【教材公開】未経験日本語講師のレッスン準備
という言葉を
どこかで聞いたことがある気がします
それくらい
レッスン良し悪しを決める事前準備
じっさいに
オンラインの日本語レッスンは
準備の方が時間がかかったりします
とくに私は
資格も経験もなかったので
全て1から準備しなければいけならず
講師なりたてのころは
レッスンの2、3倍の時間をかけて準備していました
学生さんの求める
レッスン内容によっても
準備するものが変わってきますので
4年近くオンライン授業をしていますが
未だに準備に時間を使うことも少なくありません
「準備」といっても
一体それがなんなのか
オンラインレッスンをしたことがなければ
あまりピンとこない方もいらっしゃるでしょう
結論からいうと
日本語レッスンに事前に必要準備とは
2つあると思います
まず1つは
文法を教える教材
そしてもう1つは
フリートークで話すネタと質問
大きく分けると
この2つになります
今回は
前半では
文法の授業について
どんな教材を使っているか
普段私が参考にしているサイトや動画を
シェアしたいと思います
後半では
フリートークについて
教師側の事前準備と
生徒側の事前準備について
ご紹介しようと思います
これから
日本語講師になろうかどうか
考えている方
日本語講師になりたての方
に向けた内容になっています
もしよろしければ
参考にしてみてください
基礎ゼロの初心者
基礎が全くない学生さんには
まずは五十音を教えています
その際に使うのが
こちらのサイトになります
日本語を学習する外国人の子供向け
五十音表です
私は普段イラストを描くので
イラストで使用する板タブとペンを使って
学生さんが書き順を理解できるように
表の文字をなぞる様子を画面共有で見せながら
レッスンしています
この資料で気に入っているところは
イラストがあったり
カラフルなので
初めて勉強する人にとっては
親しみやすいのと
このように
今まで習った文字だけを使って
単語を紹介して
それをよんでみよう
という練習があるところです
習った文字を
実際に覚えたかどうか
チェックすることで
学生さん自身も積極的に授業に参加している
という感覚をもってもらえます
また
教えた文字を覚えられたという体験をすると
達成感にもつながるので
とても気に入っています
初級から中級者
(N5~N4)
五十音は分かるけど
文法は全くやったことが無い
あるいは
独学で
数か月勉強してみたけど
やはり文法が苦手
という学習者は
おおよそ
N5~N4レベルの日本語であることが
多く
こういった学生さんには
文法をメインにレッスンを進めています
使う教材は
こちらの動画を参考に
googleスライドで1から作っています
googleスライドであれば
スライドを見せながら
学生さんに文法を説明できますし
授業後にリンクを共有すれば
学生さんも復習資料としていつでも見ることが出来て
とても便利です
このねこ先生の動画のいいところは
「みんなの日本語」をベースにしているのと
文法説明をした後に
練習問題があることです
問題を出すことで
五十音同様
学生さんの授業の積極的参加と
達成感を感じてもらえるような
組み立てになっているので
とても気に入っています
また
文法を説明する必要がある場合は
より詳しく解説してある
こちらの動画も参考にしています
中国語の解説がたくさんあるので
台湾の学生さんを相手にしている私にとっては
非常に助かっています
また中国語解説だけでなく
なかには日本語での解説もあり(N3以上の文法)
出口先生の文法解説は
かなりロジカルに
かつ分かりやすく説明されているので
日本語の文法を知らない講師になりたての方にも
おススメできます
ご興味ある方は参考にしてみてください
自分で教材を作る大切さ
なぜ教科書を使わず
あえて自分で教材資料を作るのか
についてですが
1つはスライドを使うことで
画面を見せながら授業ができるので
先生が今どこを話しているのか一目でわかること
もう1つは
自分で教材を作ることで自分自身が
内容をより理解できるからです
教材を作りながら
どうやって説明するかがなんとなく
整理できるので
頭の中でレッスンのリハーサルができます
また自分があまり理解できないところも
発見しやすいので
分からない部分を分からないままにしなくてすむ
メリットがあります
これは私の個人的な感覚ですが
講師側が理解できていないものを説明すると
学習者も理解できないことがほとんどです
逆に講師がちゃんと内容を理解していれば
不思議と難しい文法でも学習者に伝わります
ですから
手間はかかりますが
特に経験や資格のない講師の場合は
資料作りを通して文法内容を理解できるという点で
非常にいいと思います
中級から中上級者
(N3~N2)
ある程度の期間
文法を勉強していて
かつ
日常会話程度が話せる学生さん
にとっては
文法の授業は物足りない
と感じてしまいます
そんな学生さんは
主にフリートークをメインに
