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#002 ピーカブー

銀座シックスを訪れた人は誰もが惹きつけられるFENDI店舗の香り。
アバクロの前を通ると、強烈な香りで鼻がノックアウトするのは「あるある」ネタだと思うが、その何倍も上品な香りでメロメロにしてくるのだ。

ブランドバッグ。昔も今も女性の憧れアイコンとして人気が高い「ピーカブー」。エルメスのバーキンよりは、随分お得に買えるけど、決して簡単に手を出せる代物ではない。
かく言う私も、このピーカブーに魅了され数年思い焦がれてきたのだ。

東京有楽町にある「ザ・ペニンシュラ東京」で明るく開放的な空間が特徴の「ザ・ロビー」。そこでモーニングしていたときの話だ。
平日、ここで朝食をとる人はホテルに泊まっていたであろう海外からの出張者か、朝からクライアントとモーニング会議をする優雅な人が半分。もう半分は、いかにも豊かな人生を歩んでいそうな女性二人組といったところだろう。

まだ銀座シックスがなかった当時、私もいわゆる女子会をしていたわけだが、その隣でも恐らく40代だろう。つやっつやの黒髪で豊満な女性が、真黒のピーカブーを持っていたわけだ。
シンプルなデザインにもかかわらず、このホテルに見合ったオーラがバッグから溢れ出ていたわけである。ママ友との女子会であったと思うが、当時は自分が想像する母親像と異なりすぎて驚きを隠せなかった。
この時、まだ20代前半。すでにFENDIのピーカブーであることは既に知っていたが、改めてなんて素敵なバッグなんだろうと、濃厚な100%ジュースを飲みながら盗み見していたのだ。

その後、百貨店へバッグを直接みにいったが、なかなか自分が手にしてもしっくりこない。ピーカブーは、ラージタイプのものを、ドラマの中でいわゆるキャリアウーマンが使っている場面を見かけるほど、ハンサムなデザインだ。シンプルで持つ人を選ばなさそうなのに、バッグと自分があべこべになっている。少しの背伸びでは、人間力が足りないことがバレるのだからブランドバッグは面白い。

時を経て、30代で転職をしたタイミングで、このバッグを改めて手にしたいと思う気持ちが芽生え銀座シックスへ向かった。
プライベートでカジュアルに使えるものを探していたので、ほぼこれしかない、といったようにカーフレザーのグレー、ミニに決めた。

当時は、もっとかっこいい女性像で、バッグにはヒールにを合わせるようなスタイルを想像していたが、今は等身大の自分に沿うスタイルとして、スニーカーにもあうようなピーカブのミニがしっくりきている。
まだまだ一緒に出掛ける機会も少ないが、いつか自分に娘ができたら渡せるように大事に使いたいと思う。

間違いなく、名品と呼ばれるものの一つ。大切に受け渡したいものだ。

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