![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/42993176/rectangle_large_type_2_7be02fdcfccd5c43f4c6db9def3a0ad8.jpeg?width=1200)
【金利】名目金利と実質金利について
2021年1月現在、金利上昇に際して、以下のような記事を見かけました。
「名目金利が上昇しても、インフレ期待も上昇するため、実質金利のマイナスが続く」
名目金利と実質金利?何の違いが…?となったため、関係性ついて調べてみました。
なお、本記事では主にアメリカでの金利を想定します。
金利の種類について
名目金利と実質金利に行く前に、まず金利の種類について整理します。
金利は大きく分けて2つ。
「短期金利」と「長期金利」です。
定義としては以下の通り。
【短期金利】
・銀行間での短期貸付レート
・レートはアメリカの中央銀行(FRB)が決定する。
【長期金利】
・短期金利に将来の物価上昇率(インフレ率)などを上乗せしたもの。
・長期金利の基準となるのは主に10年国債の利回りのため、マーケットでの国債需給により変動する。
なお、長期金利は住宅ローンや企業が銀行から融資を受ける際の参考レートとなります。
現在、アメリカの各金利は以下の通り。
(2021.1.10時点)
短期金利 0%(※厳密には0~0.25%)
長期金利 1.122%
短期金利はいわゆるゼロ金利であり、長期金利も歴史的低水準です。
名目金利と実質金利について
名目金利と実質金利は「長期金利」に関係する話になります。
定義としては以下の通り。
名目金利=10年国債利回り
実質金利=名目金利-期待インフレ率
実質金利とは、物価上昇(インフレ)を考慮した実質的な金利を指すようです。
実際に実質金利を求めてみます。
10年国債利回りは前項目で示した通りですが、期待インフレ率については、アメリカの各経済指標が見れる『FRED』というサイトで「期待インフレ率」(10-Year Breakeven Inflation Rate)の指標を流用します。
期待インフレ率 2.06%(2021.1.8時点)
これらのデータを基に実質金利を計算すると以下の通りとなります。
実質金利(名目金利-期待インフレ率)
=1.122%-2.06%=-0.938%
つまり名目金利が上昇してもなお、実質的な金利はマイナスだと言うことが分かります。
逆に言えば名目金利が期待インフレ率を上回るようであれば、実質金利もプラスに転じると見ることが出来ると思います。
ちなみにインフレ連動国債と言うのがあるようで、「実質金利≒物価連動国債利回り」となるようです。
[Bloombergより]
インフレ連動債利回り -0.95%(2021.1.11時点)
先ほど計算した実質金利とほぼ同じですね。
まとめ
実質金利=名目金利-期待インフレ率
「名目金利が上昇しても、インフレ期待も上昇するため、実質金利のマイナスが続く」
とは、上記式の関係から、名目金利・期待インフレ率が共に上昇した場合、実質金利に変化が生じないと言う意味になるようです。
期待インフレ率にも上限があるため(2%を大幅に上回るインフレはFRBも望んでいないため)、名目金利がそれを上回るまでは実質金利はマイナスになるのかなと思います。
今回色々と調べてみましたが、金利の仕組みは複雑な所が多く、もしかしたら間違った内容も含まれているかも知れません…。
今後更に勉強する中で、新たな発見があれば更新したいと思います。
おまけ
日本の金利についても調べてみました。
短期金利 -0.1%
長期金利(10年債利回り) 0.025%(2020.12.30時点)
期待インフレ率(BEI) 0.024%(2020.12.30時点)
なお、期待インフレ率のデータが2020.12.30のものまでしか無かなかったため、10年債利回りも同日で統一しています。
実質金利(名目金利-期待インフレ率)
=0.025%-0.024%=0.001%
日本の実質金利を計算してみるとプラスであることが分かります。
名目金利だけ見ればアメリカの方が高金利ですが、実質金利は日本の方が高いようです。
現在、ドル/円レートは円高ドル安に進んでますが、実質金利の差も要因になっているのかと思います。