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校閲の魅力

校閲ってご存知ですか?

ごきげんよう。ゆきです。

今回のテーマは校閲。数年前にドラマ化されてから広く知られるようになった職業だと思います。私も観ていましたが、ドラマ化する上で多少誇張した部分はあれど、やっぱり楽しい仕事だよなと改めて感じました。私の実体験も含めて、校閲の魅力についてお話ししようと思います。興味を持つ学生さんたちが増えてくれたら嬉しいな。

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今でこそ音楽雑誌の編集に携わっていますが、私の編集業の原点は学生時代に経験した校閲のアルバイトでした。勤務していたのは出版社ではなく通信社でしたが。元々マスコミ業界に就職志望だったので、大学時代はマスコミ就職に強いゼミに入っており、その先輩のつてで潜り込むことが出来たバイトです。

担当はスポーツでした。メジャーどころの野球やサッカーをはじめ、大相撲や競馬、オリンピックの時期にはフェンシングなど「ルールはギリ分かっても技名や専門用語までは分からないんですけど?」みたいな競技まで全部を扱う、結構鬼畜な担当です。ドラマのように現場を駆け回ったりはしませんが(というか現場に行った時点で試合終了後なので意味がないのです)、担当記者に「相撲の”突き出し”と”押し出し”って何が違うんですか?!」と泣きつくことがしばしば。定年間近のおじさまにエアーで再現してもらったりしていました。生涯インドアを貫く私にとって、スポーツのルールは難しいけれど毎回刺激的なバイトで、卒業して数年経つ今でも恋しくなる場所のひとつになっています。

そんな校閲の醍醐味はやっぱり「ミスを見つける」こと。選手の名前や技名、助詞のミスを見つけては、記者に報告、修正してもらいます(大概記者は「まじかよ……」と凹むので申し訳ない気持ちになりますが、ミスをそのままには出来ないので強い心で挑んでいました)。ネットニュースであれば修正は一瞬ですが、もう刷ってしまった新聞になると翌日【訂正とお詫び】という形で世間に出されていきます。もちろん【訂正とお詫び】なんて無いほうが良いに決まっていますが、校閲としての仕事を全うした証のように思えてそっと大事にしまっておいたのはここだけの話です。

現在携わっている雑誌編集にももちろん校閲は必須。私はあくまでも編集側なので、校閲専門の方に依頼をして記事を見てもらっています。驚いたのはその校閲が、学生の頃に私がやっていた校閲よりも大胆に文章の修正をできることでした。単語や1文字2文字の助詞だけではなく、1文まるまる校閲担当が書き換えることも多々あります。普段何気なく手に取って読んでいる雑誌は、意外と編集者よりも校閲者の方が文章を組み立てていることが多いのかもしれません。そして赤字修正が入った記事を戻されて凹む私。自分が立ち向かったいつかの記者のようです……。

それでも、校閲が尽力して作り上げた企画の誌面に名前が載るのはライターと編集者。校閲は巻末にひっそりと名を残します。今の仕事を始めてから「編集の主役は校閲かもしれない」と思っているので、どんな雑誌でも敬意をもって巻末に目を通す癖がつきました。もしよければ、みなさんもチェックしてみてください。その雑誌を作っているのは出版社でも編集長でもなく、校閲さんかもしれません。

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一見脇役のように思われがちな校閲って、実は主役級にかっこいいお仕事なんだよ、という話でした。

ちなみにこの校閲バイト経験、就活中にも転職活動中にも私の支えになってくれたので(どの会社に行っても面接官に拾ってもらえる話題で重宝しました、今の会社に入れたのも校閲経験に因るところが大きいです)、学生の知り合いには全力でオススメしています。マスコミ志望の学生さんには特に。

本日のBGMは赤い公園の♪消えないでした。消えません。校閲でどんな言葉も写真も消せたとしたって、貴女が残してくれた音楽は永遠なんです。どうして一番修正できないものが消えてしまったのでしょう。貴女の残した音は私たちに痛いほど突き刺さっているのに。貴女が諦めたこの世界には、貴女の音楽で光を見いだせた人がいます。貴女の音楽とともにこれからも生きていくんです。そんな人間の生き様をまた歌にしてほしいと願っています。ずっと消えません。消せません。どうか安らかに。

感傷的になってしまってごめんなさい。

本日もお付き合いいただいありがとうございました。

またお会いしましょう。ゆきでした。

See you next note.


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