人間ディレイ、フィードバック
ディレイというエフェクトがある。
一度出した音を覚えて、その音を何回も繰り返して鳴らし、決められた時間や回数に到達するとやめると言った代物だ。
バンドマンは、特にリードギターはよく使う。ディレイを使うと、バンドの中に埋もれず、フレーズの音抜けがよくなったり、残響感を出したりして、フレーズを印象づけることができる。
俺には今、ディレイがかかっている。
正確には、他人に言われた言葉にディレイがかかって、俺の中で無限に鳴り響いている。
他人に言われた言葉はわりとすぐさま忘れてしまう。なんてったって名前だって顔だって覚えられないタチだから。悪口も軽口も全て基本的に忘れてしまう。
でも、言われた言葉が自分にとっては忌み嫌うものであっても、それが図星だったり事実だったりすると、それが一生自分から離れなくなる。ぎくり、とするとはらはらする。
まともな人にまともに指摘されると、僕の中でディレイがかかって、その言葉が無限に消えてくれない。
いってくれた言葉が正しいだけに、より重くのしかかる。
その言葉が頭の中で鳴るたびに、その言葉の意味や、その言葉に対する回答やいいわけを探すことで僕の前頭葉はいっぱいになってしまう。
そしてその答えは結局、考えてどうにかなるものではなく、行動して、努力して成果を出してからでないとわからないものばかりだ。
それがわかっているのにやる気がでないだの、明日眠くなるのが嫌だからと、言い訳を探さない言い訳を考え始める。
僕の毎日はそんなんばっかりで、いつまでたっても答えがでない。
こんな文章、書いている間に手を動かせばいいのに、それをやらない。というか、手を動かそうとすると無限に言葉が鳴ってしまうので、そのディレイを振り切るために無理やりといまは文章を書いている。
なんのこっちゃわからないだろう。
僕からしてもこんな文章をみてもなんのこっちゃわからんだろうと思う。
俺の中でなっている言葉自体はここに書きたくないけど、似たような言葉ならたくさんある。
例えば、「あなたの生きる意味はなんですか」とか、そういった漠然とした言葉だ。
答えは、やっぱりでない。
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