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文化という生き物

文化は生き物と同じである。
文化はそれそのものを保存することはできないし、時代、環境に合わせて変化していくものである。
大切なのはその文化の核となる部分、生き物で言えばDNAとなるものを抽出し受け継いでいくことだ。
文化を遺すとは、たとえば特定の着物を保存して博物館に飾ることではなく、その着物に含まれる日本文化的要素を見つけ出し、現代に合う形で再表現されていくことが、文化の継承である。
ただ単に文化的象徴物を保存するだけでは、動物をホルマリン漬けにしているのと同じで、その文化はすでに死んでしまったものとなる。
かつて恐竜が氷河期の環境に適応できず絶滅したように、文化も新しい時代や環境に適応できなければ、消えてゆく。
後世に伝えたい文化があるのなら、その核となるものを探し、新しい波を渡って行ける船を作らなければならない。その核が失われても、船が壊れても、文化は海の藻屑となって消えてしまう。

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