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[日記]失くし物したら「はさみ様」

2024.12.22

「誰かー!誰か!助けてください!炬燵のコンセントが見当たらないんです!!
このままじゃ、冬を乗り切れずに凍え死んでしまいますー!誰か!この中に炬燵のコンセントがどこにあるか知ってる方はいませんかー!!?」


私はよく物を失くす。
大雑把で几帳面とは程遠い性格をしているので、まぁ仕方ないと諦めている。

しかもうちには、まだまだやんちゃなお猫様が3匹もいらっしゃるので、お気に入りのボールペンなんぞテーブルの上にうっかり置いたままにしてしまった暁には、「油断しやがったな!このちんちくりん!こんな素敵なボールペン、ころころ転がして遊ぶしかあるめぇよ!」
という具合いにどこか棚の下や絨毯の下に隠されてしまう。

この間、靴下が片方見つからなくて、クローゼットをガサゴソ探していたら、相方のいない靴下が3足も出てきて愕然とした。
私のだらしない性格のせいか、お猫様たちの戯れか、はたまた靴下たちの間で何か抗争が起きたのか事件は謎のままである。
ちなみに私は靴下たちの間で痴情のもつれでもあったのではないかと睨んでいる。(いつもストライプ柄の彼じゃつまんない!たまには水玉な彼と一緒に履かれたいわ!みたいな)

馬鹿みたいだと思うが、私は結構本気で物に意思が宿って動いたり、小人的な何かがイタズラで隠してしまうこともあると思っている。

これは中学生の時である。
私は図書館で本を借りる時は、5、6冊と一気に借りてそれを1週間で全部読んで返却するという、文学大好きガールであった。
図書館から借りてきた本は、リビングに小さな本棚を用意し、そこに置いていた。

ある日、図書館で本を借りる為に必要な図書館カードがなくなっているのに気がついた。
いつもなら財布の中に入れているはずだが無い。
私のことだから本の間に挟んだのだろうか?そう思い、一冊ずつ本を開いて確認したけれど見当たらない。本棚の中も、本を全部出して確認したが見当たらない。親に聞いても、見ていないよ!あんたまた失くしたの!もう、だからいつもいつも、ちゃんと仕舞っておきなさいと、、と怒られた。
自分は大雑把な性格だと理解しているので、時間を置いて何度も、本の中身と本棚の中を確認した。
思い付く場所は全部探した。

どうしよう、図書館カードが見つからないともう本が借りられない、、。
あの頃本が世界の全てだった私には、相当ショックだった。

そんな時、ふと思い出して手に持った物は「はさみ」だった。
持ち手の赤いはさみを両手で握り、私はつぶやく。
「はさみ様、私の図書館カードが失くなってしまったんです。お願いします。図書館カードがどこにあるか教えてください」
ショックで頭がおかしくなった訳ではない。
テレビか本で知ったのだが、はさみを手に持ってこうしてお願いすると失くし物がでてくるらしいのだ。

半信半疑ではあった。
だが本当に図書館カードが出てきたのだ。

いつものように、物語の世界へ入ろうと本棚から一冊本を抜き取った。そのちょうど奥の本棚の壁に図書館カードが立てかけるように置いてあったのだ。

本棚の中は何度も探した。本だって一冊ずつ取り出して中に挟まってないか何度も確かめた。
それなのに、ずっと前からここにいましたけど?みたいな顔をして、ちょうど抜き取った本一冊分の隙間の奥、本棚の壁に立てかけてある。

うぇぇぇ!!!?

思わず声が出るとはこういう事である。
それから私の中では、失くし物がどうしても出てこない時は「はさみ」を手に取りお願いしている。

私の大事なはさみ様
幼稚園の時から愛用しているから、もうちょっとで付喪神かもしれない

そして本日も、このはさみ様に助けてもらった。

「ねね!炬燵のコンセントってどこに仕舞ったんだっけ!?おチビさんたち知らない?」

当然知らない3匹のお猫様たち。呑気に陽だまりの中であくびをしているが、最近夜になると私の周りを儀式の様に三方向から取り囲み、私の体温で暖を取ろうと離れなくなる。
すごく可愛くてこのままでもいいのだが、流石に可哀想なので炬燵を用意しようと思ったのだ。

エアコンを付けるのも全然好きなのだが、やはり冬の風物詩である炬燵を出したい。
炬燵の中で丸くなるお猫様たちを眺めたい。

とりあえず、思い付く場所は何度か探した。
探す時は声を出すと、私の統計上、失くし物がおずおず出てきやすい。
「おい!どこに消えやがった!ここか!?ここにいるんだろ!?証拠は上がってんだよ!!」
イラついて声を荒げてしまうこともあるが、これではいけない。こうすると、失くし物たちが怯えて、今まで以上に酷使されるのではないかと出てきにくくなるのだ。
ちょっとだけ癪ではあるが、下手にでるといい。
「すいません。あなたが出てきてくださらないと、私たち今年の冬を乗り越えられないかもしれないんです、、。助けてくださいませんかぁー。お願いします、コンセントさまぁー」 
、、、出てこない。
少し下手にで過ぎて、向こうが調子に乗ってしまったかもしれない。
物との関係もなかなか難しいものである。

なので、こういう時の「はさみ様」。
今回も流石である。はさみ様に頼んだらすぐ見つかった。
はさみ様に頼んだ後、すぐ頭にピンっ!と思い浮かんだ場所があった。
あ!あ!そうか!そこは盲点だった!
すぐその場所(ベッド脇のサイドテーブル)へ突撃する。
サイドテーブルには小さな隠し収納が付いていたのだ。
そしてそこに、念願の炬燵コンセントが「やれやれ、やっと見つけたか」という顔をして待っていた。

ありがとうはさみ様!
そして、きっとここに仕舞ったであろう数ヶ月前の私、許さんからな!!なんでこんな場所にわざわざしまうんだよ!!

こうしてはさみ様のおかげで、今日も我が家はぬくぬく炬燵に入りながら平和な時を過ごせるのである。

ありがとうはさみ様!万歳はさみ様!

整理整頓は大事です!!!

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