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だろう温泉 毎週ショートショートnote
「山に温泉だか冷泉だか湧いているって?」
「そうだよ、そこの看板の前で『たろう』と叫ぶと冷泉に「だろう」と叫ぶと温泉になるって言い伝えがある。ただの言い伝えさ。温泉になったと言う話は聞かないよ」
「ねえ、行ってみたい!案内してよ」
僕は友人の武に頼み、そこに連れて行ってもらった。
秘湯の佇まいそのままに、それはあった。
看板の文字は既に読めない。
手を入れてみると、温泉とも冷泉とも判断がつかないほどの生ぬるさ。
「だろう!」と思わず叫んでみたが、水温の変化はない。
「たろう!」と次に叫んでみたが、これも変化はない。
「ほらな、気が済んだか?」と武のことば。
その時、山の奥から猿の集団が現れた。
キィーキィーキャッキャッと賑やかだ。
と、どうだろう。
湯気が辺りに満ちていく。
手を入れてみると良いお湯加減だ。
そこはサルの温泉だった。猿たちが目を閉じ温泉に浸かっている。テレビで見た情景と同じだ。
サル達がサル語で『だろう!』と叫んだのだろう。
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たらはかにさんの今回の裏お題『だろう温泉』です。
よろしくお願いいたします。
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