おひとり様の流儀
『おひとり様ですか?』
からきたのだろうな。最近では、『ソロ活』なんていうんらしいんだけどやっぱり『おひとり様』の方がしっくりくる。なんとなく。
20代前半から『おひとり様』は色々してきた。そういえば、初めはBARに行くって事から始まったんだっけ。上司に次いれて行ってもらったBARには、『おひとり様でも大丈夫ですよ!』という空気があった。当時おひとり様をした事がなかった私は、おひとり様を始めるならここからだと思ったのだった。
常連さんとお得意様は違うのだ。
初おひとり様BARは、緊張した。そしてそのBARでいろんなことを教えてもらった。おひとりさまの飲み方や過ごし方を……いわゆる常連さんになる方法もここで学んだ。常連さんというのは、もちろん通う回数や使った金額で区切られがちだけど実は違う。そこで区切られるのは、お得意様で常連ではない。常連さんには、金銭では変えられない信頼という区切りがある。人としての信頼度それを重ねるためにお金ではない貢献をしていく事が大切なのだ
BARから始まった私のおひとり様は、だんだん幅を広げて言った。まずはこのBARで紹介された創作料理の店に行き、BARで知り合った人に教えてもらった角うちの店にも行った。
おひとり様は、“タガ“が外れてからが楽しくなる
『おひとり様』は、始めるととても楽しくなってくる。それは、まるでクラス替えで友達いなかったらどうしようと思ってたのに、だんだんクラスに馴染んでいくように……少しづつ段階を踏んで楽しくなっていきく。そしてポテトチップスを開けて半分残すぞときめたのに気づいたら全部食べてしまっていた……ぐらい病みつきになってしまう。
おひとり様に慣れ始めた頃私の中で、難しいおひとり様のトップに君臨していたのは、カラオケとファミレスだった。その頃食事や飲みに行く場所は、個人経営の店が多くひとりで飲んでいても誰かしら声をかけてくれたりこちらから声をかけたりして寂しい思いをすることはなかった。当時は、おひとり様と言いつつひとりを楽しむというよりは、どちらかというとひとりで行動できる自分を楽しむ感じだったような気がする。
なので誰からも話しかけられない事が決定している空間で自分がどう過ごしたらいいのかなんて分からなかった。そんな状態の中お酒で景気をつけて意を決してひとりカラオケに向かった。お酒の力は、本当にすごい。部屋に入ってすぐは、どうしていいか分からずなんとなくひとりで歌うのが誰もいないのに恥ずかしかった。一人で歌う歌なんて決まってなくて履歴を見ながら入れては、少し歌って間奏になると恥ずかしくなって消したりした。3曲目ぐらいからだんだんと勢いづいてきてフルで歌えるようになり、5曲めには、一同歌った曲を入れるようになり、1時間立った頃には、延長を決めてしまっていた。そして帰る頃『次ひとりで来た時はフリータイムにしよう』と心に誓ってしまうほどだった。ここが私のターニングポイント“タガ“が外れた瞬間だったような気がする。『おひとり様』でいることに他人の目を気にしない覚悟が決まった。
流儀1 程よい距離感を保つ
私が飲んでて一番嫌なのは、知らない人に職業を聞かれることだ。仕事を持ち込まないためにひとりで飲んでるのにどうして仕事の話になるんだと思うと残念な気分になってしまう。その頃職業は?と聞かれると私は『四葉の幸せです。←本名』と答えていた。自分を演じるので精一杯なんですよと言いながら仕事の話は、できるだけ避けてきた。仕事の話を一方的に聞くことはあるが、こちらから聞くことはしないようにしている。
そして店の常連さんが『飲み屋では、政治と宗教とスポーツの話はタブーだよ』これは、思想の違いから言い争いになりやすい話題なんだそうだ。まぁ飲みに出ているのだから現実を忘れるために程よい距離感のためにと言ったところだろうか。
人は、近づきすぎると期待し始める。だから長く付き合う為にも自分の居心地を良くするためにも程よい距離感が大切なのだ。
流儀2 自分が満足したら帰る
個人店に多く行っていた私は、だんだんとその店での知り合いもできてきた。名前を知ってるわけでもない、職業を知ってる訳でもないけれどその人が一番先に何を飲むかとか、好きな食べ物が何かとか、を知ってる間柄。その頃私に直面していた問題。それは帰るタイミング。話しかけられてしまうと話が弾みもう飲めないし食べれないのに、その人との会話が終わらず居座ってしまうことがあった。
そんなある日、バーテンダーに『もう飲めないから帰りたいなと思った時は、《もうそろそろっ》って言ってお財布カウンターに出してくレたらいいんですよ。無理して話しなくてもここは仕事場じゃないですから。難しいようならお財布だけでも出してくれたら気づいた時は、手伝いますしうちの常連さんはその辺は、察してくれるはずですよ』と言われた。それ以来私は、財布をカウンターに出すということから始めた。少しづつステップアップしてタイミングを見て『そろそろお会計を……』と言えるようになった。今では、『1杯奢るよ』と言われても飲みたくなければ『今度いただきます!』と言えてしまう。自分が満足したらいつでも帰れる。それがおひとり様のいいところなのだ。
流儀3 おすすめを頼むのは、2品目から
飲みに行っても食べに行っても一番初めに頼むものは決めている。BARでは、ジンリッキー。カウンターに大鉢がある店ではそれと焼酎の炭酸割り。大鉢がない場合は、焼酎の炭酸割りを頼んでそれが来るまでの間にすぐできそうな物を頼む。これだけは、決めている。そしてそれを食べ飲みしながら会話をしておすすめを頼むようにしている。もちろんおすすめと言われればこれという店もあるんだけど、このパターンでいくと満足度が確実に上がるのだ。例えば、酢豚が好きな人とほうれん草のお浸しが好きな人に、おすすめする品はきっと違うと思う。もうすでに一品頼んでる状態だとそこを聞いていただくこともできるので『あなたに対する店のおすすめ』を頼む事ができる。ひとりだと食べ飲みできる量がそう多くはないから初めにおすすめを食べたいものだけどこの始めのルーティーンが満足度を確実に上げてくれる。その上毎回同じものを頼むので店の違いや特徴もわかりやすいといういいこともある。