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大人のクーピーが思ったより大人だった
タイプのデザインってありますか?
私は、「遊び心」あるものに弱いです。
では、そもそも遊び心があるデザインとは何か?
私にとっての答えは、
「自分がその物語の一部になれる」でした。
この記事では、とある遊び心あるボールペンが
見せてくれた物語を紹介します!
出会い
「ノスタルジア」をテーマにした商品は沢山見かけます。
私ももちろん、そんな商品が好きで、色々と触れていました。
思い出のあるものを別の形で活用するのはいいものです。
始めて文具店でこちらの商品を見つけた時は、
そこまで強く惹かれませんでした。
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クーピーの思い出がなかったからです。
ですが、軸の美しさに惹かれて、つい手に取ってしまいました。
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その時の、不思議な感覚を今でも覚えています。
まるで感覚だけがタイムトリップしたようでした。
そこにいる私は、自我が芽生えたばかりの子供でした。
クーピーを手に持って、自分を表現しようとしています。
そんな記憶はないのに。
一方で、その私は確かに今の私でもあったのです。
「これ、まじで大人のクーピーだ」
何がそう感じさせるのか、
使って見たらわかるだろうか?
そうして、002のお迎えが決まったのです。
軸色が大人
POPなカラバリが特徴の002、
オレンジを選びました。
並んでいるのを見るとカラフルで可愛いです。
なので、メインターゲットは若い女性かな、と思ったのですが、
一本を改めて見ると、違う表情をしていました。
真鍮の上にアクリルコーティングの二重構造のボディ、これが意外と渋い。
ジューシーなのに、マット加工で落ち着きがあり、
とても綺麗な発色なのに、反射のせいか少し黒みを感じます。
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そこがめちゃくちゃ大人心に刺さりました。
POPさを残しつつ、ここまで大人っぽく仕上がるものなのかと
感動を超えて、感心してしまいました。
リフィルの色が大人
見て下さい、このラインナップ。
ブラック
ブルーブラック
ブラウンブラック
ボルドーブラック
グリーンブラック
漆黒
全部黒。
この黒の違いを楽しめるのは大人になってからです。
クーピーは、色を楽しみ、色で表現するのに
あえて、「黒を楽しみ、黒で表現する」なんて!
子供の頃の尊い感性は大人になると失われてしまいますが、
「その代わりに得た素晴らしい感性で、今のあなたを表現できる」
サクラクレパスさんは、そう伝えたかったのかも知れません。
大人は「描く」し、「書く」
元々のクーピーは、「描く」がメインの使い方です。
ですがこちら、黒のみのボールペン。
もちろん描くにも使えますが、こうも受け取れます。
「書く」は、子供の頃には出来なかったこと。
それを、子供の頃に楽しんだ道具でやる。
なんて贅沢なのでしょうか!
まさに、大人の味!
大人は書き心地を楽しむ
普段は万年筆など
筆圧をかけずにサラサラと書けるタイプのペンを使っている私ですが、
002にはまた違った良さがありました。
個人の感想ですが、
書き心地は、「クーピーでのお絵描き」に似ています。
クーピーの記憶はないのですが、「こんな風にお絵描きしたんだろうな」
なんて想像が膨らみました。
普段のペンとのギャップかも知れません。
「少し重い本体を支えながら、少し筆圧をかけて、ゴツゴツ書く」感覚は、
自分の手から生まれるものが下手くそでもいいや。
と思わせてくれました。
そして、なんだか安心する持ち心地。
少しザラつきがあって、指に吸い付いてくるような柔らかさ。
不思議と、暖かさすら感じました。
さらに、002のリフィルである、0.5のゲルインキ。
これもなかなか好みでした。
発色はくっきりと濃く、やや太めでべたっとした質感。
書いたものが「ここにいるぞ」と言わんばかりに存在感を放ちます。
インキがドバッと出る感じが堪らなく、
紙をもっと汚してやろうという気分になりました。
事前情報で、掠れが気になるという声があり、不安でしたが、
私との相性は良かったようです。
大人だって、いろいろ
サクラ クラフトラボシリーズは
高いものだと一万円超えの高級筆記具。
その中で002はエントリーモデル的位置付けですが、
ラインナップの中でも浮かない丁寧な造り。
これが2,200円(税抜)だと知った時には
「もうちょっと手加減しなよ・・・」と本気で思いました。
これがジャパニーズクオリティの底力・・・!
等身大のペン
使っているうちに、わかって来ました。
大人になると
見た目も、中身も、だいぶ変わってしまいます。
でも、変わらないものもある。
ペンを持った時に感じた、「これで何をかこう」という無邪気な気持ち。
002は、そんな心の具現化に見えます。
きっと、大人のクーピーは
子供の純粋な心を思い出させるものではない。
むしろ大人ならではの感性を
呼び覚ますものなのでしょう。
思い出とか、見た目とか、機能とか
それを味わえるのは、大人になったから。
「大人を」わくわくさせるペン。
それこそが、「大人のクーピー」の正体でした。
002が見せた物語とは
ここまで読んで下さり、ありがとうございます。
最後になりますが、冒頭のテーマであった
002の遊び心である、物語。
それは
「どこかにあるかもしれない時間」でした。
クレヨンを卒業し、色鉛筆を使い始める前の
短い期間、
自我が少しづつ確立していく中、何かを表現しようとしていました。
失いかけている、「ありのまま」を。
その場所では、全て受け入れてもらえます。
周りの大人たちに、ではありません。
自分自身に、です。
今、私はノートを見るのは自分だけだと知りながら、
書くことを恐れたりします。
自分に対して表現するのすら、怖くなっている。
002に出会った時に感じた、幼い私は
こう伝えたかったのかもしれません。
「あの頃に表現出来なかったこと、いまなら出来るよ!」
おまけ
大人はディテールにもこだわる・・。
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いや、天才すぎるでしょ!?
なぜ思いついてしまった!?
しかも、ちゃんとあるんですよ、中身が!
「ボルドーブラック」と言う名前で!
え、いきなりテンション高いって!?
すいません。そういう酔い方をするタイプなんです!
(実は最初から酔っていた(インクで))
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それ以外はブラックで書いています。