レッスンを行うようにしています
講師側の事前準備
フリートーク事前準備は
講師側は
以前記事でご紹介したような
トピックから選んで
どんな質問をするか
ある程度まとめておくことです
会話が好きな学生さん
自分で出来るだけ話を
広げようとする学生さんの場合は
おおまかな流れをメモしておく程度で十分です
実際のレッスンでは
準備した内容にこだわらずアドリブで
相手が話したいことを話してもらうことが
こういった生徒さんにとっては
満足度が高いです
一方で口数の少ない学生さんの場合は
会話のキャッチボールを続けられるように
出来るだけ多くの質問内容を書き出しておきます
また
1つのテーマで
50分間埋めるのは難しいと思う場合は
もう一つネタを用意したりもします
その場合は
少しやり方を変えて
ネットのニュースや動画を見ながら
その内容についてどう思うか意見や感想を話してもらい
そこから話を広げる
というようなことも場合によっては取り入れたりします
とにかく
このような学生さんとフリートークをする際は
間延びしないようにこちらが上手くリードしながら
ちゃんと会話やリスニングの練習が出来た
と感じてもらえるように意識しながら準備しています
学生側の事前準備
また口数の少ない学生さんや
話すことに慣れていない学生さんには
当日とっさの質問に答えられなくて「挫折感を感じた」
ということがないよう
事前にどんなテーマを話すのか
どんな質問をするつもりなのかを
伝えておくようにしています
なぜ学生さんに挫折感を感じさせてはいけないのか
その理由についてはこちらで説明しています
そうすることで
学生さんにとっては
ちゃんと準備すればある程度話せる
という安心感と自信にも繋がりますし
準備をしてアウトプットすることで
しっかりと記憶に定着することができます
このように自信のない学生さんには
たくさん成功体験を積んでもらう
これがどのレッスンでも
私が意識している事です
上級者
(N1~)
上級者レベルの学生さんの場合も
フリートークメインでレッスンを進めます
彼らとのレッスンで意識しているのは
おもに2つ
1つが
正しい表現で言えているか
もう1つが
語彙や表現力を増やすためのトピックを選ぶこと
特に上級者の学生さんは
正しい文法・自然な言い回し
に強いこだわりがあります
みなさん口を揃えて
「間違っている箇所があれば正しい言い方に直してください」
と言います
その場合は
良かったところは褒めつつも
きちんと要望通り
文法的におかしいところや
単語の使い方が間違っていればその間違いを指摘して
正しい表現を教えるようにしています
また扱うトピックを
ビジネスや経済など
日常会話よりややレベルの高いものに絞って
会話をするように意識しています
日常レベルの会話では
物足りなく感じてしまう彼らにとって
専門用語やビジネス用語を多く使うトピックは
新しいものを学べて
かつ
チャレンジングでもあるので
丁度いいレベルだと思います
彼らは話すことに自信を持っているので
質問に対して答えるだけではなく
話を広げるスキルもあります
コミュニケーション力の高い学生の場合は
積極的に質問したりするので
レッスン自体は全く問題なく進めることができます
なので
上級者とのフリートークの事前準備は
特にありません
いっけん準備も特に必要なく
ラクなようにみえますが
じつを言うと
このような上級者の学生さんのレッスンが
最も難しい
と感じています
なぜなら
こういった学生さんの場合
初級者に比べてどうしても
緩やかにしか成長できないので
レッスンを通した変化が感じられにくいです
また特に必要に迫られていない限りは
勉強にかける時間も
あまりとらないことになるでしょうから
そうするとますます
成長変化の実感を感じるのが難しいでしょう
レッスンを通して何らかの収穫物がなければ
レッスンを受ける優先順位はどんどん下がり
結果途中で辞めてしまう
というのが多いので
継続してもらうことが非常に難しいな
と感じています
なので
楽しくおしゃべりするだけでは不十分で
レッスンを通して
少なくとも
新しいことを勉強できた
収穫があった
と感じてもらうために
彼らが興味を持ちそうなテーマで
フリートークを行ったり
こちらも色んなことにアンテナを張って
引き出しを増やしたりと意識はしていますが
レッスンを継続するかどうかは
やっぱり本人の気持ちの部分が大きいうえ
まだまだ講師になって3年ちょっと
そんな私ができることには限界があるな
というのが正直なところです
(逆に上級者が継続して受けたいと思うような
再現性あるレッスンがあればどなたか教えて欲しい)
それでも
また次の新しい学生さんがやってくれば
前回途中で辞めた学生さんの反省点を思い出しながら
少しでも長く続けてもらうように工夫する
それの繰り返しのような気がします
今回の記事は
このへんにしようと思います
ここまでお読み下さり
ありがとうございます
なにか参考になるものがあれば
嬉しいです
では
また