「ブレイク下をカバーするバイブレーションの活用術」
どこのフィールドでも投げるアングラーが減ったと言われる“バイブレーション”というジャンル。ひと昔前は「とりあえずバイブ」といったノリで多用される典型的なサーチベイトだったが、現在ではすっかり存在感が薄くなった印象は否めない。
高橋一夫さんがホームの牛久沼でバイブレーションの必要性を感じるタイミングのひとつが、まだ水温の安定しない早春、いわゆるプリスポーンの時期だ。
まず選ぶのはシャロークランクで、“LC 1.5”や“LC 1.5 SSR”などを地形や水深に応じて巻いていく。この段階で反応があれば、バイブレーションに変える必要性は低いだろう。ルアーをボトムに近づけなくても、中層を通すだけでアグレッシブに食ってくれる状態と考えられるからだ。
このとき、ブレイクの底質が硬いのであればミドルダイバーやシャッドでもいいだろう。同じ牛久沼でも、西谷田川では“LC1.0DD”や“クラッチDR”などをよく使うという。しかし東谷田川はブレイクといっても泥底のエリアが多いため、バイブレーションのほうがスタックしづらく、手返しも向上するのだ。
近年、リフト&フォールによるアプローチをメタルバイブで行なうアングラーが多いが、それよりもフォールスピードを抑制できるのがバイブレーションの持ち味。また、特にマッディウォーターではバスに発見されやすくなるラトル音の効果も見逃せないと高橋さんは考えている。
「スポーニングの諸段階を考える」
バスの産卵行動に関してはアングラーによって意見の異なる部分も多く、「諸説あります」というのが実際のところ。で今回は、40年近くに渡って関東のさまざまなフィールドを経験してきた高橋一夫さんの意見を紹介しよう。
それはなぜか? 3〜4月ごろはまだ天候が安定せず、三寒四温で急激に水温が下がることも多い。霞ヶ浦水系や牛久沼のようなマッディシャローでは、冷たい雨が注ぐと一晩で5℃以上も低下することさえある。
こんなときは、シャローで弱ったベイトを模して、フローティングジャークベイトのトゥイッチ&浮上アクションがハマったりする。また朝は巻き物に無反応でも、水温の上がる午後からチャンスが増えることも多い。「早春はコレ」と決めつけず、前日までのコンディションを考慮して柔軟に対応したい季節だ。
オスとメスがペアになって産卵が行なわれたあと、メスは縦ストなどに寄り添って体力が回復するのを待つ。いわゆるアフタースポーンの状態だ。巻き物を果敢に追うような状態ではないため、水面でスローに誘う釣りがハマりやすい。
なお、卵を生んだあとにいったん待機して、2回めに備える「半プリ」という状態のメスがいる……という説もあるが、高橋さんは信憑性が低いと考えている。
記事&写真 水藤友基