昔日

骨を食べて空洞にしている虫が
僕の中に住んでいる。
そいつはいつもニコニコ顔で
グウ、グウッ
とゲップを出している
そいつはとても醜いデブで
誰にでもあいさつして歩く
愛嬌のある奴だ。

ずいぶんと軽くなった僕の身体は
たいそう歩きやすそうに
フワフワにして軽やかなリズムだ。

が、歩けない

はるかな道を
あの朱色の道を
どこまでも歩こうと思った昔日
その道を目に焼き付けていながら
今じゃ
こんな風体のおかげで
やっぱり歩けない。