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「KIRINJI弾き語り~ひとりで伺います」青森公演に行ってきたよ

・KIRINJIが、地元に来る

うわああ!!
KIRINJIが青森に来る!!!!

 動揺した。昨年からKIRINJIが弾き語りツアーをしていたのは知っていたが、マジで全国まわるつもりとは。思わずデス13戦の花京院みたいな声を出してしまった。
 青森。あらゆるイベントは、(東日本において)東京会場・仙台会場・札幌会場を巡る。青森やその他東北民はその間から「札幌はしんどいし、仙台かなあ……でも日程が……」と言っているうちに行けなくなりがちだ。

 6月中旬にこの情報を手にして、私は大喜びした。大学のため他県に住んではいるものの、東北だし帰省は苦ではない。それどころか、会場は……「ねぶたの家 ワ・ラッセ」。青森市民ならわかるだろう。駅前の赤いあの建物。あそこ。散々行ったよ。中高の部活とか、校外学習とか、県外の親戚を案内したりとか。
 あ、好きなアーティストが地元のこんな馴染み深い場所に来てくれることってあるんだ……。
 嬉しい………………………………………………………………………………。

 早速オフィシャル先行抽選に応募。ハイになっていたので友人も誰かしら捕まえて、捕まらなくても親を連行しようと思い、無事2枚のチケットを勝ち取った。やった!

 そわそわしつつあっという間に9月。一緒に行きたかった友人に日程を伝えるのが遅れてしまって悩ませてしまったり、断念させてしまったりといろいろ後悔もあったが(マジでごめん…)、なんとか同行者を捕まえて、当日。

・当日

ワラッセのイベントホールとか初めて来たな……

 同行者の予定など諸々の都合で10分前に入場。なんとかいい具合に間に合った。席もギュウギュウではなく、後ろの方ではあったもののいい具合の真ん中の席を確保。
 正直はじめて生で堀込高樹を見るし、そもそも人生で「ライブ」に参加するのが2度目なので、大・緊張していた。周囲は子慣れた雰囲気の大人ばかりではしゃぐにはしゃげず、ドキドキと待つ。

 堀込高樹、登場。写真や動画で見た雰囲気まんまの(当然)、大柄で穏やかそうな男性。ホントにイラスト通りのシンプルなシャツとスラックス姿なのだな、と思う。

 KIRINJIを好きになってから、なかなか本人(たち)が素で話している動画を見れないでいた。なんだか怖かったのである。
 振る舞いや話し方が自分の中で形成された曲のイメージから離れていって、突然冷めたらどうしよう……という不安があった。期待外れだったら~とかじゃなくて、本当に単純な自分の感性との兼ね合いで、感覚の処理が上手くいかないことがある。自分のわがままに負ける感じで。そういうとき上手く受け入れる方法も、長くなってきたオタク人生で身に付いてきたものの、不安は不安である。KIRINJIの音楽を絶対に自分から離したくなかったので、何かと(ふーん…)くらいで見るようにしていたし、無理に情報を追いかけようとはしなかった。なんか平気だな……と思ったときにリリース記念の短いコメント動画なんかは観ていた。

 いや、まあ、くどくど書いたが、正直に言おう。堀込高樹の音楽が好きだし、堀込高樹がかっこいいので、好きになっちゃわないか心配だっただけだ。

 で、ライブ会場に戻る。実際に本人を前にして緊張していたが、案外スッと話を聞ける。声を聞いて「散々聞いた歌声はこの人の声だ」と思えたのも大きいのかもしれない。

・記憶頼りなのでセトリは曖昧です

 MCトーク的なのが最初に少しくらいあるのかと思っていたが、すぐにギターを手に取って、あっという間に数曲。
 最初は「ムラサキ☆サンセット」。これを初手に持ってこられて、オタクはカーッ…やられましたな…みたいな気持ち。
そりゃ、向こうだって「聞きに来てくれた人が嬉しいように」というのも多少考えているんだから、やられたも何も無いのだが、やられたーっ…と思った。嬉しすぎるだろ。これは覚えてるが、あとのセトリはもう曖昧だ。

「黄金の舟」。べたつく残暑にはぴったりの、爽やか風呂ソング。tenが大好きなので、嬉しかった。
「ネンネコ」。キリンジの猫曲は猫好きが作ったのがよくわかって、良い。
アコースティックの弾き語りなのに、凄まじい満足感。音。声。

