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チョコニート 毎週ショートショートnote

僕はもう長い間売れ残りのチョコレート。
駄菓子屋のお婆ちゃんの店で待機してるんだけれど。
もう仲間はいない。仲間はさっさと売れていってしまったさ。

『ねえ子供達。お願いだよ。僕を買って食べておくれよ。それが僕に与えられた仕事なんだけどね。つまり僕はニートみたいなものさ。このままじゃ悲しい』

そんなある日、時々姿を見せる小さな女の子が僕を手にしてくれた。ドキドキした。

「お婆ちゃん、これいくら?」
「ああ、何か買ってくれたらそれをオマケにしてあげるよ」
「それは嫌」
「どうしてだい?」
「私もオマケだから、オマケはいらない」


女の子は友人の7人の孫の7人目の孫。
連れ歩く度に
「この子はオマケの子だよ」と言っている友人。
一番小さな孫が可愛くて仕方がないのさ。
今度友人に厳しく言ってやらなきゃ。
孫に気持ちが伝わってないよって。

女の子は僕を買ってくれた。

僕は女の子の口の中で素敵に溶けていった。
僕はもうチョコニートなんかじゃないと思いながら。


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たらはかにさんの今週の裏お題『チョコニート』です
よろしくお願いいたします。


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