Vivid BAD SQUADの「壁」・才能の化け物が一匹

・超ライトなプレイヤーです

FGOとウマ娘に夢中でプロセカほったらかしてたら、ビビバスのキーストーリーにあたるイベストを二つも溜めてしまっていた。
あんまりストーリーを追う元気が無く、プロセカで基本的にしっかり読み込んでいるのはビビバスのみ。メインとキーストーリーと他イベスト少しは読んでいる。
ビビバス推し、キャラで言うと白石杏が好き。でも本命はRADderと古瀧大河。

そんなオタクの「Find A Way Out」「Kick it up a notch」一気読みした感想文(備忘録)。主に古瀧大河の話。RADderについての考察未満の憶測を多く含みます。

RADderという壁の姿

・古瀧大河はシャアなのか?違うよ

謙さんの口ぶりからしても大河は「こはねを次の凪にしようとしている」ようにしか見えなかった。案の定、こはねにかつての凪を重ねていた。その荒削りの才能の塊を前に居ても立っても居られなくなったようだった。
こはねに街と人を意識させたのは、街を去った凪のアイデンティティをこはねの中に再構築しているみたいだった。
なんか……シャア?シャア・アズナブル?いやクワトロ・バジーナというべきか……全然そんなことないんだけど、わかる人にはほんのり感覚が伝わると信じたい。いや、これはガンダム履修後の私の悪癖なので、無視してほしい。あんまり芯食ってないのは自分でわかっている。
自身のエゴを「次の世代」に担わせようとした結果、若い少年少女の器を見誤ってその心を壊しかけるキャラクターを見ると、すぐ「シャアじゃん」と言ってしまう悪癖だ。私は、カミーユの心が限界を迎えていく過程でのシャア(とアムロ)の罪をよく考える。大河はシャアと比べちゃいけないくらいちゃんとしている大人だろうし、こはねはカミーユみたいにならない事くらいわかっている。そもそもシャアについても自分の考えはまとまっていないんだから、もう黙ろう。
しかしあのおっさん、あれだけこはねに目をかけておいて、自分で「次の世代」を意識してたのに気付いてなかったらしい。そういうとこだぞ!

・若き日の白石謙の衝撃

大河が彰人に昔の謙さんについて、
「謙は器用なもんで、勉強もスポーツも楽々1等を取りやがる。」とか言っていた。
えっ……大爆弾が投下されていた。昔ヤンチャしてました感エグい洒落たおっさんである謙さんが、昔は冷めた目の優踏生くんだったという事実。音楽で世界的に名を知られ、全米ツアーとかするような男に火をつけたのが隠居面してカフェやってるおっさんっての熱すぎないか?ずる過ぎる。

大河と謙の関係って本当にオタク大好きのやつ詰め合わせなのに、めちゃくちゃ小出しにされるので、目の前に大好物ぶら下げられて必死に届かない物に向かって走り続けてしまう。ついでに凪さんの事が不穏に匂わされ続けているせいで、泣きながら走っている心地だ。でも苦しくてもわからなくても、そうやって心を乱されながら全力で暴れる事には爽快感もある。だからオタクでい続けられるんだよな。何の話?

ともかく大河と謙の話に戻ると、互いに絶対のライバルで、信頼していて、青春を共に駆け抜けた仲間。でも現在音楽の道にいるのは大河だし、音楽で成功しているのも大河だから、なんとなく昔も大河に謙が着いていく感じだったのかな、と連想してしまっていた。でも実際、大河を動かしたのは謙だったのだ。そして謙は、今の「先」を渇望する彰人によく似た「熱い音楽バカ」だったのだ。

