罠の中の地味に怒る 毎週ショートショートnote
召使の女は思う。
あの人は悪魔なの。愛しい悪魔の王子。
ちょっと年下の彼。気づいてくれないかな。
どうすれば、私を好きになってくれるかな。
そんな彼女の心のつぶやきは、悪魔の王子には筒抜けだった。
「ちょこざいな」彼はほくそ笑む。
実は彼も彼女を憎からず思っていた。
彼女は考えた。この城のあちらこちらに存在する落とし穴。彼がまだ知らない新しい落とし穴に彼を…。そして私がお助けする。
彼はお見通し。わざと彼女の罠にハマってやる事にする。
彼は落とし穴に落ちてやった。
彼女は直ぐに駆けつける。縄梯子を持って。
まったくバカな奴め、見え見えだと思いながらも目を細めている彼。
王子は縄梯子を受け取ると、強く引っ張る。彼女も穴の中に。
「女よ、こんな地味なやり方なんぞ私は好まない。私を誰だと思う。もっと派手に演出してみろ。わかったか!やり直しだ」
悪魔王子は怒りながらも、彼女を優しく抱きしめたままでいる事に気づいてはいないようだ。
女は目を閉じた。
410
かにさん、いつもありがとうございます。
私はピッタリ410文字にこだわっています。その為には、少々文章がヘンになっても良いと思っているみたい。我ながらアホちゃう?ではあります。
理由?自分でもわかりません😄