 堀込高樹の声は、優しい。鮮やかに伸びていく。言語化しようとしてパッと思い浮かばず、なんだか不思議な声だよな……と聞きながら思った。曲によっては、その優しさが悲哀にも艶やかにも聞こえる。独特だが安心感を覚える。爽やかに響き抜けていく高音。

 MC。青森に来てくれてありがとう。いろいろ話す。
 絶妙に天然っぽいところもありつつ、しっかり笑いを取っていく。うまい。面白い人だな…と思う。面白さの種類が「授業の合間のエピソードトークが異常に上手いタイプの先生」のやつだった。高樹さんみたいな現国の先生いそう。いたら最高だね。
 曲だけ聞いてる身だし、推し的な感じで好きになった訳でもないので、同じ空間にいながら随分遠い人に感じていたが、少しのトークで距離が実際距離の数メートルになった。実際に会って話も歌も演奏も聞くというのは、やっぱり違うのだ……と、当然のことを改めて思う。

 記憶が…順番がもう曖昧だが、とにかく「愛のcoda」。嬉しい。次に飛行機に乗る時があれば聞くと決めている。雨の飛行場、搭乗前の何とも言えない孤独感、焦燥感みたいなものは何なんだろう。旅が恋しくなる。

 「薄明(ft.マイカ・ルブテ)」。高樹さんver。良い。あらためて、最近のKIRINJIだなーって曲だ。「fugitive」も、女性ボーカル曲のカバーが聞けたのは嬉しかった。この人の声で聞くとドキドキする。「変わり果てた私を 刑事さん、鑑識が始まるまで 抱きしめていて」……不穏なドラマに包まれた心のゆらぎ。

 「まぶしがりや」は、マズい。狂おしいほど好きだが……胸が詰まる。苦しい日々にずっと聞き流していた曲。「冬の陽がフィルムのように薄い氷の上で跳ねれば」。眩しげに笑う君。心の傷。冷たい手に触れていたくて、とか。なんか、繊細で暖かく、あけすけすぎて見ていられないような色気がある。生で聴くとは……ドキドキというか、胸がギュッとなったような感じがした。冬の冷たい空気が肺を見たし、朝日が雪に反射して眩しい日の想像をする。

 「タンデム・ラナウェイ」。私はこれを、なんだかイーグルスの名曲「ホテル・カリフォルニア」みたいだと思っている。この曲はホテルに着くまでの道中の話だが、宛のない道、過ぎ去った季節たちを思う歌。

 「ナイーヴな人々」、「指先ひとつで」。優しく寄り添って元気をくれる曲たち。ポジティブだが、無理はしないし傷つけないでいてくれる。こういう音楽を作るから私はKIRINJIのことが大好きだ。

 「進水式」。これから就職して新生活、人生の1個の節目を迎えるので、ありがたく聞いた。その前に卒制だけど。ひとつの別れと旅立ち。頑張らねば。

 「時間がない」。好きな曲。私はまだ若いが、意味不明の焦燥感に駆られるときがある。若いのでこういう聴き方しかできないが、この先大人になれば過ぎ行く時が上辺だけなぞるようで、実感が薄くなるのは容易に想像ができる(既にそんな節がある)。限られていることを忘れずに、今あるだけ……。

 「nestling」、「Runner's High」、「Rainy Runway」………
この間のyoutube liveでは「新しいアルバムから少しやるかも」的なことを言ってなかったか。少して。4曲もやる人が……………あっ………………………
嬉しすぎ。
「Runner's High」の突き抜けるような爽快なボーカルがたまらなく好きだったので、生で歌唱力を叩きつけられて堪らなくなっていた。

 アンコール前と、アンコールのときに、1曲ずつ……私の知らないシングルかなんかの曲があり、あれが知りたい。探すか……。サブスクで聞いているせいで、しばしばそういう聞き逃しがある……。

 2回くらいイントロを弾いてから「いやごめん、やり直すわ……」があり、笑ってしまった。トークと言いなんか全体的にユルくて良かったが、演奏は鮮やかの一言。「弾きなおした分みなさん、他より長く聴けたってコトで……」うまく言いやがって。満更でもないし良いけど!!