・大河のエゴ、覚悟、「大事なもの」

大河ってビビバスの皆からすると本当に手の届かない凄い大人に見える。こはねに奇行……という名の彼なりの「歌の本質」を指導しているし、実際、音楽をやっている人間としてはめっちゃ凄い人なのは違いない。
しかし、彼自身のモノローグは過去への未練もあるように見える。年齢を重ねたことでかつけの妹の言葉を理解し、後継者に夢を重ねる心に気付いたが、今自分の音楽を続けることをやめてはならないという自戒。「あの夜」から背負った音楽を進め続ける覚悟で自信を奮い立たせている。それは今「進むのをやめたくない」という彰人とも同じなのだ。

しかし同時にそれはかつて謙が彼に見せた姿勢そのものだったはずだ。RADderで今音楽の道にいるのは彼一人らしい。決別だったのかやむを得ない事だったのか、「あの夜」を起点にしてRADderの音楽は大河が一人で担っているように見える。そうなのだとしたら、大河の我儘なのかもしれない。
3人の中で一番子供っぽくて諦めの悪いのは大河だ。
もし、「俺たちの音楽はここで終わりにしよう」みたいな提案を大河だけが許さなかったんだとしたら。ビビバスのオタクたちがまことしやかに囁くように、凪がこの世を去ってしまったとして、彼だけはRADderの終わりを認めなかったとしたら。「俺たちの音楽は俺が背負って進む」覚悟に納得ができてしまう。
後継者的な存在に心動かされたりしながらも「俺たちの音楽」を一人で背負い続ける様は、年齢を重ねてなお意地を張ってるようにも見える。だが今現在、爆速で進化し続けるビビバスをも凌駕する大きな壁を一人で担う男の「俺の道」は、超カッコいい。

・脱線「親世代」概念の良さ

親世代って、ずるいよなあ。良い。作中における現在のキャラクターと比べると描写の量は劣ることが多いが、かつて子世代と似た青春を送った連中の数十年後を見せてもらえる訳だ。お得すぎ。
ここまで書いて思ったけどふつう逆では?「主人公たちから見ればずっと大人だが、彼らにも子供だった頃があり、今も変わらないところがあり、変わってしまったものもある」事への萌えが主流じゃない?
ともかく、そのキャラの数十年の人生で重ねた物を一端でも摂取できるのが、良い。しかも子供がいるキャラは配偶者に対して向ける顔、子どもに向ける顔がある。
この趣味はハリポタの親世代の影響が強い(ハリポタは呪いの子でハリー達が親になった姿も描かれたし、本当に最高)。

ビビバスのこの先

・「一匹」の才能の化け物

小豆沢こはねのことだ。

イベストを読了して半分放心状態のまま「ひつじがいっぴき」を聞いた。
動揺。フルコン逃すどころではない、もうボロボロ。
ラダー(大河)からビビバス(こはね)への歌に聞こえてしまったからだ。慌てて歌詞を調べ、頭を抱えた。

「この俺は孤独の一匹」
「お前は徒党の一匹さ この俺を笑えるかい」
「呪われてみないか?」

そうだとしたらあんまりだ。呪い。
でも「通り越して行け」RADderの夢の先も重なってきた。は!?
たとえゆずれない物や仲間とやってきた音楽のために自ら選び取った道でも、才能と実力を頼りに一人で進み続ける音楽が、大河にとってある種の呪いでもあったらどうしよう。 え?は!?
動揺。冷静になろうと努めた。しかし、別にラダーの皆さん関係ないとしても、どう考えても「一匹」なのはこはねなので何も心休まらない(脳内イメージ…大好物を少し先にぶら下げられてガムシャラに走るオタク(再))。

「気付かないバカのふり」。それは自分より先にいると思ってた仲間の背をとうに通り越してしまいそうな自分にこれから気が付いてしまうであろうこはねか。彼女の才能を前に凪を想起をしてもなお「同じ場所」の仲間として扱おうとする杏か。

