2022.10.13
「100杯は酒飲めるわ!」
そう言って、強いお酒を何本もカゴにいれ、鼻息を荒くしながらドラッグストアの中を意気揚々と駆け巡ったのは俺だ。
だが実際はどうだろう、カゴに入れたその缶のチューハイを1本飲みきる前に、もうだいぶ酔ってしまっているのも、また俺なのだ。
ここのところ夜更かしが続いていたからか、体調はよくない。それでも一区切りついた日にはお酒を飲みたい。疲れていたとしても。
結果が今の僕である。
今日はどうしても何かを作って食べたかった。でも料理をするには元気がなさすぎる。なにか、なにか楽につくれるものはないか。
そこで、友達が一人でよく鍋をすると言っていたことを思い出した。
いわく、「具材をぶち込んでさ、煮込むだけだからマジで楽だよ〜。うまいしシメにラーメンも食べられるしさ」らしい。
俺は心のどこかでずっとひとりで鍋をしてみたいと思っていた。やるべき時がついにきた。季節は秋。最高の時期で最高の条件だ。
冷蔵庫を開ける。野菜のレパートリーはブロッコリー、玉ねぎ、にんじんだ。だめだあ、これでは鍋なんてできない。一人で鍋をしたことのない俺でもわかる。カレーを作って冷蔵庫がそのままであるのがわかってしまうのも恥ずかしい。
夜もやっているドラッグストアへ、食材を買いに行く。具材を選んでる途中で、「俺は楽をして料理をしたかったのにわざわざ少し離れた場所まで買い物にきて料理をしているのはいささか矛盾しているのでは…?当初の目的を見失っているのでは…?」と気づきかけたが、それ以降を考えるのはやめにした。
今ここで自分の行動が矛盾していて、意味のないものだと知ったとして、その後に俺が取る行動はきっと変わらない。鍋の食材を買って、酒を買って、帰るだけだ。考えるだけ無駄だ。
以降、あまり考えずに、今日までの疲労を労うめに、必要な時ものを買うために自分を騙して意気揚々とスーパーを駆け巡って日記の冒頭に戻る。
鍋はうまいし酒もうまい。もうこれ以上何もいらない。
ありとあらゆる連絡を先延ばしにしていて方々に迷惑をかけていることなんて知ったことか。いや、知っています。ごめんなさい本当に。でも生きるのに忙しいんです、許してください、明日起きたら返信するので…
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