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地元の公園で昼間から酒飲んでるおっさんの経歴
あいつらはどういう経緯でそこで酒を飲んでるんだろうか。
もしかしたら学生時代はそこそこ優秀で、割とモテていて、実家も太く、就職にも困らず順風満帆な人生を送っていたかもしれない。
地元を離れて都内に就職、彼女もいて結婚秒読み…何も疑うことはない人生、きっとこれからもそうだ…。
ところがそこでふいに不景気がおしよせ、リストラの嵐。青年はそこに巻き込まれる。
頼るあてがあるのは実家。
実家に帰ったはいいもののもう両親はどちらもはたらいておらず、数年のうちに要介護、その介護を続けるうちに相次いで天に召された。
残ったのは中年を過ぎた未婚低収入の男と、地方によくある、売値のつかない年季の入った一軒家だけだ。
男はコンビニで買えるワンカップを片手に公園で一人たたずむ。
これが日課となり、微々たる変化もない生活をアルコールでごまかす…。
そこを通りかかる一人の学生が俺というわけだ。
なんの話をしようとしたか忘れてしまった。一人の実在しない男の生涯を想像するだけでかなりの時間を費やした。
何が言いたいかというと、最近は「なんでおれは東京にきたのか」をよく考えるということだ。
結論からいうと、身近に「地元でちゃんと働いていて、バンドもしっかり活動し、かつ幸せそうな大人」が身近にいなかったからだと思う。
先にあげた公園で酒を一人飲んでるおっさんだったり、暗い内容だけが飛び交うニュース番組が放送される地元を見て、「おれはこんなところにいたら腐ってしまうんじゃないか」と思ったからだ。
「地元が好きだから、地元に残って生活するわ」
俺はそういう人が理解できず、羨ましく思う。馬鹿にしているわけではない。
そう言った人の大半は地元から離れて生活したことがない人がほとんどだった。
俺には、地元以外の生活を経験しないで同じところにい続けることはできないし、なにより地元でバンドをしつつ暮らせるビジョンが全く見えなかった。
だがこれがこの間のツアーファイナルで覆った。俺が誘ったアニキバンドはみんな、地元でちゃんとかっこいいバンドを続けて、生活もしっかり回している。
俺が学生のときにこんな大人がいたらもっといろんな選択肢が見えていたのかもしれない、と思わせてくれた。そういう人が地元に根ざしているのを誇りに思うし、なにより、今の学生たちにその生き様をしっかりと見せつけて、いろんな生き方があることを示してくれているようで、なんだか嬉しい。
僕は好き好んで東京に来たので、何も後悔はしていないと思っている。ただ、渋谷からの帰りの満員電車でこれをかいてるときは、少し後悔したかもしれない。