・MCでの話題

・移動中に二回も小熊を目撃したらしい高樹さん。この人も「猛獣注意!Tシャツ」みたいなのはウケようとしやがって……とか思うタイプらしい。そういう素で小さい毒をちくちく入れてくるあたりが、謎にちょっと嬉しかった。

・ためともくん。会場はねぶた展示施設なので、ステージ上にミニねぶた(源為朝)も置かれていた。「ひとりで伺います、だけど今晩はサポートメンバーがいます。ためともくんです。」
 「為朝って、一応ウィキペディア読んでみたんですけど、青森に関係ありませんよね?別に、いいの?ねぶたの題材で……」とか言うので笑ってしまった。為朝は青森に関係ない。ねぶたは古今東西いろんな伝説や逸話などを題材にする。今年の大型だと釈迦誕生とかもあったしな。
 よく知らないものを前にしてとりあえずググってwiki読むあたりも謎の親近感。

・最高だったが、とにかく「ライブで生で聞いた」実感が薄い。高樹ーっ。バンドでも青森来てくれや。待ってるから。

・落ち着いてからの感想

 生で聞く、演奏を浴びる、その人に会う。ライブという場はそういうことよりも、私にとっては「そういう人だと知る」機会に終始していた。最高だったけど当然、聞いた音ぜんぶ覚えておける訳でもない。それを勿体ないと感じながらも、この体感ぜんぶひっくるめてライブなんだろうな、とも思いなおした。

KIRINJIのギターって、甘くて冷たいな、と思う。バニラアイス的なそれよりかは、果物のジェラートみたいな品の良い甘さ。苦さ。音に抱きついたらひんやり、さらっとして気持ちよさそうだと思った。

 ライブで初めて聴いた曲、ソロ名義の方のアルバムの曲でした。わかってよかったし、「音源より先にライブで初めて聴いた曲」っていうのも特別感あって良い。

 久々……否、初めてこういうライブに行って思ったが、私は根っから「暗くて静かで閉鎖された場所」が無理なんだな。閉所恐怖症であることは、中学の修学旅行でいったディズニーランドの「イッツアスモールワールド」で手足の震えが止まらなくなって立てなくなったあたりでよく分かっていたつもりだった。
 映画館なら少しおっかないけど平気なので、今回のライブ会場も平気だろうと思っていた。駅前の施設のイベントホールだし、ちょうど小さめの映画館のシアターくらいの大きさだった。今回のライブ以外行ったことのある「ライブ」は、Queen+アダム・ランバートの来日公演(inさいたまアリーナ)のみだ。たまアリくらいデカけりゃ、怖いとかはない。緊張はしたが……。
 今回のライブは、閉所への恐怖感というのはあまり感じなかったが、次第に目が痛くなってきた。呼吸も浅くなってきた。胃も少し痛かったし、やや気持ち悪かった。目の痛みからして眼精疲労……暗い屋内でライトのあたるステージを観ていることで目がしんどくなってきたのだろう、と思った。スマホを手放せない皆さんならわかると思うが、ガチの眼精疲労に肩こりとか自律神経のアレソレが重なると、平衡感覚が狂ったような目眩と吐き気、倦怠感に襲われる。実際、ほとんどが眼精疲労のせいだとは思うのだが、合間のMCパートなんかを聞きつつ体が異常に強ばっているのを感じていた。頭で認識していない範囲で体がこの環境を拒否している感じ。
 ライブは楽しかった。楽しめたと思う。だが、向いていないのか……というほのかな悲しさが着いてきた。これが、ロックバンドかなんかのライブで飛び跳ねて手を振って声を出すようなイベントなら、逆に平気だったのかもしれない。暗いところに黙って座っていると様子がおかしくなってくるらしい。
 これは……慣れもあるだろうか?心配だ。この先、音楽は聞き続けるだろうから、出不精の緊張しいなりにライブへ赴く機会も無くはないだろう。慣れることができたらいいな。バンドを引き連れたKIRINJIも生で浴びたいものだ。

 バンドでなら、仙台とかにも来るらしい。今年11月にも……これは正直行くのしんどいからパスするだろうが、ともかく、そういうことなら今回行けなかった友人ともリベンジできるかもしれないし、楽しみだ。ファンクラブ入っちゃおうかなあ!

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