全盛期の凪を高校生にして想起させるこはねは間違いなく才能の化け物だ。もちろん、その実力は彼女の歌に対する真っ直ぐな思いと仲間と重ねてきた努力の成果なのだが、それにしてもぶっ飛んだ桁違いの才能が隠し切れなくなってきた。主に大河のせいで。
彼女の存在はビビバスを世界に導くだろうが、こはねが輝くほどに白石杏曇らせが発生する。目をそらし続けては、気付いた頃には修復できない溝になっているかもしれない。
個人的には、下手すると大河はこはねにソロの道を示すと思っている。こはねを次の凪にするつもりなら「同じレベルの仲間とやった方がいい」とか言いかねない。
もし、凪が表舞台に現れない(下手したら故人である可能性すらある)理由が、彼女の歌自体にあったなら。安易な想像だが仮定として、凪が渡米してからのユニットで何かあって歌えなくなったりしたのなら。大河は「次の凪」が潰れないようにしたいと望んで動くだろう。
もちろん、ソロを提案されてもこはねはビビバスを選ぶだろうけど、このままのビビバスでは才能の化け物を前に困惑し、持て余す。

・杏とこはねが目指すのは大河と謙かもしれない

ビビバスがこはねの才能をユニット自身の力にして前に進むためには、杏が自身の心に向き合わなければならない。
自分が引っ張り上げてきたと思っていたのこはねがあまりに遠く見えてしまった恐怖、焦燥感、嫉妬、悲しみ。
大河と謙の関係性については先述したが、大河が彰人のかけた言葉からしても、彼らのように全力でぶつかり合い切磋琢磨していくライバルになるのは彰人と冬弥のようにも見える。彼らも相棒として支えあうだけでなくそんな面が必要になるという点で間違ってはいない。
しかし、現状に限ってみれば、杏の状況は中学時代の大河に似ているように見える。こはねという「できてしまう子」が本気で歌ったとき、大きな壁とその先の世界を見て幼少期から歌い続けていた自分を軽々飛び越えていく事に怯えている。
杏とこはねは、支えあい、信頼しあい、友人として歌う仲間として、手を取り合って歩いてきた。美しい友情だが、杏は自身の心を見ないようにしている。こはねとぶつからないように、自分が折れないように。それに目を向けるためには、そんな風に自身の弱さを認めまいと蓋をする弱さを認めなくてはならない。
だが辛くても怖くても、杏は容認した上でこはねに「負けたくない」と立ち上がり全力で歌わなければ、先に進まない。こはねも、そんな熱を受け止めながら自分の歌をものにしていかなければならない。かつての大河と謙のように。

・ユニットとして高め合う道の険しさ

以上、古瀧大河のオタクによるビビバスイベスト感想でした。
ほとんど大河の話してしまった。古瀧大河とRADderが好きだから仕方ない。
ビビバスの変化も杏の曇らせも効いてるが、やっぱり「大河は自分のエゴのために一人の若者の才能を使おうとしていたかもしれない」所にぐらぐらきている。たまんねー、そういう質悪いとこある大人。いや、自覚的だったしあくまでこはねの為にしてくれていた事だったから、ちゃんとした大人だとは思っているが……(シャアと比べちゃいけない程度には)
ただ一点、大河が口にした「最後にもうひとつ、やることができちまった。」に胸がざわつく。良く捉えるなら、こはねの実力を見てあくまでビビバスがうまくいくように、その才能でユニットが潰れてしまわないように試練を与えるような事なのかもしれない。でも、先述したようにこはねにビビバスから離れる事を提案するかもしれない。そうなったら謙、止めてくれ。頼む。
あー。怖いー!めちゃくちゃ面白い。今後の展開で楽しみな事、期待する事が山ほどある。杏が自身の心を乗り越える事、こはねの才能の発露、彰人が渇望する「先」にあるもの、彰人と並ぶだけでない冬弥。
ユニットとして高め合う道の険しさ、RADderという壁、その壁の先。ビビバスに降りかかる試練は重い。しかし各々の力を認め合いぶつかり合い、最高の仲間になる姿を見せてほしい。きっとVivid BAD SQUADを世界が待ってるはずだから。

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