思い出している今も気持ちは変わらないよ。不思議なあなたのこと、もっと知りたかった。
きっとあなたは、毎日大人たちに叱られて、
兄弟たちと比較されて、同世代の子たちと比較されて、悔しかったよね。
周りを困らせていたあなた。
でも、いちばん困っていたのは、あなたなんだよね。
髪の毛が抜けても、手から血が出ても、痛かったというイヤな思い出は残っていない。だいじょうぶだったよ。
全然痛くなかった。
でも、今なら大騒ぎになってしまうね。
大きくなった後のあなたのことは知らないけれど、
きっとどこかで繋がっていると思うよ…。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?